舞台公演『底なし子の大冒険』を配信で見て、ド素人が感想言います。
もっと早くに見れば良かった。
そしてもっと宣伝して、少しでも多くの人に見て欲しかった。
いや、配信終了までまだあと1日以上ある!
そう思ってこんな夜中に感想を書くことにした。
(※これ書いた後に、購入は4/15までだが、視聴は4/22までに延長となったので、まだまだ見れますよー)
オンラインで演劇が見れることで、なけなしの収入を観劇に使うようになり、
もうどうにもならん!私今月お誕生日でーすと、冗談でツイートしたところ、
この作品の作・演出である渋谷悠氏がこんなツイートをしてくださった。
あわわわ、ホントすいません、もちろん自分で買います!でもちょっと待って!お金ないっ(;´Д`)(;´Д`)(;´Д`)
そしたらなんと!
数日後に本当にギフトで贈ってくださった方が現れて…
重ね重ねホントすいません!
そして本当にありがとうございます。
なのに、見るのがこんなギリギリになってしまって(;´Д`)
自分の体調不良と、家族の体調不良が続いてしまったもので、落ち着いて時間がとれなかったもので(;´Д`)(;´Д`)(;´Д`)
まだあと1日以上配信期間あるのと、DVDの販売もあるらしいので、あれもこれも色々書きたくなっちゃう私だけど、
めちゃくちゃ我慢して少しだけ感想を書きたいと思う。
◆公演基本情報◆
牧羊犬第4回本公演
『底なし子の大冒険』
<作・演出>渋谷悠
<上演期間>2021年12月3日~12日(全16回)
<会場>恵比寿・エコー劇場
<チケット>4,500円
<キャスト>
渡部瑞貴、長部努、大友達人、織田あいか、井上薫、徳岡温朗、三好紗椰、折田ジューン、ネグチマサアキ、高山佳音里、河西茉祐、赤江隼平、河野将也
◆MY観劇データ◆
<視聴方法>限定URL(12月8日回の収録)
編集されているので、音も映像もクリアで見やすい!
<日時>2022年4月12日
有料配信チケット購入 4/15まで
視聴期間 2/27〜4/22(4/13に、4/15までより延長となった)
<視聴料>ギフト(1,900円)
◆ビジュアルの威力◆
私は、映画にしても演劇にしても美術鑑賞にしても、基本的には前もって知識を入れたくない。
自分の中にできる限り何も無い状態で作品を見たい。
だから今回も、昨年この作品づくりが大きく動き出した時、タイトルの『底なし子の大冒険』というタイトルだけで、
何か明るくて前向きなストーリーかな と思っていたくらい。
ところがフライヤーを見て、あ、違った と気づく。
一見、若くて健康的な女性と動きのある金魚が美しい。
でも私は見た瞬間にもうゾッとした。これは「虐待の話だ」と気づいてしまった。
指から手の甲にかけてほどこされた真っ赤な金魚は、火傷でただれた皮膚に見えた。
皮膚がめくれあがって、内側の筋組織が見えているようにも思えた。
血のようにも見えた。この「血」については、若干かすってるかな。見て確かめて欲しい。
そして、金魚といえばお祭りでとってきた金魚が、わりとすぐに死んでしまうことや、
逆に長く生きても、えらく肥大化して、小さな水槽の中で、幸せにはとても見えないことなどを、思い出していたのだ。
実際には、虐待は当たっていたが、金魚については相当ショッキングなシーンがあるので、
影響を受けやすい人には、見て欲しいとはおすすめしにくい。
(私も今けっこうヤバイ状態。思い返しては物理的な吐き気が…)
先日、フライヤーコンテストでも、見事1位を取られていた。
いや、ホント、ビジュアルって大事。
本の装丁が良い例だけれど、あんまり知らない作家だったり、気にも留めていなかった作品でも、
見た目でググッと惹かれることがあるし、
作品を味わった後にも、そのビジュアルとともに、余韻が増したりする。
この一見綺麗なフライヤーも、私は最初から耐えれなかったけれど、
『底なし子―』を観劇し終わった後には、なおさらチラリとも見ることができないくらい。
吐きそう。
ちなみにCGじゃなくて、ボディペイントらしい!!
すごい!!
◆力になりたい人がいることを知って欲しい◆
主人公のはづきは、子どもの頃母親から虐待を受けている。
家族と縁を切り、母親が死んでも、その呪縛から逃れることが難しい。
そんな自分のことを物語にしようとしている作家であるが、これがまたなかなかシンドイ。
自分と向き合うこと、人と向き合うこと、作品として昇華させること。
自分を信じれずに自分を傷つけ、周囲を信じれずにみんなを傷つけ、
どんどんと追い詰められていく。
それでも、そばで仕事で支えながら愛情を注ぐ人達や、厳しいことを言いながらもその内側を解放しようとする人、
純粋に好きだから知りたい近くにいたいと思う人…
そんな人達の中で、はづきがどう生きていくか。
見ている側はどう受け止めただろうか。
虐待に限らずだけど、障害とか差別とか、生きにくさを感じている人達が沢山いる。
そうじゃない人達には、どうあがいても理解できない。
理解できてないから、どうしても当人が言われたくないような事も言ってしまうと思う。
だからといって、それをそのまま受け止めないで欲しいのだ。
できれば友達になりたい、
できればそういう現実もあるということを知りたい、
何を考えて何が苦しいのかしりたい、力になりたい、
そばにいて一緒に笑いたい。
傷を知りながらもそばにいようとする人達は、絶対に味方だと思うから。
◆母と娘の奇妙な関係と呪い◆
よく言われているこの問題。
母親が娘を、自分と同一視しがちで、それが娘の自我に影響を与える。
それはあからさまな憎しみから生まれるわけではなく、愛情の中からも生まれてしまう。
正直言うと、自分にもある。
娘のことが可愛くて仕方ないし、楽しいことも辛いことも、長い間ふたりで分け合ってきた。
娘が笑えば私も嬉しい、娘が辛いと本人以上に私が泣き、
娘が何か憤っている時にはその何倍もの怒りで体を壊してしまう私。
保護者仲間にも「双子母娘」と言われていた。
私はそれを喜んでいたけど、そうじゃない。あれはちょっとした警告も含んでいたのだと今なら分かる。
これはある種の呪いだ。
「お母さんが一番あなたを愛しているよ、一番理解しているよ」という。
逆に、私も私自身に呪いをかけている。
「この子が一番私を愛してくれている、この子だけが分かってくれる」と。
虐待という関係性が無いと思っていても、きっとこの縛りに思い当たる節がある人はけっこういると思う。
だからそれなりに当事者感覚も感じてしまう。虐待のことは分からなくとも。
ちょっと自分語りになってしまったが、そんなことを考えながら、『底なし子―』を見ていた。
◆モノステファンにはたまらんアレやコレ◆
【渋谷 悠】
私がこのnoteで度々書いている モノローグ・オンライン・ステージ モノステ。
ひとり芝居にZoomを使って参加する、コロナ禍に生まれた番組。
主宰であり、使われるモノローグを書かれている渋谷悠氏が、『底なし子―』を作られた。
【ソクバッキー】
そのモノローグの中に「ソクバッキー」という、束縛する男の話がある。
モノステでも何回も演じられてきたのだが、その束縛男が『底なし子―』に登場する。
主人公はづきの恋人、真壁である。
虐待を受けてきた子は、大人になって恋人ができたときにも、束縛や暴力を愛情だと思い込もうとする
というのはよく耳にするが、この作品の中でもそのようなことが起きている。
↓「ソクバッキー」が収録されている『モノローグ集 穴』。
全作品の1ページ目が読めるので、真壁の登場シーンと比べてみて!
というか、本も面白いのでぜひ(買って←小声w)。
【三好 紗椰】
『底なし子―』の劇中劇の中で、タイトルにもなり、もう1人の主人公ともいえる“底なし子”の役を演ずる。
舞台は初とのことだが、モノステでは5回ほど出演されているので、モノステファンにはお馴染みの女優さん。
若々しく伝わりやすい演技が魅力。
◆お気に入りのセリフ◆
最後にコチラで締めたいと思う。
『底なし子の大冒険』の中で相当気に入った台詞。
虐待という重いテーマを扱った作品だけど、笑ってしまうシーンも盛りだくさんだった。
もし、この後配信やDVDで見よう!と思った方は、どこでこの台詞が出てくるかお楽しみに!
あと、全体的に鬼編集長白石の言ってる言葉は、私は好きだ。
かなり酷い言いようにも受けて取れるし、ド正論が人を追い詰めることもあるけれど、
偽りのない言葉だから、好感と賛同しかなかった。
「ルンペルシュティルツヒェン」数連発のところで、
あぁ、そういえば娘が中等部の演劇部でやったなぁ、上手だったなぁ、娘サイコーだなぁ と、
結局また愛情の押し売りをしてしまいそうになる私だった(^▽^;)
というわけで、
「舞台公演『底なし子の大冒険』を配信で見て、ド素人が感想言います。」
~虐待が在る無しに関わらず 娘の自我に影響する母親の呪い~
でした。
書きたいことの1/5くらいしか書かずにこのボリューム(;^_^A明日まで見れるので、もう1回見ようかな!
※4/22まで延長!
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