映像配信で『人の気も知らないで』を見て、ド素人が感想言います。
年末年始のお楽しみにとチケットを買ったのに、長引く体調不良のせいで、配信期限ギリギリになってなんとか見れました!
2月6日まで残り数日となってしまいましたが、週末も寒いようなので、お家時間を楽しむコンテンツとしておすすめします!
◆基本情報◆
たのしいくわだてvol.5
『人の気も知らないで』
<脚本>横山拓也
<製作>たのしいくわだて
<公演日程>2022年12月16・17・18日
└【Aチーム】全5回 【Bチーム】全4回
<公演会場>Kitchen AJITO
<料金>
劇場公演:3000円~
配信 :1500円、2800円
※ペアチケット・カフェチケット・クリエーターズチケット等あり
https://www.tanokuwahitoshira.com/(2月6日まで)
<出演者>
└【Aチーム】大塚由祈子、嶋尾明奈、津賀保乃
└【Bチーム】江藤あや、齊田貞子、スージー西原
◆My観劇データ◆
<視聴日>2023年2月2日(配信期間:2023年2月6日まで)
<視聴方法>配信 限定URL
<視聴料金>1500円(Aチームのみ)
↓Aチーム宣伝動画
◆女三人寄れば…◆
昼間のカフェで下ネタとか、これは充分あるあるなのだ。
夜の飲み会じゃないのに、お酒も入ってないのに、どうしてあのノリでいけるのか不思議だけど、見に覚えあるある。
「女」と3つ書いて「姦しい(かしましい)」
女性はお喋り好きで、集まると賑やか…いや、騒がしい…はっきり言ってうるさい!
という、令和では炎上しそうな言葉ではあるが、そんな言葉がしっくりきてしまうような、女性3人のちょっとした日常的な会話から始まる物語。
同僚のお見舞いに行った帰りのカフェ。別の同僚の結婚式の打ち合わせ。
そんな何気ない会話が、少しずつ違う方向へ…
◆とにかく熱量がスゴイ!◆
女が集まって何か夢中になって話している時の熱の入りようったら、まぁその渦中にいてもちょっと我に返った時にハッとするものがある。
そして、話の脱線具合と、本来の話し合いの目的の忘れっぷりと、最後突如そこへ戻る(ほんのちょっと)切り替えし、あ…決める事全然決めてないじゃん、また連絡するわーのくだり。
さらには、意思をしっかりもった女がぶつかり合うと、ここまで頑なかねと呆れるくらい自分を通す!でも内心相手の言い分にけっこう揺さぶられて眠れなくなったりね。
もちろん女性に限らず男性もかもしれないし、女性だって静かに冷静に話す人はいるんだけれど、女3人というのは、漢字ができてしまうくらい顕著なのだと思う。
この作品では、そんな様子を3人の女優さんが、ものすごい熱量で演じている。(リスペクトをこめて、あえて「女優」と呼ばせていただく)
大塚さんは以前インプロを何回か拝見している。大人のセクシーさとエネルギーを感じる方。今回はその魅力がひときわ感じる演技だった。
noteにもお名前を書かせていただいたことがある。4月の某インプロショーもぜひ拝見したいと思っているところ。
嶋尾さんは私の推しの1人で、何度かnoteに感想を書かせていただいている。私よりもずっと年下だけど、姐さん!と呼びたくなる(笑)。
今回は他の2人の緩衝材的ポジションでありながら、言うべきところは言っていく役が、しなやかかつ芯の通った演技を見せてくれる彼女にピッタリはまっていた。
津賀さんはおそらく初見だと思うのだが、今回1番発熱(笑)していたのではないかというものすごい刺激の強さ!
ご自身が持っているものなのか、それともすっかり演技なのかわからないけれど、今後も注目していきたいな!
◆欠損との距離◆
物語の「承」「転」くらいの多くの部分で、登場する3人が考えをバチバチと当てこすっている。
【欠損】についてだ。
言葉が強いかもしれないけど、ここはあえて【欠損】と表現しておく。
そして先天的身体のことについては除外する。
体の機能が欠けたり、見た目そのものが欠けたりは、突然誰かに降りかかってくることがある。
そんな時自分は相手にどう向き合うのか、また自身に起きたら自分がどうなってしまうのか。
欠損した部分(失われてしまった部分)との距離は、一体どうやって見極めればいいのだろう。
答えの出ないその問題は、答えを出さないまま物語は終わる。
重い内容ながらも3人のやり取りが軽快なので、深くは考えずに1時間弱が過ぎたけれど、終わってみるとひたすら欠損ついて考えている自分がいる。
見た目の形を失くしたものは、本当にもうそこにはないのだろうか。
見た目だけではない何かを失くしたりはしていないのだろうか。
おい、俺の筋肉!どっちなんだい! と聞きたくなるくらい分からない(笑)。
失くした人と失くしてない人の、欠損への距離の差なのだろうか、自分には理解が及ばないほどの距離感があるなぁとも思ったり…。
そんな自分が何か言えること、3人のようにこうでしょ!と言えることはあるだろうか(いや、ない!)。
↑こういう考えに陥る可能性が高いことも、劇中ではビシッと言い放たれるところも、モヤモヤせずに見れたポイントだったと思う。
◆他者との関係の距離◆
SNSが普及して、顔も合わせたことのないような人と簡単に繋がれて、言いたいこと言って、わりと大事な胸の内も暴露できて、そのくせ離れたいときには簡単に離れてそれっきりになるような現代。
じゃあリアル友達との付き合いの中で、自分の気持ちや考えをどこまで話せるか、逆に相手のそれをどう受け止めるか、話がこじれちゃったら次どんな顔して会えばいいのか。
けっこうこれって難しいと感じている人が多いのでは?
日本人特有の遠慮は、コロナ禍でますます加速したようにも思える。
それこそ「女3人寄れば姦しい」なんて、うるさいだけじゃなくて、このご時世なかなか声を出すことも気を遣うのでね。
しかし劇中の3人は物語が進むにつれて、激しく意見を応酬させる。
考え方の違い…生き方の違いと言えると思うのだけど、そこをスルーせずにガンガン言い合う。
相手の考えなんか一網打尽し合うので、相手のことも受け止めよう的な令和の人間関係ではないのだけど、逆に見てる側としては、うんそうだよねコッチの言うことも分かる、でもコッチの言うことも分かる みたいな見方になってくる。
どんどんヒートアップして自分をさらけ出していくという、ものすごく近距離の関係性を前に、いたって令和的な、冷静にどちらも受け入れる視聴者の図。
前項に書いたような、重い現実を前にしてのバトルなんだけれども、ポンポンと弾むように、言い換えれば容赦なく(笑)繰り出される会話は、小気味好い。
そのテンポのおかげで、思い詰めることなく最後まであっと言う間に見ることができた。
いいぞ!もっとやれ!くらいに思いながら見ていた。
自分の気持ちをどこまで出せるのか、
相手はどこまで出してくるのか、
受け入れるのか入れないのか、
この場にいないターゲット自信はどうとらえているのか
おい、俺の筋肉!どっちなんだい! と、やっぱり聞きたくなるくらい(笑)。
こんなに言い合っちゃったら次回から会うのはお断りしたいほどの大バトルは、あっけなく日常へと引き戻されて終わる。
言いたいことを言えるだけ言って、はい、じゃ、また明日!
「人の気も知らないで」勝手なこと言わないでよと、自分の中に閉じこもってモヤモヤするのではなく、空気を読むことばかりに気を取られることをよしとしない関係性・距離感があったっていいと思うのだった。
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というわけで、
「映像配信で『人の気も知らないで』を見て、ド素人が感想言います。」
~女三人寄れば…他者の欠損を通して見る、自他の距離感。~
でした。
まだ配信期間中なので、ネタバレギリギリを攻めてみました。
読んでくださりありがとうございました。