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風の吹かない日には新聞を片手に風が吹くときを待つ

風が死んだ

時に
風ががぴたっと止むように
全く動かないときがある

そんなときを
風が死んだと表現するという

今まで吹いてきていた風が
動かない
動けない

心の中がざわつく
今まで吹いていた追い風が
止んでしまった

もがく
  あがく
     悶える

それでも
ぴたりと風は吹かない

思索の森をさ迷う
風は
吹くことを忘れたようだ

澱んだ空気を包みこむように
ミネルバの梟が鳴く
森の奥で
ミネルバの梟が鳴く

もがくのは無駄だと
伝えている

じっと堪える時だ
伝えている
ミネルバの梟は
夕方に飛び立つ

風の吹かない日には
風の吹くときまで待てばいい
飛び立つときまで待てばいい

新聞を片手に
そのときを待とう

どっしりと構えて
新聞や本を読む

知識の泉を貪っているうちに
ゆっくりゆっくり
風が動き始める
風は動き始めるのを待っている

焦らなくていい

必ず
風の吹くときはくる
その時
追い風を受けて
全力で駆け出す準備をすればいい

ほうほうと
ミネルバの梟が鳴いた

風の吹くときは近い


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