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Photo by
momoro66
風の吹かない日には新聞を片手に風が吹くときを待つ
風が死んだ
時に
風ががぴたっと止むように
全く動かないときがある
そんなときを
風が死んだと表現するという
今まで吹いてきていた風が
動かない
動けない
心の中がざわつく
今まで吹いていた追い風が
止んでしまった
もがく
あがく
悶える
それでも
ぴたりと風は吹かない
思索の森をさ迷う
風は
吹くことを忘れたようだ
澱んだ空気を包みこむように
ミネルバの梟が鳴く
森の奥で
ミネルバの梟が鳴く
もがくのは無駄だと
伝えている
じっと堪える時だ
伝えている
ミネルバの梟は
夕方に飛び立つ
風の吹かない日には
風の吹くときまで待てばいい
飛び立つときまで待てばいい
新聞を片手に
そのときを待とう
どっしりと構えて
新聞や本を読む
知識の泉を貪っているうちに
ゆっくりゆっくり
風が動き始める
風は動き始めるのを待っている
焦らなくていい
必ず
風の吹くときはくる
その時
追い風を受けて
全力で駆け出す準備をすればいい
ほうほうと
ミネルバの梟が鳴いた
風の吹くときは近い