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【繋がる思い、終わらない物語】デポルティーボ・ラ・コルーニャ選手名鑑 2024-25

今日から始まる物語
どんな話も 描くのは夢次第
さあ行こう 何処までも
そう決めたこと 忘れないように
『拝啓 昨日までの自分へ』
僕は君の途中

 涼しくなってきた。過ごしやすい季節。秋が一番好きだ。いつまでも、続けばいいのに。
 “永遠”なんてものは存在しないけど。

 というわけで、セグンダに帰ってきたデポルティーボ・ラ・コルーニャの選手名鑑です。遅くなりました。需要は少ないと思いますが、少しでも興味ある方、見ていただけると嬉しいです。

それぞれの主人公が紡ぎ出す、スーペル・デポル復活へのカウントダウン

 遂に帰ってきた。コロナ禍の失速で3部に落ちてから4年の月日が流れ、青と白のLos Herculinosがセグンダに帰ってきた。
 昨季は開幕から8試合で1勝5分2敗と完全に出遅れ、一時は降格圏に落ちるなど、監督解任が叫ばれる最悪のスタート。しかし、ルーカス・ペレス、ダビド・メジャ、イェレマイ、イバン・バルベロのカルテットを中心とした厚みのある攻撃で勢いを取り戻すと、結果的に38試合22勝12分4敗 64得点27失点。後半戦は、1位決定プレーオフも含めて21試合17勝4分と無敗で終え、文句なしの優勝を勝ち取った。

圧倒的な成績で史上初の1部、2部、3部全制覇を果たした。

 毎年昇格筆頭候補と言われながらも昇格POで涙を飲んできたクラブに足りなかったもの。それは“主人公”だった。昨季のデポルには、少なくとも3人の主人公がいた。

 1人目は、ルーカス・ペレス。かつてデポルのエースとして活躍した男は、一昨冬、契約解除金の約半分にあたる493,000€を自腹で払ってまで帰ってきた。そのシーズンの悔しさを晴らすかの如く躍動し、愛するクラブをセグンダへ導いた彼がベルガンティニョスから受け継いだのは腕章だけではない。先達から繋いだプリメーラ復帰の夢を背負って戦い続ける。

 2人目は、ディエゴ・ビジャレス。3部降格が決まったシーズンにBチームで10番を背負っていた青年は、翌季クラブの英雄であるフアン・カルロス・バレロンから1年間学んだことで大きく成長し、副キャプテンとしてトップチームを引っ張る存在にまでなった。この男のクラブ愛は誰にも負けない。昇格を決め、スタンドのファンと抱き合ったシーンは熱く込み上げてくるものがあった。

 3人目は、ダビド・メジャ。ノエルらと共にフベニル世代でコパ・デ・カンペオネスを制した中心メンバーである彼は、一昨季からトップチームに帯同。昨季途中からスタメンに定着すると、瞬く間に攻撃の軸となった。世代別代表を経験しながら順調に成長する稀代のドリブラーは、デポルの未来を担う英雄候補だ。

残っているのはバルシア、メジャ、イェレマイだけだ。

 ガリシアで産まれた3人の主人公が紡いだ物語は、最高の結末を迎えた。それでも、終わっていない。この物語は更新されていく。


 今夏の補強の目玉は、マリオ・ソリアーノチャーリー・パティーノだ。

 アトレティコから加入し、エースとして2シーズンチームを牽引したソリアーノは、昨季セグンダに昇格できなければ買い取りという条件でエイバルに移籍。首脳陣とキャプテンのルーカスを交えて話し合った末の決断だったという。移籍先では大車輪の活躍で、数字は着いてこなかったもののチームを昇格一歩手前まで導いた。そして今季、プリメーラのクラブからも声がかかっていたであろう彼が選んだのは、デポルでのプレーだった。衰亡するクラブをこれでもかというほど愛してくれる彼には、首脳陣やファンからの期待も大きい。渡された番号は21番。スーペル・デポルを牽引したフアン・カルロス・バレロンが背負った番号だ。

 アーセナルから獲得したチャーリー・パティーノも、この物語の主人公に相応しい人物だ。イングランドで生まれた彼にとって、デポルは特別なクラブ。ガリシア州は父親の故郷にあたり、幼少期からデポルを応援してきた。幼い頃夢見たユニフォームに袖を通し、昇格を目指すことになったのだ。この運命的な移籍は、必ずや彼の転機になる。アーセナルの未来を背負う存在にはなれなかったかもしれないが、デポルの英雄になることはできるはずだ。


 今季もルーカスを中心にしっかりをボールを保持しながら、ギアを上げて攻め立てる“超”攻撃的サッカーが軸となる。3部を蹂躙した反則級の戦力に、経験豊富な中堅と将来有望な若手を加えたスカッドはロマンが溢れているが、決定力不足が深刻な問題となっている。層の薄さも決定的で、昨季以上に怪我人が命取りとなりそうだ。


 かつては「スーペル・デポル」と呼ばれ、チャンピオンズリーグをも席巻した名門。栄光の時代のツケは大きく、未だに負債を負っている。落ちぶれた古豪と呼ばせるにはまだ早い。今のクラブには未来がある。夢がある。昨シーズンは観客動員でスペイン3部の記録を塗り替えた。3万人越えという数字はプリメーラのクラブと比較しても遜色ない。それだけの魅力が今のデポルにはある。それだけ今のデポルに期待しているファンがいる。
 積み重ねた思いは、消させない。たとえ傍にいなくても、離れ離れになっても、思いは、心は、いつも繋がっている。素直な言葉は力になる。思いが繋がっていれば、それは奇跡を起こす。魔法のように。

 それぞれの物語が一つになり、デポルティーボ・ラ・コルーニャの新しい章が始まる。輝かしいスーペル・デポルの時代は帰ってくるのか。今季のリアソールで輝く主人公は誰なのか。見届ける我々もまた、物語の主人公だ。

クラブ概要

【創立】1906年
【本拠地】ア・コルーニャ
【会長】フアン・カルロス・エスコテ
【スタジアム】エスタディオ・アバンカ=リアソール
【昨季成績】1位(3部)/22勝12分4敗

https://www.laliga.com/en-GB/clubs/rc-deportivo/squad

ユニフォーム

昨年逝去した元監督アルセニオ・イグレシアス氏に敬意を表したモデル。

基本フォーメーション

ルーカスとソリアーノを中心に流動的な崩しで前進し、両翼の2人の突破をお膳立てする。ビルドアップ時はホセ・アンヘルが落ちてシモが上がる3-1-5-1の形を取り、守備時はメジャとが引いて4-2-4でブロックを組む。昨季以上に攻撃に振ったシステム。

見本

監督

GK

DF

MF

FW

最後に

 今季はラ・リーガ+で見れないようで。ラ・リーガ見れないのにラ・リーガ名乗るなよという話なのですが。皆さんがデポルを観るには1節につき1試合やってくれるらしいDAZNか、グレーなサイトしかありません。それでも、観てくれるという方、大好きです。

 なかなかセグンダってのも厳しいリーグでして、1年で上がるのは難しそうです。足りないピース、色々あるんだよなぁ。挙げだしたらキリがない。

 あぁそうだ。もう一人、デポルの“主人公”になる特大の可能性を秘めた選手がポルトガルに居るんだった。図らずも青と白のクラブ。遺伝子レベルで、何か繋がっている気がしてならない。同じ10番ではなくとも、同じユニフォームでリアソールのピッチへ。いつの日か、そんな奇跡が起こってもいいじゃないか。気長に待とう。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。

今日から始まる物語
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泣かないし 怖がらない
それは本当の強さじゃなくて
どんな時も ただ何度でも
夢を見る強さを

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