スカイクロラ/森博嗣 自宅の本棚から その9
堅苦しい専門書が続いたので、柔らかい本を紹介します。森博嗣さん著「スカイクロラ」シリーズ。本棚には、文庫版、新書判が入り乱れてあり、映画化された前後に、読んでいました。当然DVDもあります。しかも戦闘機「散華」のプラモデルまで…ちょほほ。
森さんは、建築学科の助教授だったので、理科系の作文技術に長けていたのでしょうか、どことなく文学的というより、理系のレポートを読んでいるような、行間の雰囲気がありますね。
推理小説「すべてがFになる」とかは、全然興味が無かったが、この「スカイクロラ」シリーズは、面白くて全話読みました。多分、押井守監督の映画の画像イメージが強く、その映像世界を旅しているような感じもしてました。クローン達の戦闘機乗りが主人公なので、ある意味、「死」が「死」としての意味をなさない、もしくは死ねない人生。繰り返される残酷な「生」という地獄を描いていたと思いますが、ある意味、傑作でした。
「死」はある意味、当然あるべきもので、「死」があるから「生」もあるので、死んでもまたそのまま再生するなら、それは「死」ではなくなる訳で、その点を描いたこのシリーズは、興味深く読んだ。
その後、森さんの小説を何冊か読み、また例のAudibleでも拝聴したが、この「スカイクロラ」に勝るものは無かったと思います。
蛇足ですが、登場する戦闘機「散華」は先日のゴジラに出てくる「震電」に良く似ているが、この「震電」昔から有名で、エンジンが後部にある、局地戦闘機で、小学生の頃から漫画の巻頭特集でよく見ていた。
なにより、それまでのゼロ戦や紫電改の様にプロペラ式戦闘機のイメージを逆説的に変革した、推進翼が後退し、プロペラが最後部にあるという独創的な形態に魅了され、模型までの手に入れてしまうた訳である。これも一度現物を見に行きたい。