神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?/森博嗣 自宅の書架から その15
何編も森博嗣さんの著書を取り上げると、「又かよ、森ファンが…」と顰蹙を買いそうだが…。
最近読み終えて、最後まできちんと読むと、これが「ああ、そうだよね」とか「ああ、そうだっんだ」と読者に思わせる力量があるところが、熱狂的な森ファンがいる理由だと分かる。
最も印象に残っているのは、意外にも主人公二人のラブストーリーである。元科学者のグアトとともに暮らすロジのプラトニックラブな関係は、得てして大裸花な近年の愛情表現とは対極にある。そんなところもファンの柔らかい処をくすぐるのであろう。
ストーリー自体は、仮想世界での攻防戦だし、バーチャルの中のバーチャル的な、経験や感触が如何に曖昧で不確かなものかを、指摘している。
更に個人的に面白かったのは、ロジがドライブするスポーツカーの収納が後部にあるだけでなく、前のボンネットにもあって、物を探す警官の検問をすり抜けるネタになっているが、それはポルシェのボクスターの収納がそうなっている。ミッドシップスポーツカーなので、シート後部にエンジンがあり、さらにその後ろにトランクルームがあるが、前部ボンネット下にもカーゴスペースがある。そのことから、ヒントを得たのだろう…と元ポルシェ乗りは思った…ちょほほ。
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