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29年ぶりのサントリーホール

自分用の忘備録に書いています。29年ぶりにサントリーホールに行きました。ちなみに29年前に最後に行ったのはどのような演奏会かというと、
1998年10月19日
ベルリンフィルハーモニー交響楽団
指揮 クラウディオ・アッバード
アルト アンナ・ラーソン
アーノルト・シェーンベルク合唱団
東京少年少女合唱隊
これは今でも思い出すのだが、本当に素晴らしかった。
娘の友達のお姉様が合唱隊にいて、ベルリンフィルと共演というので
一緒に行ったのだが、今でも昨日のように思い出す。
その時のベルリンフィルは本当に素晴らしかったのだが、特に金管が
凄かった、肺活量違うなあという印象でした。
もちろん、コーラスも歌手も素晴らしかった。
コンサートマスターは安永徹さん。カリスマ。

私が今まで一番、弦のセクションが違うなあ、素晴らしいなあと感動したのが、1997年8月ザルツブルグ音楽祭 ウィーンフィル。ボリスゴドゥノフ
指揮がヴァレリー・ゲルギエフ。ザルツブルグデビューだったらしい。
ゲルギエフ誰や?という感じで、バリトンのサミュエル・レイミーが目当てだったが、ロシア人のバス歌手が代わりに出ていた。がっかりだったが、
オーケストラピットから弦のどどどどど~んと想定外の凄い響きが来ました。オーケストラピットをのぞき込みながら、指揮者の様子とロシア人の歌手が歌っているのを見ていたのだが、ゲルギエフの顔とロシア語のコーラスが神秘的でこの世のものとは思ませんでした。
ロシア正教の舞台セットで不思議に幽玄な世界でした。

ソヒエフさんが来日してレニングラードを振って、ロシア人がカプリ島の別荘に遊びに行っているようなプルチネッラを聞いて、篠崎さんのブラームス1番のソロ、白鳥の歌を聞きました。みな良かった。
サントリーホールに行けたら行きたいと願っていたら、天の采配で行けました。いろいろとついていた。
想像以上に弦のセクションは凄まじく、N響から弦の熱く芳醇に響く記憶が蘇りました。ソヒエフさんってゲルギエフと同郷だよね。お国に伝わる弦の力を引き出す魔力を持っているのかな。

オープニングにムソルグスキー(リャードフ編)/歌劇「ソロチンツィの市」─「序曲」「ゴパック」 これから始まりますよー、という明るい音楽

このあと、4番の剛速球投手登場。やっぱりスターのオーラがありました。
バルトーク バイオリン協奏曲2番 郷古 廉さん
譜面を見ながらひいてくれたのですが、凄まじい集中力と気迫で
ゾーンに入っているのだろうなあ、という演奏でした。
器が大きい。精神性が高く、穏やかで何も動じないような人に見えた。
 彼は武芸者のように集中して、射貫くような目をしていました。
ハープが聞こえて最初の一音から、切っ先鋭く、弓で空気を割くような凄まじさ。風圧があるというか、演奏の波動で、物を動かせるような力があった。なぜこの人がコンサートマスターに選ばれたか良くわかりました。
バルトークの音楽は難しい。予習をしていったが、取り留めもなく
あるときは非常に美しく清らかで、しかし悲しい。第2次世界大戦の時に
アメリカに移住して亡くなっているので、作曲家は苦労していると思う。
郷古さんは、ユーディ・メニューインの名前がついたコンクールで優勝しており、メニューインはバルトークと関係が深いので、本家筋の演奏を
聞いているんだろうかなあとぼんやり思いました。
アンコールはジャズマンみたいに郷古さんが、第一コンサートマスターの
長原良太さんを呼び出して紹介したので、イエーイと言いそうになった。
両雄並び立って「新年のあいさつ」という曲を演奏してくれました。
トランプではないが「新しい黄金時代の始まり」を見たのでした。

N響は旧暦の正月なのかなあ。ドボジャーク 8番88(香港だったら大当たりの数字)縁起良いナンバーを演奏してくれました。
ソヒエフ魔術師から記憶に残る弦の厚みのある音がどどど~んと蘇りました。引き寄せの法則というか魔術によってここに座れたのかと思ったくらい。まさに世界のトップオーケストラでした。
音は綺麗に重なって厚みがあるというか、こんな弦の音が来るんだ凄い。
視界に弦のセクションしか見えません。しかしノリノリでした。
楽器演奏しながら踊っていたように見えた。
バイオリニストの揃って踏み出す足、澄みきった大きな音。
ソヒエフが右手を下に指すと、
ビオラ奏者の上半身は揃って前のめりになり、
足は揃って踏み出すように見えたし(たぶんあの人たち踊れると思う。)
チェロは左右にスゥイングしていた(!)ロックなドボジャークでした。

長原さんは、弓からでた毛を、ぴっと引っ張ってましたね。
豪快な人で、演奏も力強いです。魔法の世界を制する人だよね。
長く続けてください。集団芸の極致というか、凄いと思う。
どうやって息を合わせて、あんなにダイナミックに弾けるんですかね。
これからますます期待もてますよ、
と何の音楽的素養もない私からの広報でした。いらんやろうけれど、
書かないと幻想に引きずられるから、書いて魔法の結界を張っておくわ。
さあ、仕事をしよう。



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