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チェンソーマン 1 (ジャンプコミックス)
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それは「進撃の巨人」を初めて読んだときの感触に似ていた。
「世界は残酷。だからこそ美しい」
真実であり、願望である。
あの名台詞は、もしかしたらこの「チェンソーマン」にこそふさわしいのかもしれない。
理不尽だけが、この世界に存在している。
デビルハンター・デンジの生活を見ていると、そうとしか思えなかった。
どれだけ悪魔を狩っても、借金を返すための日々。
人並みの生活すら遠い彼方の中、依頼人のヤクザによる「理不尽」によって、デンジはだまし討ちに合う。
人間らしいささやかな夢すら叶わない生涯。それが相棒・ポチタとの融合によって、デンジは魔人殺し・チェンソー男として覚醒する。
その後は、胸の大きい女性・マキマに犬扱いされつつもスカウトされて、新たな仲間たちと
共にデビルハンターとして働くことに。。。
男としての欲望にまみれ、胸を揉むために命をかけるデンジ。
節操もないその生き方を笑うことができないほど、彼の置かれた状況は今の日本にあふれていないか。
日々のささやかなことを、貴重で美しく、尊い、と思えることを、当たり前のなかで見逃してはいないか。
チェンソー男の血みどろ殺戮シーンに目を背けたくなる一方で、それらがどこか、命の叫びに見えてしまうのだ。