2022年11年13日のこと 中崎透 「フィクショントラベラー」展、坂本龍一、東京へ
あっというまに日曜の夜はふけてしまって焦りまくっているよ文学。サザエさんは見ていないがサザエさん症候群なう。明日は仕事だブルーだな、
昨日は、用事があって、一日中水戸芸術館にいた。いたんだけど、展覧会の展示を見る時間はあまりなくて、小刻みに展示を観るという変な見方をしてしまった。
待ちに待った「中崎透 フィクショントラベラー」展!
展示室の奥の部屋に用事があったので、展示ルートを逆走して出口から入ったため、いちばん最初に見た展示は、なんと、山下陽光さんの壁に貼られた友情作品だった。わァッ!と思わず声を上げてしまい、ビックリしすぎて笑ってしまった。
それにしても、ライトボックスの明かりがホワイトキューブの壁の白さにとても映えている。みとげの展示室の特徴でもある自然光にもマッチしていて、きゅん、となる。
カラフルだけどアクリル板の柔らかい灯りは、ほんわかとやさしい。ちゃんと見たいから、中途半端には見ないようにして展示室を通過したけれど、ついキョロキョロ観てしまった。
お預け状態のまま夕方になり、やっと用事から解放されたので入り口から展示を観なおした。
先日の山下道ラジオ飲み会版で、下道基行さんが中崎さんの展示を観たら泣いてしまう、と言われていたことにきゅーんとなり、カンドーしていたから、水戸ナンバーワンキャバ嬢こと中崎氏に遭遇したら、下道さんのかわりに泣いてしまうかも知れない、と思ったけれど、残念ながらキャバ嬢の姿は拝観できなかった。
しかし、展示室の入り口にウエルカムの文字を掲げた人型ライトボックスが立っているのを発見して、個人的な思いから思わず涙が出てしまった。
ウエルカムの文字を掲げた人型ライトボックスとは、2年ぶりの再会になる。2020年11月、父が病いで倒れた為、東京の生活を引き上げ、地元の水戸へユーターンしたとき、コロナ禍もあり、水戸のビジネスホテルで数日、自主隔離をしてから実家に戻ることにした。
そのホテルの食堂から、なにか光るものが見えて、光の正体を確認をしに行ったら、ホテルの向かい側にギャラリーがあって、その中に中崎透さんのこのウエルカムの文字を掲げた人型ライトボックスの作品があったのだった。
ウエルカム、という文字に、2年前のわたしも泣いていた。みやこ落ちをしたような挫折感と、父を喪う恐怖で苦しい思いをしていたわたしを、ライトボックスの作品はあたたかく受け入れてくれたような気持ちにさせてくれて、救われたんだ。
あれから2年が経ち、水戸での生活もどうにか軌道に乗り、新しい知り合いも出来、仕事も見つかり、立ち直りつつある今、再びの「ウエルカム」は、よりあたたかく感じ、水戸っぽとして歓迎されている気持ちになれて、嬉しくて泣けた。
わたし、この2年間、踏ん張ってこれたんじゃないかな?
中崎透さんの展覧会は、ラジオで下道さんの語られていたように、ライトボックスなどの過去の作品を並べて、、みたいな作品の集大成なのかな、と想像していたけれど、全く違った。いい意味で裏切られた感じ。
タイトルの「フィクショントラベラー」というのも、展示を観る前はどういうことなんだろう、と思っていたけれど、展示を見てからは、なるほどそういうことなのかとジワジワわかってきて、たまらなくなった。
30代から70代までの5名の方にインタビューをした言葉の展示を差し込んでくるところ。言葉とクロスして展示が続くところ。組み込まれた多重の構成が、大好きすぎる世界観だった。
でも、積み上げられた瓦礫の上に工事現場みたいな足場が組まれ、仮設された展示空間へ階段を登っていくフロアは、そそっかしくて高所恐怖症なわたしは緊張しまくる。歩くたびにミシミシ音がなるからびびって汗かきまくり。
コロナ禍になり、運動不足とストレスの為に、体重が倍増しまくったわたしは、もしもわたしの重さのせいで足場が崩壊したらどうしよう。もしも足場から滑って落下したら事件になってしまい、展示を台無しにしてしまうかも知れないと、ネガティヴなことを想像し、プレッシャーで足がガタガタと震えまくってしまった。本気でダイエットを誓う!
続く映像作品を笑いながら見ていたら、タイムオーバーで閉館時間になってしまった。結局、半分しか観られなかったけれど、また日を改めてじっくり観に来る予定。
それにしても長い1日だった。家に帰り風呂上がりにソファでボンヤリしていたら、坂本龍一さんのYouTubeプレミアム配信があることを開演2分前に思い出して慌てて観る。
坂本龍一さんのピアノソロコンサート。本当に一音一音が繊細で、教授の手元、指さきまで凝視してしまう。美貌の青空、Aqua、戦場のメリークリスマス。好きな曲をしんみりと聴く。ありがとう教授。12月のラストコンサートも絶対に聴きます。
雑誌新潮の連載「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」は、2回までしか読めていない。1回目の連載は、新潮が売り切れてしまいなかなか読めなかったけれど、この間やっと読めた。もの凄く胸に刺さった内容だった。「遺す」という表現者の宿命を思う。
東京でやり残したこと。それは、静嘉堂文庫美術館の曜変天目を20代の頃から見たいと思っていたのに見られなかったことだ。最近、曜変天目の茶碗のぬいぐるみのレベルが高いというツイートを見て欲しくてたまらなくなり、曜変天目は来月まで公開されているというし、これはもう東京に行くしかないか?と考える。
東京観光!すてき!!
母が明日チケット発売の歌舞伎座12月公演に行きたい、というから行こう行こうと盛り上がるも、松竹のホームページを見たら、すでにわたしたちが観たい歌舞伎座夜の部は一般発売前日にほぼ売り切れだった。無理じゃん。観に行けないじゃん。
12月公演は、団十郎襲名公演で歌舞伎スター勢揃いの口上があるし、市川中車こと香川照之さんも出演するし、そりゃそうだよ、プラチナチケットでしょうよ。
中車の芝居、見たかったナ。でも、年内のうちに一度は上京したいと思っている。きっと上野駅で降りたら泣いちゃうかも知れないナ。