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コロナ禍で迎えた、社会人一年目
2020年、3月一一
私は4年間、共に学び成長してきた仲間と一緒に大学の卒業式を迎える予定でした。
たくさんのことを経験して、「社会人」という新しい人生のステージに不安と期待の両方をめいいっぱい胸に抱いて。
きっと辛いことも楽しいこともたくさんあるだろうと思っていました。
今まで経験してきた「学生」とはまた違う「社会人」という立場一
大学4年生、卒業間近だった私は新生活に胸を躍らせていました。
しかし、
その期待と想像を大きく裏切られたのです。
新型コロナウイルスです。
一生に一度の晴れ舞台、卒業式。あちこちで歓喜の声が聞こえてきて、袴姿で友人と一緒に写真を撮ったり後輩たちから祝福の花束をもらって涙を流したり。
でも私たち、2020年卒業の代はそれが叶わなかった。
卒業式直前、大学からの卒業式中止の知らせ。
言葉が出なかったのをよく覚えています。これが私の壮絶な1年の始まりでした。
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大学側が学校の門を開けていてくれたので、私は袴を着て友人と大学生活最後の1日の写真を友人と撮ることができました。今思えば不幸中の幸いだった思います。
友人の中には直前でお金を払い予約していた袴のレンタルをキャンセルしたり、当日大学に来られなくなったり、という人もいました。
まさに「異色」の卒業式だったと思います。
そして迎えた2020年4月一
会社から驚きの一報が入ってきました。
「入社式、新入社員研修の中止および自宅待機のお願い」
その報せは覚悟を決めて学生を終え、社会人を迎えた私の気持ちを容易に壊していきました。今でこそリモートも在宅勤務も当たり前になっています。
ですがその時の私は学生と社会人の区切りである卒業式と入社式が立て続けに中止になったこともあり、自分の立場がよく分からなくなっていました。
そこから想像もしていなかった社会人一年目の生活が始まったのです。
4月上旬に発令された「緊急事態宣言」。その影響から出社日が6月まで延期になりました。この頃は社会全体が自粛ムードというか、経済や人の動きも止まった時期だったのでそこまで思い詰めることも少なかった気がします。
そして宣言解除後の6月末、学生時代の友人達が次々と出社していくのをInstagramのストーリーや投稿で見ていました。
私は業界的にコロナウイルスの影響を大きく受けてしまい、とても出社できるような状態ではなかったのです。
この時から強烈な孤独感と焦りを感じ始めたのです。
だんだんと孤独感や不安がおおきくなり、自分の存在価値も分からなくなってきたのです。
本当に何もできませんでした。仕事がないから出社することもできず、自宅待機を命じられ何もせず一日中家で過ごすに日々が続きました。雇っていただいているからか、なぜかお金は毎月口座に振り込まれる。
「あれ、働くってなんだっけ一」
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働いてないのにお金が貰えるという、異常な状況。夏頃から感覚が鈍っていきました。
解雇にされないだけ本当に幸せだったと思います。周りの友人からも、
「何もしないでもお金貰えてるじゃん!」
「いいなぁ、私もずっと家にいてダラダラしたい〜」
「ずっと家に居てお金もらえてるとか神じゃない?」
このセリフを何回聞いたか分かりません。最初は「そうだよね、今の私贅沢だよね」とか冗談っぽく言っていましたが、それを言うのもだんだん辛くなっていきました。
私は、普通に社会人として働くことができているみんなが羨ましかった。
みんなみたいに会社の同期と一緒に華金〜!って週末に居酒屋で乾杯したかった。
辛いことも多い仕事で達成感を味わってみたかった。
会社という空間を知ってみたかった。
先輩社員と画面越しではなく実際にお会いしてみたかった。
みんなと同じように社会人経験を積みたかった。
私みたいずっと家にいるの耐えられるの?
これは贅沢な悩みだったのでしょうか?私はこの2021年1月になっても未だ1回も出社していません。
私って本当に社会人なの?
何回自問自答したか分かりません。みんなが仕事に慣れ、社会人として過している姿を家にこもり、SNS上で眺めているだけです。こんなにもSNSが嫌いになった時期はありませんでした。
確かに世間から見た私は「働かずにお金を貰えて、家で自由に過ごしている」人間だったと思います。
本当に苦しかったです。自分が何者か分からず、社会から必要とされていない感覚が消えなかったです。人と関わることが生きがいだった私にとって、これ程閉鎖的に過ごした一年はこれまでにありませんでした。約10ヶ月に渡る自宅待機は想像を絶していました。
それでも時間だけは私の自由に使えました。
それが唯一の救いだったのです。
自分と向き合う時間が増え、私ってこんな人間なんだと気付くことができました。
良い大学、良い会社に入ったからといって人生が幸せになる訳ではないことを学びました。今回のコロナで影響を受けた会社がとても多く、会社に居れば安心ではないと。
会社や誰かに頼るのではなく、私の生き方は私で決めたい。
自分で自由に生活できる力、知識、経済力が欲しい。
時間をどう使うかは全て自分次第。
今、時間がたくさんあるなら未来の自分のために使おう。
この一年で経験したコロナ禍での社会人一年目。
私の思い描いていた生活とは全く違う一年でした。他の誰とも違う、私しか経験できなかった一年。
「この一年を必ずプラスに変えてみせる。」
今はこう強く思えるようになりました。
2021年1月、もうすぐ大学を卒業して一年が経とうとしていますが、私はまだ社会人として働いていません。でも悲観的になることはもう何も無いと思っています。
コロナ禍だからこそ自分と向き合い、出した意思や考え一
私はこの一年で経験したことを絶対に無駄にはしない。
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4年後か5年後、いつかコロナが過去になったときに
「あの一年があったから私は今強く生きることができるんだよ」
と笑顔で自信を持って言える女性になっていたい。