「前髪カット1,000円」
私は美容院が苦手だった。過去形なのは、今では少し好きになったと言えるから。
私にとって美容院は、行かなくちゃいけないけどちょっと緊張する、そんなところだった。キラキラの最たるところのような気がして。
だから私は、前髪が伸びるといつも自分で適当に切っていた。家庭用のカットバサミでざくざくと。
ただ面倒くさがりな私は、自分で切るのもまあまあ面倒で。あるとき、前髪の長さが我慢できなくって、切りたいなあと思ってたところに「前髪カット1,000円」の看板が目にとまった。もう切って