【SS】始まらなくても
映画のエンドロールが終わり客電が灯くと眞美は大きく背伸びをして席を立つ。
レイトショーの旧作映画のため、客は眞美の他に眞美の2列後ろに一人だけだ。
忘れ物の確認ついでにもう一人の客をちらりと盗み見る。平日のレイトショーでこんなに観客の少ない旧作映画を見に来るのはどんな人かと気になったからだ。
金髪の男性が帽子をかぶり席を立つところだった。背高いし眉間にシワ寄ってるし怖そうだな、と視線を戻す。
「あっ!」
思わず大声を出してしまった眞美を通路を歩き出していた男性が驚いた様子で振