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あかね噺-第139席・旗揚げ-感想

<第138席感想・感想リンク・第140席感想>

「バーチャファイター」の話。
先週も書いたけど、VFの事が頭から離れない。
なんだかんだで、私はセガのゲームが好きなんだなって思う。
先週書いたときは、大神や鬼武者にトレーラーの再生数で負けているって話だったけど、海外向けのトレーラーの再生数は100万回を超えていて、大神等よりも多くの再生数を得ており、注目度は高いようだ。
IPが死んでいるとは言ったものの、遊んだことはないけど凄いゲームぐらいの認知度はあるようで、逆に新鮮に写ったのかもしれないし、あのトレーラーを見れば、新しいことをやってると気づく目の利く人も多いようで、VFを好きな自分も少し救われた気がする。
VF5eSのsteam版であるVF5revoが来年1月に発売されて、そこでVFの面白さを知ってほしいんだけど、VFを全く知らない人には、全く優しくないゲームなので、プロモーションにはならないだろうなって思う。
海外のVF好き達が、頑張って布教してるのを見ると、こういう使い方するなら、もうちょっと初心者にわかりやすくチュートリアルや遊び方の動線を作っておけよと思う。
インタビューを見る感じでは、新作では問題点を捉えてしっかり作るっぽいんで、それからが勝負ってことなのかもしれないけどね。
発売は相当先っぽいので、楽しみにしながら待ちたいと思う。

◆あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年12月16日発売 3号 

生禄が、阿良川志ぐまを襲名し阿良川一門が誕生。志ぐまの墓前で過去編が終わる。

◆感想


阿良川一問誕生編は、これで終了。どこまで長くなるかと思っていたのですが、この回が16巻の真ん中ぐらい、過去編のみだと単行本1冊程度で、ちょうどいい感じの尺だったんじゃないでしょうか。
「ここははなしの墓場さ」128話の回想で生禄が語ったセリフは、阿良川一門が出来た瞬間だったんですね。ちょっと感動しました。
今回は、はなし塚・継承と贖罪、について書いていきます。

はなし塚
前回の感想で調べたけど見つからなかった場所は”はなし塚”でした。
絵のタッチからして、絶対この場所はあるって思ったんだけど、見つけれなかった。
でも、この”はなし塚”の存在は知っていました。”志ぐまの芸”を考えるのに、いろいろ調べている過程で”禁演落語”って存在を知って、その中に出てきたんですよね。
”志ぐまの芸”が禁演落語”に関する落語なのかなって調べたけど、戦中の”禁演落語”は、戦後に取り消され、それ以降は今の時代にそぐわない(放送禁止用語とか、今の価値観など)による自粛って形で”禁演落語”が存在するって流れで、誰も出来ない孤高のネタのような物がないので、ここには”志ぐまの芸”は無いなと結論をつけました。

はなし塚は落語の墓場ですが、この時にはすでに禁演は解かれており、葬られた落語も蘇っているので、落語家の再起を目指すにはいい場所です。
ここで、生禄の名前を”生そば”と”禄ゑん”の二人に一字づつ託し、自身は”阿良川志ぐま”を継ぐと宣言します。

この”阿良川志ぐま”は、ギャグと踊りで人気のあった異端の芸人の名前と明かされました。
以前も感想で何回か書いていますが、談志が”7代目立川談志”を継いだ時の”立川談志”という名跡は、裸踊りの談志と呼ばれたキワモノ芸人が記録に残っている程度の名前だったというエピソードとほぼ同じです。
作中では、いい感じで異端の芸人と持ち上げていますが、誰もが継ぎたいと言えるようなエピソードで無いことから、この世界でもそこまで大きい名前では無いんじゃないかと推測します。

なお、一説には、談志はこの”裸踊りの談志”の名前を以前から気に入っていたようで、あえてこの名前を欲しがり”林家正蔵”に掛け合ったって話もあるようです。
ある種のくだらなさにも、価値を感じていた談志なら、この”裸踊りの談志”という異端の芸人の名前をあえて付けるのも談志らしい反骨心を感じます。
師匠である柳家小さんが談志に与える予定だった”柳家つばめ”って名前が気に入らなかったのは、そりゃそうだよねって思いますよ。
弟弟子に自身の後継者を示す名跡の”小さん治”を授け、談志には”つばめ”じゃ嫌になるのも当然だとは思う。

生禄は破門の後で、新しい名前を探し、異端児である自分が付けるにふさわしく、誰も継ぎたがらなさそうな名跡として”阿良川志ぐま”に目をつけたのでしょう。
”柏家三禄”という業界の大物から破門された落語家が、勝手に名前を襲名出来るわけは無いので、三禄の圧力にも屈しない大物が助け舟を出したんだと思います。
立川談志は小さんから破門された後に落語協会からも追い出され、弟子ともども寄席に上がれない一門になるのですが、阿良川一門は落語連盟からは追い出されなかったようで、この辺りは一門だけでなく監修である落語協会所属のけい木さんも安心したと思います。

こうして阿良川一門が誕生し、記念撮影があかねの手元の写真に繋がる所で、この過去編は終わりました。
あかね達が、金沢に来たのは、生禄の墓に参るためでしたが、墓石に”阿良川志ぐま”と書いてあるのは驚きました。
普通の落語家の墓は、普通の人と同じお墓です。
名人と名高い”古今亭志ん生”のお墓は、本名が美濃部孝蔵なので、美濃部家の菩提寺であった浄土宗還国寺にある「美濃部家之墓」で、ごくごく普通のお墓で、息子であり父とは違う大名人であった”古今亭志ん朝”も同じお墓に入っており、多くのファンが名人を偲んで訪れています。

しかし、立川談志のお墓は、墓石に「立川談志」と本人の筆で書かれており、あかね噺もこれに習ったのか、作品としてのわかりやすさなのか、お墓には大きく”阿良川志ぐま”と書いていました。
一点だけ、談志のお墓は東京なんですが、生禄のお墓は金沢でこの部分は違いました。
意味を求めて、談志と金沢との縁は探したけど見つかりませんでした。
強いて言うなら談志の弟子の志の輔が富山出身(微妙に違うけど)ぐらい?
なぜ、金沢なのか?わざわざ描写するには、なにか意味があると思うので、今後の展開に期待したいです。

継承と贖罪
前回の感想で、一生と志ぐまの間の溝があるって書いたのですが、今回の話で、あの予想はおおよそ当たってる気がしました。
表立って対立していないけど、このズレが二人の間を割いていくように感じました。

柏家生禄には、2つの道がありました。それは名門柏家一門のトップとして古典王道派の卓越した技能を披露する格式のある落語家への道と、その技能を使った自由で鮮烈な落語を披露する改革派の落語家への道。
生禄自身に、柏家三禄を継ぐ事に対する未練が無かったのか?については分かりませんが、三禄の道を選ばなかったのは、弟子のためとはいえ、自分で決めたことなので、後悔があるようには見えませんでした。

生禄から”生”の字を受け継いだ”生そば”は、償うという言葉を使っています。何を償うのか?と言えば、柏家三禄を捨てさせたことです。
一生と名を変えた後も一生をかけて償うつもりのようですが、これは阿良川を柏家と同じ格式にする事を償いとしているように見えます。
その格式に対する思いが、志ん太を破門にした原因で、生禄を破門にした三禄と同じになってしまっているのが皮肉です。
更に言うなら、それを生禄が願っていたようにも感じませんでした。

対する”禄ゑん”は、この事を笑いに変えれるぐらいデカくなると誓います。
これは、汚点を笑いにするのが落語家だという生禄の落語観の継承です。
生禄を託すというのは、本来ならこの道を指すはずです。

破門を承知で初高座に立った志ぐまと、知らなかった一生。自らが破門を申し出て生禄から覚悟と理由を聞かされた志ぐまと、三禄の破門宣告で生禄の運命を知った一生。お金持ちのお坊ちゃまだった一生と、ただの蕎麦屋のバイトの志ぐま。同じ事件でも、立ち位置の僅かな違いで感じ方は違う。
一生と志ぐまでは、生禄への贖罪の方法が変わってしまっていて、一生は名誉挽回を誓い、志ぐまは落語観の継承を誓う。
生禄が阿良川志ぐまの名を一生ではなく志ぐまを選んだ理由も、自らの落語観の継承者である志ぐまに名前を託したように見えてきました。

しかし一生は、生禄からその贖罪は違うと否定されたのに等しい”阿良川志ぐまを継げなかった”という事実があるのに、生録の格式の回復に固執しているのは、理由がわかりません。
一生が贖罪に固執する理由を考えるには、この過去編だけでは、まだまだ材料が足らない感じがします。
-----追記-----
と思っていたのですが、読み返してみたら、生禄は一生らに三禄は落語に関しては素直だから噺で魅せろって言って送り出してます。
なので一生の視点では、自分の落語で三禄を納得させれなかったって構図になっていて、落語前に破門が決まっていた志ぐまとは罪の感じ方が違う事に気付きました。
自分の力で、破門にならない道があったんだから贖罪の気持ちが強いし、弟子たちの芸に対しても厳しいんだと思います。
-----追記終わり-----
あと、この格式の回復というのは、あかねの”志ん太の落語が凄かったと認めさせる”という動機に近しいものがあります。
魁生や一剣が、あかねの気質は志ぐま門下よりも一生門下の方が向いているとしたのも、こういう根っこの動機部分にあるのかもしれません。
あかねは一生の下で何を学ぶのか、今後の展開が楽しみです。


そういえば「Netflix」のジャンプ作品WEBCMですが、並みいるジャンプのアニメ化作品群の中に未アニメ化の作品が2つありました。それが「カグラバチ」と「あかね噺」です。先日のヘボアニメプロデューサーといい、かなり外堀が埋まってきている感じがします。
以前も書いたとおりに「アイシールド21」は7話の時点でアニメ化の話が決まったと稲垣先生が語っていたように、「あかね噺」アニメ化自体はとっくの昔に決まってて、いつ発表するかだけの話のはずです。
例のヘボアニメプロデューサーは、海外でソコまで人気にならないから、あんまり期待できないみたいな見解でしたけど、個人的には「カグラバチ」には負けると思うけど、今のジャンプ連載陣で「カグラバチ」と「ワンピース」以外のマンガで「あかね噺」よりも上になると断言できるマンガはないので、海外でそれなりにヒットする可能性も全然あると思ってます。
実写化の声も多いけど、まずはアニメ化でお願いしたいって事で感想を終わります。でわでわー。


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