登録日本語教員の法律案を読んで思ったこと
久しぶりに日本語教育関係の記事を書きます!
皆さんもご存じかと思いますが、ついに「登録日本語教員」についての法律が成立しましたね!!
皆さんはこの法律について読みましたか?
読んでみると、結構いろんな発見があります。
文部科学省のホームページから法律案の概要や案文を読むことができます。
わかりやすい説明サイトもたくさんありますが、まずは自分で一読することをおすすめします。
読むのが少し大変かもしれませんが、今後の日本語教育がどこに向かっているのかということがわかるからです。
私も読んでみました!
ということで感想をまとめました。
法律の名前が長い
まずはこれですね。
え?これ?って感じですが、まずはこれです(笑)
正式な名称は
「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」
です。
短くして「日本語教育機関認定法」とも呼ばれていますね。
この法律名を読んで皆さんはどう思いましたか。
法律名に「登録日本語教員」という言葉がありません。
つまり、この法律は「登録日本語教員」を作ることが目的ではありません。
目的は
「登録日本語教員」という資格を作って、外国人と日本国民との多文化共生社会のための法律だと言えると思います。
その手段としての資格の創設なんですね。
だから、「ついに国家資格だ――!!」
と喜ぶのではなく、その先に何があるのか。何のために国家資格となったのか、そこまで考える必要があると思います。
そのためにまずは読みましょう。
特に日本語教育機関で働いている先生方。
この法律がすぐに関係してくるのが現役の日本語教育機関で教えている先生、そしてこれから働こうと思っている方々です。
外国で日本語を教えている先生、地域のボランティアで教えている先生は、
すぐに登録日本語教員の資格を取らないと!!っていうことではありません。
あくまでもこの法律では「日本語教育機関」がメインになっています。
でも、自分は働いていないからいいや~っていうのも良くないと思うので、とりあえず皆さん読みましょう!笑
日本語教育機関の認定が大変?
法律の中でまず書かれてあるのは「日本語教育機関の認定」についてです。
「日本語教育機関の設置者」が「申請」をして認定を受けることができるんですね。
私はこの「設置者」についての部分が気になりました。
「日本語教育機関の告示基準」にも「設置者」についての基準があります。
比べてみましょう。
日本語教育機関認定法
日本語教育機関の告示基準
告示基準では「設置者(担当する役員)」は「経営をするための必要な識見」を有すること、でした。
でも、今回の日本語教育機関認定法では、
「必要な知識又は経験(法人の場合は経営を担当する役員が知識又は経験)」を有すること、となっています。
「経験」!!!
「かつ」じゃなくて「又は」なんですね。
でも現場を知らないトップの人たちにも日本語教育に関する経験を求められている、というようにも捉えることができると思います。
そんなの当たり前だよ~。
っていう学校はもちろんあると思いますが、今まで現場に任せっきりだった学校の経営者の方々。大丈夫ですか。(前職の学校)
文部科学大臣が認めるとあって、厳しくなったのかもしれません。
これを機に、設置者(経営者)の方々にも現場のことをよく知ってほしいですね。
文部科学大臣に認められるためには現場の教員だけじゃだめです。
学校一体となってお願いします。
他には「名称の使用制限」や「認定日本語教育機関の表示」「日本語教育の実施状況の定期報告」についての内容がありました。
定期報告は大変ですね。
入管に報告する事項も多いのに、こっちも定期報告があるとは。
詳しい内容は書かれていませんが、事務のあまり負担にならないような内容だといいなあと思います。
報告業務って結構大変ですからね…。
「登録日本語教員」となって変わること
まず一番は「国家資格になる」ということですね。
正確には「文部科学大臣の登録を受けることができる」ですね。
「登録を受ける」だけ聞くと、国家資格って感じがあまりしないのは私だけ?
登録を受けるために試験に合格し、実践研修を受ける必要があります。
これは前々から言われていたこと。うんうん。
そしてここで新情報!!
登録をしたら登録証が交付されるそうです!!
え!ほしい!!かっこいい‥‥!!
と普通に思いました(笑)
公に証明できるものを手に入れることができるのはうれしいですね。
そして気になるのが、経過措置です。
令和6年4月1日から施行で、移行期間が5年間で令和11年3月31日までということになりますね。
令和11年か…。
何してるんだろう…。
経過措置期間中に日本語教育機関に戻って非常勤でも働いていたら、免除コースに入れるのかな。
現在免除コース(試験や実践研修の免除)は現役教師が対象です。
日本語教育機関で働いていないと適用されないのが現状です。
現職の先生方が優先ですからね。それはしょうがない。
でも、日本語教育機関を離れている先生にも何かしら特別措置を取ってほしい、というのが正直なところ。
現在日本語教育機関で働いている教員は約4700人(専任:約1500人 非常勤:3200人)です。(令和4年度日本語教育機関実態調査結果報告より)
多いと思いますか。少ないと思いますか。
私は少ないと思います。日本語学習者の数は増えているのに教員の数は減っている。
今から登録日本語教員になりたい人を増えるのかな、っていうのが正直な考えです。
それよりは現場を離れていても現在の日本語教師の資格がある人が経過措置期間中に何かしらのフォローがあって登録日本語教員となり、いつでも日本語教育機関に戻れるような仕組みだといいなと思います。
いろんな事情で離れている人もいると思うので。
資格を持っていても生かせる場所がない人もいます。
留学生受け入れにどのくらい影響があるのか
いろいろ書いてきましたが、私が一番疑問に思ったことが
留学生受け入れにどのくらい影響があるのか
です。
認定日本語教育機関になることで、国(文部科学省)に認められた日本語教育機関であるということを公表することができるようになります。
でも、そうなったことで実際に留学生にとってどんな影響が出てくるのでしょうか。
いい影響?悪い影響?
悪い影響はさすがにないか。
正直留学生は日本に行ければ学校はどこでもいい、っていう学生がほとんどだと思います。
ちゃんと入国前から希望の学校を探して、そこで何を勉強したいかなんて調べてくる学生もいるとは思いますが、でもほとんど違うんじゃないかな。
学生もそうだし、仲介会社も同じです。
留学生を日本へ入れてしまえばお金が入りますから、正直どこでもいいんですよ。
すっごいブラックな言い方ですが、でもこれが現実だと思います。
だから今回の法律について日本国内だけではなく、留学生やその国、そして留学生を紹介する仲介会社など広く周知させていく必要があると思います。
だれのための法律ですか。
日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、もって我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与することを目的とする。
ですから、「外国人」のため。「日本語を勉強している人」のため、です。
この点についてもう少し詳しく決められて、法律が成立したことによるいい影響が世界中に広まるといいなあって思います。
せっかくできた法律ですからね!
まとめ
久しぶりにこんなに長い記事になりました。
5000字超えました。
といってもほとんどコピぺなので私が書いた分は半分以下でしょう…。
改めて法律案を読んでみて、「よし!」って気持ちになりました。
何が「よし!」かなんとも言えませんが、決まったからにはやるしかないって感じですね。
現在日本語教育機関で働いていないので、現状のままであれば私は免除コースに当てはまりません。
まあ、しょうがない。
もうあきらめて試験受けたり、研修受けるしかないと思っています。
学びなおしができるってことで前向きにとらえたい。
でも受験料等は割引とかにならないかな(笑)
私が思ったことと皆さんが読んで感じることはもちろん違うと思います。
なので、日本語教育に携わっている皆さん、これから日本語教師になりたい人、日本語教育について興味がある人、ない人、だれでも、一度今回成立された「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」を読んでみてください!
時間がない人は概要だけでも。
https://www.mext.go.jp/content/230217-mxt_hourei-000027694_1.pdf
長文、最後までお読みいただきありがとうございました!