見出し画像

へろへろ…ニューヨークひとり旅 出国編

いよいよ出国編である。ぶっちゃけ出入国の出来事がこの旅のクライマックスなので、ここが書き終わったらニューヨークの旅はほぼ終了である。前回、前々回とさんざんマイナスなテンションで書いたが、ニューヨークのひとり旅は普通に楽しかった。いや、すごく楽しかった。今度行く時もひとり旅がいいなと思うレベルである。フリーSIMなくても、ひとり旅なら全然なんとかなった。(連れがいる場合は流石に用意していこうと思うが)前日までいくらごちゃごちゃ言っていたって、実際に行ってしまえばなんとかなる。「案ずるより産むが易し」だ。ただ、入国するまでの過程が一番しんどかったのでそれを書いておく。まずはバスの運転手さんに「ビザないの!?」と言われたところからである。

ビザがない!?

運転手さん「おい、あんた、今、ビザがないって言った!?」

私「は、はい…必要ないって聞いたので…え?要るんですか?」

運転手さん「何言ってんだお前ェ〜〜〜〜!」

運転手さんはズケズケ言うタイプの人で、それが嫌味とかではなく、彼の接客スタイルだった。ディズニー映画のアラジンに出てくるジーニーのテンションだ。リアクションもジーニーっぽかった。「不機嫌なジーニー」という表現がすごくしっくり来る。
さて、どうして私はビザを持っていないのか。それは、「カナダからアメリカに入国するときにはビザは必要ない」と聞いていたからだ。ただし、旅行客はビザの代わりに「エスタ」(ESTA)という電子渡航認証を申請しなくてはいけない。

運転手さん「OK、OK。わかった。つまり君はエスタの方を申請済みってことね?」

私「いえ…エスタも申請してないです…陸路は必要ないって聞いて…?」

運転手さん「なんなんだお前ェ!?入国できるわけないでしょが!?」

側から見たらコントみたいなテンションである。でも私の内心はバクバクである。私はニューヨークに行くにあたって、いろいろインターネットで調べていた。確かにアメリカに入国するためにはエスタの申請が必要だが、「陸路(バス)で入国する際には必要ない」という情報を得ていたのだ。

運転手さんは埒があかないと思ったらしく、「もういいから、端に避けてて!他のお客さんの対応しなきゃだから!」と言って、私の後ろに並んでいた人たちのチケットの確認を始めた。(決して運転手さんの態度を責める意図で書いているわけではない。完全に私が悪い。)列から追い返されはしなかったが、え、入国できないって・・・・私はどうなってしまうのか!?と頭がガンガンしてきた。そんな私に話しかけてくれたのが、トロント側のスタッフさんだ。Union駅で働いている人で、バスの出発準備を手伝う係である。

スタッフさん「大丈夫?ビザもエスタもないの?」

私「陸路から入る場合はいらないってネットで見て…」

スタッフさん「ちょっと待って、ボーダーに確認してみるから」

と言って彼は、国境管理の人に電話をかけてくれた。親切すぎる。

電話の結果、やはり、陸路から入る場合もエスタは必須とのことだった。私は慌ててインターネットを開き、エスタのことについて再検索した。すると、新しい情報が出てきた。なんと、今年の5月から「陸路からの入国にもエスタの申請が必須」に変更になっていたのだ。私が信じていたのは古い情報であった。本当に何から何まで抜けがある。旅行にいくなら、最新の情報を常にチェックしておくべきである。わかってるんだけどね、わかってるんだけど、いつも忘れてしまうんだよね・・・・・

私「私は…バスに乗れないのでしょうか…」

スタッフさん「待って!今からエスタを申請したら、入国審査に間に合うかもしれないよ」

私の絶望する様子を哀れに思ったのか、スタッフさんは元気づけてくれた。この時点で時刻は夜9:30過ぎ。今から申請して、間に合うのだろうか?エスタの管理をしているところで働いている人が手動でチェックして許可するものだったら(?)明らかにゲームオーバー…時間切れである。もう終業時間を過ぎているだろう。ネットを見ると、エスタの申請は出発の最低3日前までに行うよう注意喚起されている。完全に手遅れな気がしたが、藁にもすがる思いでエスタの申請をすることにした。ちなみに申請にかかるお金は20ドルほどである。しかし、ここにトラップがある(?)

エスタ申請の罠
ネットで、「エスタ 申請」と検索すると、すぐに申請できるサイトが出てきた。日本語で申請できるサイトだったので、必要事項などすぐに入力することができた。とにかく出発まで時間がないので、無我夢中だった。そのサイトは検索した結果のトップに出てきたし、デザインを見る限り、公式サイトのように思えた。振り込みもスムーズに済ませ、これで「ビザもエスタもない日本人」というステータスから一応「申請待ち」に進化することができた。

私「エスタ申請しました…いつ承認されるかわからないけど…」

スタッフさん「よかったね。ところで、いくらで申請できた?」

私「いくら?申請料は一律なんじゃないんですか?」

スタッフさん「あ、うん…公式サイトだと20ドルくらいなんだけど、それ以外にも申請できるサイトがいろいろあってね…サイトによって申請料がバラバラなんだ。でも、うん、とりあえず申請できたなら、安心だね。…うん……」

心配そうな表情だ。私は思い出す。そういえば、先ほどのサイト、入金する際に金額が表示されていなかった。違和感を感じたのだが、慌てすぎていたのと、「公式サイトだろうから、きっと20ドルくらいでしょ」という思い込みでスルーしてしまったのだ。でも、普通に考えて、アメリカに入国するための電子認証システムの公式サイトがわざわざ日本語で書かれているだろうか?私が使ったのは公式サイトではなかったのか…?脳内がまたざわざわしだす。そこに声がかかった。

運転手さん「それで、あんたはどうしようね!?どうする!?」

私「あ、一応、今エスタは申請しました…」

運転手さん「OK!わかった!バスに乗せる!早く承認されることを祈るしかないね!入国審査の前にさ!はい!さっさと乗った乗った!」

なんと私はバスに乗ることができた。もう心臓はさっきからドキドキバクバクしっぱなしである。私以外の乗客はみんなもうバスに乗り込んでいて、私1人のために出発待ち…といった感じだった。バスの前の座席に座るために早くから列に並んだのだが、結局前の座席は埋まっていた。仕方ない、後ろの方に座ろう…と思ったら後ろの座席も埋まっていた。座れる所が無い…バスの前方に戻り、2人がけの座席の片方に荷物を置いていたお兄さんに声をかけ、そこに座らせてもらえることになった。その人はベトナム人の人で、すごく優しくしてくれた。

お兄さん「なんか揉めてたね。大丈夫だった?」

私「私の落ち度なんです;お待たせしてすみません。エスタの申請をしてなくて」

お兄さん「でも乗れてよかったね。早く到着するといいね。」

この時点でだいぶ泣きそうになっていたが、まだ私には確認しなければいけないことがあった。私が先ほどエスタ申請に使ったサイトについてである。バスに座って落ち着いたこともあり、ネットで検索をしていく。すると、いろいろ情報が出てきた。

・エスタ申請の公式サイトは一つだけで、全て英語
・いろんな業者がエスタ申請の代理をしている
・偽サイトもたくさんある
・公式サイト以外だと、申請料がバカ高い

サイトを間違えて高い申請料を払ってしまった〜という失敗談も出てくる出てくる。公式サイトが見つけにくいのだ。そして、この感じ、めちゃくちゃ身に覚えがある。十中八九私も偽サイトを使っている。慌ててクレジットカードのアプリを開くと、先ほどの振込額が9000円になっていた。この時点でもう私の精神は「もう…着けば…いいや!!!!!」に切り替わっていた。さっきのバス乗り場での心境に比べれば、今更1万円の損もうどうでもいい…と現実逃避しそうになった。……が!そんなことも言っていられない。さっきのサイトが仮に詐欺サイトだった場合、私はエスタを申請できていないことになる。「申請しました!」ということでバスに乗せてもらったのに、申請してなかったらとんでもないことになる。というか、入国審査までに承認されなかったら、私、どうなるんだ?国境で、入国審査の場所で、追い返されるのか?私はこの旅で一体いくら金を無駄にするんだ?もう、なんとしても、公式サイトから申請するしかない。私は改めて公式サイトを探し出し(結構手間かかった)、英語で項目に入力し、お金20ドルを支払い、やっと申請することができた。さて、承認は間に合うだろうか…あるサイトによると、最短30分で降りるとあったが、こんな夜に申請してもダメだろうな…最短30分、最長3日……明日の朝には間に合うかな…この時点で夜11時半くらいだった。

ところで、私は一つ勘違いをしていた。入国審査は、明け方、ニューヨークの駅でバスから降りるときにされると思っていたのだ。今までの海外旅行の経験だと、空港についてから入国審査をしていたからだ。今日はこのままバスで寝て、明日の朝にまた考えよう…と…目をつむった。
そのとき、バスが止まった。
運転手さんがアナウンスをする。

「これよりバッファロー(アメリカ)に入る。ここで入国審査だ。全員荷物を持って降りるように。」

公式サイトからエスタを申請して10分。
入国審査のタイミングはあまりにも早かった。
陸路だからだ。

次回に続く



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?