カナダ留学日記83 スマートサーブ勉強!
「スマートサーブ」・・・・トロントでワーキングホリデーをしたことがある人なら誰でも聞いたことがあるのではないだろうか。
スマートサーブとは、オンタリオ州のバーやレストランでお酒を扱う人が必ず取得しなければならない資格である。バーテンダーだけではなく、お酒をサーブするサーバー、ウェイターもこの資格を持っていないとなれないのだ。
当然、トロントで仕事をしようと思ったらこれがあると有利になる。仕事を探そうとすると、多くの飲食店の募集の文句に「サーバーに応募する人はスマートサーブが必須です」が入っているのを目にする。
取得方法はいたって簡単。スマートサーブのウェブサイトに行き、オンラインで登録し料金を払う。そのままオンライントレーニングができるようになるので、きちんと知識を身につけて期間内に受験するだけである。
さて、私のカレッジの専攻はホスピタリティなのだが、なんとこのスマートサーブを取得することを目的にした講義がある。(以前の「課題をやろう」の記事でも紹介したが)
私は「教授に教えてもらえるなら勉強も楽そうだな〜」と楽観していたのだが、まさかの「全て自主学習」であった。テスト本番前に一度だけクラスで集まり、全員でプレテストをする。その後は各々期間内の好きなタイミングで受験するのである。せっかく授業料払ってるのに!と思いたくなるが、仕方ない。ちなみに、スマートサーブが取得できないとこの講義の単位はもらえないし、次の学期の別の講義にも参加できない。このシビアな条件が私のやる気を引き出してくれることを祈って…コツコツ自主トレをする日々である。
さて、教授曰く「トレーニングは7時間で終わる」とのことだったが、とんでもない…英語で資格の勉強をするのはしんどい。ウェブサイトの言語選択をいじれば、スペイン語、フランス語、中国語、韓国語などを選ぶことができ、快適な言語で勉強することもできるのだが、選択肢の中に日本語が・・・・ないのである!!!カナダにいる日本人って少ないのだろうか。意外だ。
文句を言っていても仕方ないので、早速勉強を開始する。
トレーニングのページを開くとこんな感じ。
1つの講座がそれぞれ10〜20分ほどで終わる想定で組まれている。もちろん私は日本語に翻訳しながら勉強するので想定の3倍くらいの時間がかかっている。1つ講座を終えると、次の講座に進めるようになっている。丁寧なチュートリアルもある。ソシャゲのストーリーのようだ(?)
全ての項目に音声がついているので、これを聞きながら勉強する。もちろん英語を読んでもいいのだが、めんどくさくて・・・つい音声で聞いてしまう・・・
ビデオを見て学習する項目もある。ただただ参考書を読むような勉強方法ではないので安心した。やはり今時は動画で勉強がトレンドだよな(?)と思う。
トレーニング開始前のミニクイズ。なんの知識もないので適当にやってみる。
エ!!酒の取り扱い厳しすぎ!?と驚く。
実は、酔っ払った人が事故や事件を起こした場合、事故を起こす可能性があるレベルまで酒を提供した店側も責任を負わなくてはいけないのだ。「酔っ払っている人」にさらに酒を飲ませる行為はNGということだ。そのため、店側が入店を断らなければいけない。酔っ払った客が飲酒運転をして事故を起こした場合、それも店の責任になる。店は、酔っ払っている客が帰る前に配車をしたり、家族に電話をして迎えに来てもらわなくてはいけない。店を出た後も「客がシラフに戻るまで」が店の責任になるのだ。
エ!?そんなことある!??客が酒を寄越せって言ってるからサーブしたのに!?そんなの客が100悪いじゃん!と思ったのだが、「酔っ払っている客をこれ以上酔わせないためにきちんと断る」ことが店側の義務なのである。
自分で飲酒運転して事故を起こしておいて、事前に止めなかった店にも責任がある!とかいう客の神経を疑うが、実際に裁判で店側がある程度の責任を負うことになった事例があるのだから仕方ない。ちなみに未成年にお酒を飲ませてしまった場合、最大で200000ドル(2000万円以上)の罰金が個人に課せられる可能性がある。法人ならどの倍の500000ドル・・・・・恐ろしい
マリファナは普通に合法でダウンタウンのそこらじゅうで人がキメてるのに・・・・・
ただ、カナダ人の先生曰く「マリファナは、吸っている人がアホになるだけで、周りに危害を及ぼす確率はそんなに高くない。一方、アル中になると大変だ。周りの人も巻き込んで大変な事故につながることもある。酒の危険さを舐めてはいけない。」とのことだった。
そういえば、去年・・・とあることを思い出した。
確か、語学学校の卒業パーティ(毎週金曜日に誰かしらが卒業するので、ダウンタウンのバーでパーティをしていたのだ)に一度だけ行ってみたことがあったのだが、参加者が多すぎて何が何だかわからなかった。日本人と他の国の生徒が入り混じって、何やら楽しそうではあった。とりあえず、近くの友達とビールをシェアしようということでピッチャーを注文した。ビールが届き、さあみんなでグラスに注ごう!となった途端、店員さんがやってきて、ビールが没収された。不思議に思っていると、今度はグループ全員店から退去することを命じられた。店員さんはかなり怒っているようであった。一体何があったんだ!?わけがわからず外に出て友達に事情を聞いて見ると、どうやら我々のグループに未成年の学生が混じっていたようなのだ。語学学校の学生同士でもお互いの歳を知らないと言うことはよくあるので、(特に海外の人はすごく大人っぽく見えるので)それで起こってしまった事態である。当時は「厳しいな〜」くらいに思ったのだが、スマートサーブの勉強をして納得である。そりゃ、追い出されるわ。(IDを確認せず店に入れてしまったガードマンにも責任はありそうだが・・・)
話が脱線した。
勉強に戻ろう。
普通に語彙がわからないので、Google翻訳を使いながら読み進めた。
さて、ある程度知識が入ったら、クイズみたいなのにチャレンジするフェーズが始まる。スマートサーブを取得するためには、BACチャートという、以下の表を頭に入れなくてはいけない。
BACとは「Blood Alcohol Concentration」のことで、日本語だと「血中アルコール濃度」である。血液の中にどれくらいアルコールがあるか!?というそのまんまの指標なのだが、この数値が高いほど人は「酔った」状態になる。表によると、45kgの女性が1時間に1杯のスタンダードドリンク(基準になるアルコール量を含んだドリンク)を飲むとBACは「0.03%」である。この数値は0.04%までは「青信号」で、0.05%になった瞬間に「黄色信号」となる。この状態で車の運転をすると免許停止になる。ちなみに、0.08%からは「赤信号」となり、これで運転をすると免許取り消しである。
でもこれ・・・逆に言うと、スタンダードドリンクを一杯だけ飲んで、BACが0.01~0.04%の人は車の運転がOKという・・・・・・こと!????????
日本では一杯でも飲んだらNGなので、それに比べると緩い気がしてくる。
まあ、それは置いておこう。
さて、スマートサーブの保持者たるもの、この表を頭に入れて、お客さんに対応しなければいけない。お客さんの性別、体重、1時間にどれくらい飲んだか、などを見極め、相手が「酔っ払い」にならないように酒の量をセーブしながらサーブしなくてはいけないのだ。
これはシチュエーションクイズ。いきなり始まるので混乱した。
どうやらお客さんがやってきた想定でシミュレーションを進めていくらしい。
「19時です。小さなパブで仕事帰りのお客相手にバーテンダーをしてます。ピッチャーのビールをシェアしてる2人の男性に接客してます。どちらも同じくらいの体重ぽいです。」といった感じのテキストが表示される。まず私はこの客の性別を答えなければいけない。テキストに「men」ってあるんだから当然男「Male」でしょうよ・・・
ここで異変(?)
今度は体重を当てる!?
「バーの高さは3フィートです」って・・・これヒントなの!?慌てて調べてみると、3フィートは90センチくらいだ。エ、90センチ!??天井低くない!?小人のバーか!??どういうこと!?どうやって計算するんだろう?そんなの習ってないぞ?
ネットで「身長 体重 計算方法」とか調べてみたが、意味なし・・・
てかそもそも「身長」もわかっていない。バーの高さが3フィートということしかわかっていないのだ。
とりあえず、適当に175ポンド(80キロくらい)を選択。
違うのかよ!!!!!
「このゲストは200ポンド(90キロくらい)です」て、わかるか!!!(笑)
どうやって導き出すんだろう・・・?
次の問題に進む。
今度は別のゲストが表示される。
「woman」とあるからこれも当然「Female」を選択。もちろん正解。
体重当ての時間である。
もしかして、これ、写真を見て推測しなきゃいけない感じ・・・?見た目で判断・・・?上半身だけで・・・・?女性だし、ちょっとお年を召していて軽そうに見える。でも写真は引っ掛けかもしれない。
とりあえず150ポンド(68キロ)を選択。
どう見ても175ポンド(80キロ)だったそうです。本当にありがとうございました。
どうやら本当に、「写真を見て判断」しなきゃいけない問題だったらしい。
スマートサーブ取得の道は、長く、険しい・・・・・・・・・・・・