死との境目なのかもしれない
父が亡くなってしばらくして、
私は寝起きに自分をのぞき込む父の姿を見た。
夢かもしれないけれど、
あまりにも生々しくて驚いて、
大声を上げて飛び起きた。
母親も同じくらいの時期に、
「おい」と呼ぶ父の声を聴いたというのを後で知った。
死後の世界を信じているわけではないけど、
でもそういうものも存在するのかもしれない。
そういえば、イタコさんって目が見えない人が多いらしいね。
めがねをかければ大丈夫なんだけど、私は視力が悪くて、
母親は少し耳が悪い。
日常生活で多少不便がある程度の悪さだけど、
悪い分、違う世界に敏感になってる箇所なのかもしれない。
だから私は父の姿を目で見て、
母は父の声を耳で聴いたのかもね。
とかそんなことを考える。
あれが夢だったのかなんて今となってはわからないけれど、
もう一度会えるときはあるんだろうか。
その時はちゃんと「もう大丈夫だよ」って言ってあげられるような人間になれてるんだろうか。
よくわからないけれど、胸を張った生き方をしたいね。