日本の伝統料理、秋刀魚(サンマ)寿司~秋刀魚(サンマ)寿司を作る風守美女軍団~
「できました」
「はい」
風守の巫女、くノ一達がサンマ寿司をみた。
心なしか声が弾んでいる。
「うむうむ、油の乗ったサンマ。艶ある酢飯。丁寧に握られてサンマ寿司となっておる」
「味見をお願いします、天代様」
「わしか? 子供勢のほうがいいじゃろて」
「こういうのはキチンとやるでござる。天代様がいいでござるよ」
「ふむ、道理じゃな。では一口」
そういって天代はサンマ寿司に手を伸ばした。
口に運ぶ。
「……うむ」
口に広がる米の味、サンマの旨み。
酢がしみわたっている。
丁寧に包まれたサンマ寿司が旨みの広がりと共にとろけるように崩れる。
「……うまいのじゃ!!」
天代様、うまいと言う。
「よくできておる」
「それにしても……」
天代は微笑んだ。
サンマ寿司を作る女達をどこか遠いものをみるように見る。
「……懐かしいの」
呟く。
サンマ寿司は日本の伝統料理だ。
日本で長き時を生きる天代はこうやって日本の伝統料理を作る光景をみてきた。
年寄りのばぁさん達だけでなく、こうやって若い女が作る光景はいいものだと、天代は感じた。
――例えそれが日本を守る、日本を守るために全てをかけた破綻した――の風の意志だとしても
「……それもまた良し、というやつじゃの」
天代の呟きはそよ風に消える。
風が人に届くように、彼女達が作った日本の伝統料理が、日本の誰かに届くように。
天代は仄かに祈るのであった。