只の日本人、ベーコンを食べる
――いただきます。
今日は――ベーコンだ。
(うまそうだ!!)
若干テンションが上がる。
おいしそうなベーコンだ。
ジュウジュウと美味しそうに焼けたベーコン。
ピンク色の肉は脂に濡れテラテラと食欲をそそる。
ほのかに香るうまい肉の匂い。
ベーコンは主に豚バラ肉である。
肉を塩漬けにした後で、塩抜きし燻製にするのが主な手法である。
(いいな)
ベーコン、ちょっとした贅沢だ。
草薙はベーコンが好きである。
ちょっとした贅沢を感じるあたり、草薙は庶民感覚である。
塩の味が良い。
ピンクに彩られたおいしそうで柔らかい肉が良い。
(肉としちゃあ、安いかもしれないが……)
草薙が今食べているベーコンは、十枚位で300円もしないベーコンである。
(だがうまい!)
うまいのだ。
塩の味、肉の味。
塩が溶け込んだような肉は、淡い塩肉といった印象。
ジューシーなベーコンが重なり合っている。
トロリとした油がのっている。
ベーコンの「肉」という感じの油がベーコンの旨みを引き立たせる。
「……」
一口、ベーコンを食べる。
油が乗った肉と塩の味。うまい。
また一口食べる
ジューシーな肉汁とワイルドな塩の味。うまい。
ベーコンをガツガツ食べる。
(いいな)
豪快である種野性味ある庶民料理。
(元気になってくる感じだ)
それは草薙の肉体に活力を与えるかのようだった。
草薙はベーコンをたいらげた。
(うまかった)
草薙は実においしくベーコンを食べた。
只のベーコン。安い肉。だが――
(それもまた良し)
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