只の日本人、梅干しを食べる
――いただきます。
草薙は手を合わせた。
今日は――梅干しだ。
(やはり、いいな)
梅干しに白いご飯。
古来から日本人が親しんできた食べ物だ。素朴な和食である。
梅干しはいい。
まずうまい。
白米にあわせるとうまいのだ。
簡単な組み合わせで食べられる。
体にもいいのだ。
殺菌作用がある。
そして保存食としてもよいのだ。
多少、扱い方がざっくりでも、結構時間がたったとしてもけっこうおいしく食べられる。
うまい。
白米にあう。
健康にいい。
保存食としての優秀。
生活を営む上で良い要素がたくさんである。
草薙は梅干しをご飯にのせた。
ほかほかのご飯にのった梅干し。
箸で梅干しをちぎる。
桜色の果肉が露出するようにその色をあらわにした。
そして口に運ぶ。
(すっぱい、うまい)
梅干しはすっぱい。それもまた良し。
梅干しはうまいのだ。
ご飯が食べたくなる。
淡く梅干しの色がついたご飯を食べる。
(うむ、うまい)
ご飯がうまい
また梅干しを箸でちぎる、梅干しの桜色の果肉を食す。
(うむすっぱい)
うまい。
そしてご飯を食べる。
それを繰り返す。
椀のご飯が少なくなり、梅干しが小さくなっていた。
ちなみに草薙が今食べているのは紀州の梅干しである。
草薙は一気に梅干とご飯をかきこんだ。
素朴な和の味が流れ込む。
梅の種を残し、お椀は空になった。
口に残る酸っぱい感触を少したのしむ。
(うまかった)
草薙は梅干しを食べた。
白米と和食。
質素かもしれない。だが――
――それもまた良し
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