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初めての外国、ベトナム② | 世界一周の記憶

|誰の役にも立たない、2006年に世界一周をしたときの記憶|

ベトナム編①はこちらから↓

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市場を後にした私たちは、再び原付に二人乗りをして街中を走った。過ぎ去っていく景色をトゥエットの頭ごしに見る。少し顔が砂っぽい。

地元でも人気だというレストランに連れて行ってもらい、そこで昼食を取ることになった。間口はそこまで広くないが、奥行きが広い建物が多く並んでいて、このレストランも同じような形をしていた。建物の前側部分がオープンスペースとなっており、そこにプラスチックのテーブルセットがいくつか並ぶ。私たちもそれに座り、ご飯を食べた。店先には犬が繋がれ、寝そべっている。他にも客がいて、客なのかスタッフなのかわからない人も何人か立っていて、彼らと一緒になって話している。少し蒸し暑い。建物に面した道路には、左右からバイクや車が走っていく。

(私たちが食べたのは、「薄く焼いたカリカリのお好み焼きみたいなのを片手でパリッと割って食べるもの」と「野菜などを巻くナンみたいなやつ」と日記に書いてある。)

エンジン音やクラクションの音の中、トゥエットとたわいもない会話をする。私の英語力では複雑なことは伝えられなかったのが残念だったが、トゥエットも同じくらいの英語力だったようだ。でも、二人とも一生懸命英語を使った。事前に学んできたのだろう、ポツポツと日本語も使って話しかけてきてくれた。伝わらないものは、メモに書いて、私に見せた。手には必ずノートを持っていて、覗いてみると、そこにはたくさんの日本語がメモしてあった。
私が外の景色に夢中になっていると、こっち見て、と少し怒った顔で話しかけてきた。はにかんだ笑顔がとてもかわいらしい子だった。

トゥエット達、青年団とのツアーには、もちろん他の日本人も参加していた。基本的にパートナーと街を巡るツアーだったが、街中で他のペアと出会うこともあった。パートナーとはぐれてしまい、一人で街の中で途方に暮れている日本人がいる、と食事をしているトゥエットに、青年団の男の子から知らせが入った。二人で私にはわからない言葉で話し出す。仕草から、僕がバイクで送って行こうか、みたいに男の子が話していたようだった。そのまま彼は去っていき、トゥエットがこちらに向き直って、にっこり笑った。大丈夫だった?と聞くと、うん、彼が一緒に歩いて集合場所まで送ることになった、と言う。ここには当たり前のような親切がたくさんあって、私にはそれがとても印象的だった。

ツアーの1日は短い。ご飯を食べ終え、少しのんびりしたらもう終盤、ツアー参加者みんなが広場に集まり、歌や踊りを楽しんだ。日本の文化、ベトナムの文化、それぞれが入り混じった出し物が続く。最後には、みんなで合唱をすることになり、ラミネートされた歌詞カードが配られた。私はそこでみんなで歌った歌を今でも覚えている。

『Như có Bác Hồ trong ngày vui đại thắng』

Như có Bác Hồ trong ngày vui đại thắng
大勝利の喜ばしい日にホーおじさんがいらっしゃるようだ

Lời Bác nay đã thành chiến thắng huy hoàng.
おじさんの言葉は輝く勝利となった

Ba mươi năm đấu tranh giành toàn vẹn non sông,
全き国を守る苦労は30年

Ba mươi năm dân chủ cộng hòa kháng chiến đã thành công.
民主共和国30年の抵抗は成功した

Việt Nam, Hồ Chí Minh.
ベトナム ホーチミン

Việt Nam, Hồ Chí Minh.
ベトナム ホーチミン

Việt Nam, Hồ Chí Minh.
ベトナム ホーチミン

Việt Nam, Hồ Chí Minh.
ベトナム ホーチミン

(歌詞や日本語訳はWikipediaより引用)

軽やかなサビの繰り返しが、今でも頭の中にリフレインする。

まだ日記に挟んである歌詞カード

別れの時、トゥエットは「悲しい」と言った。私は、そのダイレクトな感情表現に心を打たれた。

別れ際に、「今度来た時はおいしい店に連れていく」と、トゥエットから折り鶴をもらった。私は、日本から持ってきた手ぬぐいを渡した。ありがとう、と言って、私たちは手を振って別れた。見えなくなるまで、私たちはずっと見つめ続けていた。

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