プロジェクトフィルターとは
プロジェクトフィルターとは、ASP方式で使用している「底面フィルター」のこと。
ソイル専用の底面フィルターとして開発されたので、独特な構造をしています。
プロジェクトフィルターは底面ろ過器として優れた能力をもっているなと、何年も使用してきて実感しています。
とはいうものの、底面ろ過という仕組みがわかりにくいんですよね。
本記事では、底面ろ過の仕組みを解説して、プロジェクトフィルターの特徴から使い方まで説明をします。
プロジェクトフィルターSとPSの違いも理解できる内容になっていますよ。
そもそも底面ろ過とは
まず、底面フィルター本体を水槽の底に設置します。
つぎに、ソイルや砂利など(低床)を本体の上から、かぶせるようにひきます。
そして、底面フィルター本体に接続された循環ポンプ(エアポンプもしくは水中ポンプ)を稼働させると、酸素を含んだ水流が低床全体に行き渡るようになります。
水槽にひいた低床が丸ごと「ろ過材」となるので、抜群の浄化能力(生物ろ過)を発揮するのですよ。
抜群の浄化能力(生物ろ過)を発揮できる理由は、酸素を含んだ水流を砂利に送ることで、バクテリアがアンモニアを酸化させて弱毒化する環境(浄化作用を行う)を作れるからですよ。
とはいえ、デメリットもあります。
飼育しているお魚の食べ残した餌や排泄物をウールなどで濾し取る、物理的なろ過能力が低いことです。
たとえば、水をよごしやすい金魚などを飼育している場合は、排泄物やゴミが低床に溜まりやすくなることですね。低床に吸い込まれてくるからです。
底床にゴミが溜まると、通水性が落ちてしまいます。アンモニアを酸化させて分解する生物ろ過の能力が低下します。水槽の環境が悪化する原因に繋がってしまうのですよ。
これを防ぐためには、砂利の隙間からゴミを吸い出す作業(底掃除)が必要になるのです。
プロジェクトフィルターとは
猛毒であるアンモニアを酸化させて、ほぼ無害な状態まで変換するバクテリアの作用を最適化できる底面ろ過フィルターです。
その理由は、底面板の底に砂利が入り込み、目詰まりを起こして嫌気層(酸素が行き届かない場所)ができないからです。
下駄のような形をした格子状の底面板は、U字型の丸パイプと組み合わせた構造をしており、低床の中にズボっと埋まります。
パイプ横に約1mmの縦線スリット(吸い込み口)があるから、水流が砂利全体に行き渡るのですよ。
従来の底面フィルターは、板チョコのような形でスリット(吸い込み口)も上にあります。
底にベタ置きするから、底板が浮き上がってしまえば下に砂利が入りこみます。
こうなると目詰まりを起こし、嫌気層(酸素が行き届かない場所)ができてしまうのですよ。汚れも溜まっていくので、雑菌の温床となるかもしれません。
プロジェクトフィルターは、目詰まりを軽減することで酸素の供給が継続できます。
猛毒であるアンモニアを酸化させて、ほぼ無害な状態まで変換するバクテリアの作用を最適化できる底面ろ過フィルターなのですよ。
プロジェクトソイルの効果的な使い方
プロジェクトフィルターを使わず、ソイルをひいただけの場合は浄化作用も限定的になってしまいます。
水流がソイル粒の内部にまで届かないので、吸着効果も半減してしまうからです。
プロジェクトフィルターを使うと、ソイル粒の内部に水が通過するようになります。
水槽の底全面からソイル全体に余すことなく水を通すので、ろ過容量も大きくなります。
大きなろ過容量を誇る外部フィルターに劣らない、ろ過容量を作れるのですよ。
プロジェクトソイルをひいただけでも、表面は魚が泳ぐことで水流がすこしだけ発生します。
ソイルは表面から水槽の底まで、厚みが増すほど水流は届きません。
そのため、厚さを2cmくらいにすることで、ソイルの浄化作用が期待できるようになるでしょう。
プロジェクトソイルの浄化作用をフル活用するなら、プロジェクトフィルターも一緒に使いましょう。
エアリフト式(プロジェクトフィルターS)とは
ブクブクをするときに使うエアーポンプでプロジェクトフィルターを稼働させる方法です。
ポコポコと空気を送ることで、水の浮力を使って循環を行うのですよ。
プロジェクトフィルター本体から伸びている透明なパイプに空気を送り込みます。
パイプの中では、空気と一緒に水が水面に向かって登っていきます。このとき、底面板のスリットから入ってきた水も一緒に吸い込んでいくので、低床に水流を発生できるのですよ。
イメージは、ストローで水を吸う感じでしょうか。水槽全体の水を底面から吸い込むことになりますよね。
プロジェクトフィルターSの循環には、水量に対応した吐出量をもつエアーポンプを用意しましょう。
エアーポンプのパッケージに、○○cm水槽用と書いてあります。お使いの水槽サイズに適合しているポンプを選べば問題ありませんよ。
吐出口は水面よりも沈めることで、低床に水流が発生しやすくなります。水面も揺れるので、油膜の発生を防げる効果もありますよ。
エアリフト式は、総じて水流は弱めです。強い水流が苦手なメダカに最適だと思います。
また、扇形の吐き出し口は取り外しができます。エアストンの交換もしやすいですよ。
エア(空気)がポコポコと出てくる間口が狭いから、泡が小さくなり音も静かになりますよ。
目詰まりを防ぎ、嫌気層を作らないプロジェクトフィルターは、バクテリアの濾過作用を最適化しますよ。
水中ポンプ式(プロジェクトフィルターPS)とは
インペラー(羽)を回転させて水を吸い上げる水中ポンプで、プロジェクトフィルターを稼働させる方法です。
エアリフト式よりも水流を強くしやすい。音が静かというメリットもありますが、デメリットもあります。
インペラー部の流量が落ちる対策は、定期的な掃除をすることです。
低床がソイルの場合は、崩れカスが吸い上がってきます。インペラーの消耗が早くなってしまうのですよ。
インペラーシャフト(回転軸)の磁石部分は、潤滑剤が塗られているそうです。インペラーを洗うときは、お湯を使わないで水洗いをしてください。
水中ポンプで酸素量を増やす方法は、吐き出し口を水面よりすこし上の位置にすることです。こうすると、水面が揺れてバシャバシャするので、空気中の酸素が水中に解けこみます。
とはいうものの、エアレーション(ブクブク)で得られる酸素量には敵いません。
水温が上がりやすい夏場は、溶け込む酸素量も減ります。ですのでエアレーションも併用してあげると、溶存酸素量が増えて高水温対策にもなりますよ。
当店では、プロジェクトフィルターを全水槽に使用しています。
低床(ろ過材)はプロジェクトソイルだけではなく、砂利も使っていますよ。
プロジェクトフィルターに興味をもっていただき、気になることや疑問があれば、インスグラムのDMでお問い合わせください。