コロナにつける薬 vol.11 感覚の記憶とアーティスティックチョイス

演技レッスンの記録を続ける。

エクササイズで重要なことは、感覚の記憶をよひさますこと。それをいつでも取り出して使えるようにすること。

場所のエクササイズで私が選んだのはある病室。病室のたいていがそうであるように、良い記憶の残る場所ではない。そこで感覚に集中しようとすると、うっかり思い出が顔を出して、すぐに感傷の方に流れてしまう。自然に涙が出てきてしまう。

思い出の方に直行してしまうのはNG。これは繰り返し使えないから。もっと繊細に、感覚を辿る。そこにいるのはかつての私ではなくて、今の自分。今の自分がその病室に立つ。たとえかつてその病室で自分が寝たきりだったとしても、今はそこに寝ていない。一つ一つ部屋の中を検証しながら、五感のどれと、どの感情がつながるかを探っていく。

今、俳優の私が欲しいものはどこにあるか。それを探しにいく。見つけるまでじっくりと、飽きずに感覚を駆使する。見つけたらそれを蒐集するのだ。演技する上ではそれを選んで使っていく。それを、アーティスティック・チョイスという。

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#というよりドラマ創作の現場です

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