よし吹く風荒くとも
台風が近づいている。
すっかり10月は台風シーズンというのが定着した感がある日本列島である。昨年は居住エリアが被災の様子をメディアに取り上げられて、方々から心配頂いたけれども。今年はコロナ禍もあり、そこにきて台風ということで、各所戦々恐々というところだろうか。被害が少ないことを願う。
タイトルの言葉は、仏陀による「よし吹く風荒くとも心の中に波立たず。怒りに怒りをもって報いるはげに愚か者の仕業なり」から借りてきたのだが、怒るという感情自体は押し込めておくと心の中に波立たず、どころか沼の底にマグマを生じさせることになるのではないか(少なくとも聖人でないわたしたちには)と思っていた。
怒りという感情は、役者としてはけっこう使えるので、受け取って「体験」の箱に収納しておき、相手に対しては受け取らなかったふりをしておくのがいいのかもしれない。(それも演技の一環であるからして)涼しい顔をして、知らぬふりをしておけばいいのである。
先日、友人から来た一通のメールで私の心は波立ちまくった。速攻で返事をしてしまったが、あとから読み返すと怒りがじわりとにじみ出たみっともないメールだった。まだまだ修行が足りぬ。(だが、その感情自体は相当使えた。)オンラインでしか会わない人が増え、言葉の扱いには釈迦級の悟りと諦念が必要なのではないかと思うこの頃である。
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