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ハイボールシンデレラ17〜古民家風のカフェランチ〜




その翌日、マキさんから連絡が来た。


「昨日は本当にごめんねっ。お詫びにランチご馳走させてください…」と、またブサイクなウサギのスタンプが共に送られてきた。


ブサイクなウサギは何度も土下座をしているアクションをしていた。


それから予定を合わせて、数日後僕はマキさんに会いに電車に乗り込んだ。


マキさんからは、数日前にランチが美味しいカフェがあるといい、カフェのリンクが送られてきた。

僕の家からは近かったので、すぐに到着し、待ち合わせ時刻まで少し余裕があった。僕は駅でマキさんを待っていた。


マキさんの事を考える時間が、段々と増えている事に、僕は気付いていた。


マキさんを待つ時間は、何も苦ではなかった。



「ユウくん」

女性らしい声が耳に届く。


マキさんは小走りで僕の方まで来ると、「この間は本当にごめんね。」と、申し訳なさそうに言った。


「全然。大丈夫だよ。行こうか。」と、僕が言うと、マキさんは「ありがとう。」と、また申し訳なさそうに言った。


僕達は、マキさんが好きなカフェまでと歩いた。


少し歩くと古民家風の、雰囲気の良いカフェが見えてきた。


「ここ、本当ランチ美味しいからさ。」とマキさんが言い、「ユウくんにも食べてみて欲しかったんだよね。」と、僕を見て笑った。



出会う前は、「童顔の美女」に恋をしていた僕だったが、今僕は「マキさん」に恋をしていると思う。


「マキさん」の事を心から可愛いと思っている。


店内に入ると、木製で統一したインテリアでまとめられていて、センスの良いエプロンをした感じの良い女性店員が迎え入れてくれた。


僕達は、ランチメニューの中からメニューを選ぶと、店員に伝えた。


白米と、雑穀米の中から一つ選べる事を店員から聞くと、マキさんは雑穀米を頼み、僕は白米を頼んだ。

僕は雑穀米も好きなのだが、どちらかといえば白米の方が好きだ。


しかし以前、タツヤと昼食を食べに行った時に健康の為に雑穀米を選んだのだが、

「お前は健康のために、信念を捨てるのか。」と何故か怒られた事を思い出し、今回僕は信念を貫いた。



届いたランチプレートは大きめの木の皿に、チキンソテーや、種類の多い野菜が彩り良く置かれていて、味もかなり美味しかった。


「美味しいね。」と僕が言うと、「でしょー?」と言ってまた笑顔を見せた。


マキさんは笑うと、眉が少し下がるのが可愛らしい。



「この間、大丈夫だった?…お兄ちゃん。」

僕はマキさんに質問した。

「うん…。誰か来たのかって少し怒ってたけど、友達で通したし、大丈夫だったよ。」

「そっか。」



僕はもう少しこの話題に触れようかと思ったのだが、マキさんが何やら気まずそうな顔をしていたため、それ以上話す気にならなかった。


僕達は当たり障りのない会話をしながら、ランチを全て完食すると、マキさんが「お詫びだから。」と支払ってくれた。


店から出て、僕達は駅の方へと歩いた。

この駅周辺は店も少なく、人通りも少ない。


僕達が食事をしたカフェは、割と隠れ家のような場所だったため、特に人の通りが少なかった。


「マキさん。」

僕は、立ち止まってマキさんに声をかけた。


「マキさんさえ良かったらさ、僕と付き合ってくれない?」

振り返ったマキさんに、僕ははっきりとそう言った。


「告白」なんてするつもりが無かったのだが、何故だか、今日解散してしまうと、もう会えなくなってしまうような気がしたのだ。


自分から「告白」をした事なんて、僕の記憶では幼稚園生以来の事だった。
今まで「いいな。」と思う女性が居ても、僕からは、声さえかける事が出来なかったのだ。


僕は「男」になって、変わったのだ。


マキさんは俯き、しばらく黙ると僕の目をじっと見つめて口を開いた。



「ごめんなさい。」

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