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ハイボールシンデレラ18〜僕が居酒屋で流した涙〜



ーー僕は今、マッチングアプリをインストールした、あの時と同じ居酒屋の席に座っている。



僕は涙を流していた。


目の前には、タツヤが座っている。

タツヤは涙を流しながら笑っている。
大爆笑である。


タツヤが、僕のスマートフォンにマッチングアプリをインストールしたあの日以来、僕達は会っていなかった。

マキさんの事を、一部始終話すと、僕は段々と涙が流れた。

最後フラれた所まで話すと、タツヤは激しく笑い始めた。


「お前…、親友の俺が失恋して泣いてるのに、よくもまぁ、そんな笑えるな…。」

僕は涙を流しながらそう言った。


腹を抱えながら笑うタツヤは、「それは失恋じゃない」と言った。


「お前は、その女とチンコで話して、チンコで行動してたんだ。
その女を好きになったのはお前じゃない、お前のチンコだ。」と。


そしてタツヤは続けて言った。

「だから、お前は失恋していない。失恋したのはお前のチンコだ。気にすんな。」

相変わらず訳の分からない持論を話し始めた。



「まぁ、女っていうのは本当にろくでもねぇな。
彼氏いんのに、お前の事たぶらかして。」

僕はタツヤの自分自信の事を、完全に棚に上げた発言を聞き、黙り込んだ。

「本当に気付いて無かった訳じゃねーだろ?」


タツヤは、いつも痛い所を刺してくる。

あの、ボクシング選手のTシャツを着た男はきっとマキさんの「お兄ちゃん」ではないだろう。

気付いていない訳では無かった。

しかし、マキさんが「お兄ちゃん」だというのだから、僕は信じたかったのだ。


黙り込んだ僕を見て、タツヤは「何か頼むか?」と言った。


僕のグラスは空いていた。



確かに、彼女と出会って、すぐにそういった関係になったし、その後部屋に行った時も僕の事を突き動かしていたのは、確実に下半身だった。


しかし何故、こんなにも悲しいのだろうか。



僕は確かに彼女に恋をしていたと思うのだ。

「童顔の美女」ではなく、「マキさん」に。


タツヤは店主を呼ぶと、ビールを追加した。

僕は続けて「ハイボール」を注文した。



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