私を構成する42枚 #4
42枚の紹介を続けますが、
改めて考えますと、構成するというより、
「リスナー生活において特に衝撃を受けたアルバム」という意味が近いかもしれません。
そして今回紹介するアルバムは、若かりし頃の僕に、かなりのインパクトと衝撃を与えたアルバムです。
紹介不要の大名盤とも言える一枚にして、
音楽好きならば、聞いたことがなくても、
このアーティスト又はこのアルバムの存在程度は知っている人が多いでしょう。
という事で今回は
SLY & THE FAMILY STONE の5作目
there’s a riot going' on. 暴動です。
70年代に発表されたアルバムの中で最も影響を与えているとも言われるらしい本作。
ハッキリ言って変なアルバムです。
スライの諸作の中でも、
圧倒的にへんてこりんなファンクが鳴っています。ただ、妙に何度も聞きたくなる中毒性があります。
まずもって暗いのですよ。
ファンクミュージックなのに、なぜこんなにシリアスなんでしょうかっていうくらい。
これまでのスライとは打って変わった路線です。
(スライはこれより前も大好きです)
このアルバム全体がとにかく異質で、暗くて、
ポップなのはシングルカットされた、family affair やrunnin awayなどくらい。
しかしこれらの曲を初めて聴いた時の衝撃たるやです。
若かりし私は、
いまだ聴いたことのない感覚に襲われました。
今風(?)にいうと、ローファイでしょうか。
ローファイ・シリアス・根暗ファンクミュージック。
70年代当初を包む当時の世相を反映しているといえば、そうなのかもしれませんが、
このアルバムで鳴っている音は、まさにファンク・ミュージックにして、しかしながらそのジャンルに捉われない、ここにしかない湿度感のある音楽だとも言えるでしょう。
チープなようでいて、どうしてこんなに骨太でグルーヴィなサウンドができあがるのか、
そしてグルーヴィにも関わらず、どうしてこんなにも踊れないサウンドなのか、
いやそもそも全く踊らそうとしていないサウンドなのか。
こんなアルバムは後にも先にも、
これしかありません。
今でも、たまに掘り出して聞きたくなる一枚です。