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人生の師匠とアイドルを観る。(2025/2/15)

一個前の記事で書いたのだが、人間関係の揺らぎみたいな難しい問題で疲れ果ててしまった私。

今までやって来た事を振り返る期間に入った。
そして私が頼ったのは、師匠だった。

・私の師匠

私の人生には4人のキーパーソンがいる。
三人目のキーパーソンで私は「師匠」と呼んでいる。

師匠は私の会社の先輩で、年は20歳離れた50歳。
中卒で私の会社一筋で働いており、旋盤など機械加工の職人である。(なんと勤続35年!)
職人と聞くと堅いイメージだが、師匠はいじられキャラ。ゆるキャラみたいな愛嬌のあるおじさんである。

めちゃくちゃ多趣味で「歩くポップカルチャー辞典」「歴史の証人」の異名を持ち、日本のマンガ・アニメ・アイドル文化や流行などをほぼ網羅している。

ちょっと昔の事を聞くと必ず、
「アレ?知ってるよぉ〜。」
と、返してくれる。

アジャ・コングと神取忍にビンタされた話。
昭和ライダーの危険なスタント撮影を現場で見た話。
AKBジャンケン総選挙をを会場で見た話。

「この人そんな事までやってんのか…。」と、唖然とするような歴史の証人エピソードを私達に伝えてくれた。本人も伝説が沢山あり、

血圧が200近いのに、懲りずに大盛りカツカレーを完食する。
トラックに轢かれた次の日に松葉杖でアイドルのライブに行く。
若い頃は毎日、二升は酒を呑んでいた。
(しかも酔わない)

こんな具合で師匠は化け物のような体力とエネルギーを秘めており、何もしなくても、徳が高い感じがする魅力的なおじさんなのだ。

そんな師匠が一番好きなのは、女性アイドルや歌手である。
「スケバン刑事」がきっかけでその道に飛び込んだと言う師匠。シンガーソングライターやAKB48を経て現在は地下アイドルの追っかけ中。
推しグループは何個あるか分からない位、精力的に活動しているのだ。

私は師匠のいる課に研修に行った時に地下アイドルのライブに誘われた。
当時18歳、工業高校卒の私は可愛い女の子が見られると言う誘いにまんまと乗っかり、新しい世界へ飛び込んだ。

師匠の戦場は澁谷や池袋といった大都会。
そんな場所に全く縁が無かった私は、街だけでもかなり刺激的だった…。
いつまで経っても賑やかな街並みや、見た事ないお店。田舎者の私が一人では行けないような大都会を颯爽と歩く師匠はなんだか頼もしくてカッコよかった。

そしてアイドル会場。
小さなライブハウスは人数は少なくても熱気は物凄く必死に、推しを応援する観客達の熱意に圧倒された。
初めて行った時はアイドルよりオタク達の方が衝撃的だったなー。
でも、その熱気と一体感のある空間は不思議と心地良かった。みんな本気で楽しんでいるから、こっちの気持ちも昂っていたのだった。
師匠はこの雰囲気が好きなんだろうなぁと感じた。

以降、私は師匠について回り、様々なライブ会場を練り歩いたり、温泉や映画に行き、最後は師匠セレクトのグルメを食べるという生活をしていた。

師匠は「人生を楽しむ」と言うことをその生き様で私に教えてくれたのだ。
師匠の言った事で一番印象的なのは、

「一日に何個楽しいコトをやっても良い。」

と言う台詞だ。
これは渋谷でライブを観た後に、埼玉のライブ会場にギリギリで入場してきた日に師匠が私に言った言葉である。
丁度その頃の私は学生時代の嫌な事がトラウマになっていた上に、両親は別居しているというような状態で基本塞ぎ込んでいた。

楽しみ方を忘れていた私には、この一言はブッ刺さった。以降は毎週予定を沢山入れて、様々なしがらみを忘れようと全力で楽しむようになった。

師匠のお陰で私は明るさを取り戻せたのだ。


・半年振りにアイドルに行く

そんな師匠と出会って四年目。
何だかこっちも忙しくて、最近アイドルに行けていなかった。
師匠とは毎月食事に行ったり、映画を観たりとイベントはあったが、アイドルを観に行くのは半年振りである。

一番最初に戻るが、人間関係でミスをして疲れてしまった私は、師匠とアイドルに行って初心を取り戻そうと考えた。

早速、師匠に事情を説明すると、
「ソレは辛いねぇ〜。そういう時は楽しまなきゃ。」
と、優しく笑顔で言いながら、良さげなライブがないか探してくれた。

やっぱスゲェ優しい人だなと思った。
一見、アイドルばっかりでチャランポランに見えても人間として非常に尊敬出来る一面を持っている感じが、師匠が師匠たる所以だろう。


そして当日。
私と師匠と兄弟子で(師匠の弟子は会社に結構居る)
新宿歌舞伎町のライブ会場で行われる、地下アイドル対バンライブへ行った。

まず腹ごしらえに喫茶タイムスに行ってみた。
私が前から行きたかった喫茶店。


タイムスのクリームソーダ。
見た目完璧…!
クリームソーダはアイスにさくらんぼ、そしてこのグラスなのだ!
私がイメージするクリームソーダとはこういうヤツ!!

タイムスカレーも喫茶店のカレーらしい雰囲気。
ちょっとチープな感じが喫茶店料理らしいんだよなぁ。

店内は昭和建築感が全面に出ていて、天井はイイ感じに黄ばんでいて席が狭い!
ちょっと汚くてボロい方が雰囲気合って私は好きだ。
タバコをレジで売っているくらい、喫煙を推奨しているのも昔っぽくて良かった!
喫茶店で嗅ぐタバコの匂いって結構私は好き。
(自分は吸わないけど。喫茶で受動喫煙が趣味だ。)

やっぱり喫茶にいると気持ちが安らぐ。
師匠と兄弟子とたわいもない話をしていると、よほどリラックスしたのか眠くなった…。
「こりゃー寝ちまう。」と思い、MAXだるくなる前に喫茶を出た。


喫茶からライブ会場までは師匠が先導してくれた。
新宿三丁目を抜け暫く歩いたのだが、ライブ会場には一行に着かない。
ハコは歌舞伎町にあるハズなのに、明らかに歩きすぎてないか?と思いながら30分位歩いた。

ようやく到着したのだが、ハコの前で師匠が大きな声をあげた。

「アレ!?間違えた!」

師匠は別のライブハウスに向かって歩いていたのだ…。周りを見渡すと韓国料理屋ばっかり。
それもそのハズ私達が着いたのは新大久保だった。

でも、これは凄くマズイ。
何故なら師匠の推しの出番があと30分で始まってしまうからだ!!
そして、お昼が丁度消化されたのだろう。
全員がウンコしたくなっていた。

師匠はウンコを我慢しながら、

「トイレなんて行っているヒマないよ!間に合わなくなっちゃう!」

と、必死だった。
そして、師匠はライブ会場向けて走り出した!
私は兄弟子と師匠に先に行ってもらった。
誰よりもウンコが出掛かっていた私は、冷や汗かきながら必死にトイレを探した。
結局、地下を200mダッシュして駅のトイレに駆け込み事なきを得た。

私がトイレに入って携帯を開くと兄弟子からLINEが来ていた。

「師匠とアパのトイレを借りました笑。」

やっぱ師匠も便意には勝てなかったようだ…。
私は師匠の推しを観ることを諦め、のんびり会場へと歩いた。
ライブ会場に着くと、師匠の推しグループの最後の曲だった。

そして私を見つけた師匠は、

「なんとか間に合ったよ〜。危なかったなぁ。」

と、ゴキゲンだった。

師匠はいつもギリギリ間に合うんだよなぁ。
前述の渋谷、埼玉の二回しの日も電車遅延があったにも関わらず、推しの出番のギリギリに登場!

チケット争奪戦も師匠だけ当たったり、渋谷に行ったら知っているアイドルに偶然会ったりと、師匠はとにかくツイている。
(きっと徳が高ぇんだろうなー。)

そこから私と師匠は、6時間ぶっ通しでライブを見続けた。
ストレスが溜まっている私は、とにかく全力でコールをしたり手を振ったりした。

全く知らないグループと曲だけど、場の雰囲気に釣られて盛り上がれる感じを私は欲していた!
そして、腰や腕が疲れて何を観ているのか分からなくなるくらい疲れた。
ここまで夢中になると、終わった後ホントに爽快なんだよなぁ〜。

クタクタになった状態と師匠と特典会に向かった。
特典会ではチェキを撮ったりしながら、アイドルとお話が出来る。
対バンライブだと大抵、新規は写メ無料とかのキャンペーンをやっていて、お金を払わずにアイドルと写真が撮れちゃうのだ。

勿論、師匠が一番楽しみなのはこの時間!
私と兄弟子は師匠が嬉しそうにアイドルと喋っているのを観るのが大好き。(何か可愛いだよな…)
私達の一番の推しはアイドルではなく師匠なのだ…。
師匠がどのアイドルの列に並ぶか予想したり、
(大体ショートで小ちゃい活発そうな人のトコ)
師匠がデレている姿を見て、私と兄弟子は癒されていた。

私も師匠に連れられて特典会に参加した。
今日は驚異の13人!(師匠は20人!!)
みんな個性豊かで可愛かった。私は基本、背が高くて大人っぽいお姉さん系を選んでしまう。
後で写真を見返すと、好みの系統が露骨に現れるのが結構面白い。
そして私はアイドルと話す時は必ず、
「あの師匠と来ました!」と、師匠を売り込む事にしている。お陰で私は推しのアイドルから「弟子くん」と呼ばれるようになった。
これは最高に名誉な称号である。

ライブ終了後も一時間たっぷり特典会を楽しみ、
挙句の果てには初めて見たグループの単独公演のチケットまで買っていた。
(師匠がアイドルの営業にまんまと引っかかった。)

半年振りに行って気付いたのだが、師匠のガードが前より緩くなっている…。
前はちゃんと断ったりしたのに、今ではみんなにデレデレ、いいなりだ。最近やたら推しグループが増えたなと思っていたら、師匠のアイドル免疫がかなり弱まっていたことが発覚した。
前より楽しそうで何よりです笑。


その後、新宿にある「大人食堂」と言う店で夕飯を食べた。

鍋定食!

ここの角煮定食が美味そうだと、師匠が探してきたのだが、残念ながら角煮は売り切れ…。

でも、代わりに食べた鍋定食。コレがウマかった!
豚と白菜のミルフィーユ鍋だったのだが、出汁が効いていて旨みが凄かった。
あと何より、疲れ切った身体にあったかい鍋は沁みる!豚の旨みが身体に効いて幸福感が込み上げて来た。
そして選べるおばんざいに、大盛りご飯までついている至れり尽くせりっぷり。

それにお酒まで飲んだ私達はゴキゲンの極みに達していた!
大人食堂、名前に相応しい大人を大満足させる店だった…。また行きたい。


久々に師匠と出掛けたが、やっぱり楽しかった!
師匠はいつも全力で遊ぶ。
そんな姿勢も見習いたいと思った。何かに一生懸命打ち込みたいとこの頃やたらに思うのだ。
でも、それを悩みにしているのでは仕方がない。
師匠みたいに「なんでもチャレンジ!」で、
自分自身で人生を輝かせないといけないのだ。

来月は今日師匠が買ってしまった単独公演がある。
私も師匠にお供して、また全力で楽しみたい!


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