【お風呂】
大きいお風呂が好きだ。
大人になってから、大きいお風呂だから、ではなく「決められていない時間に、のんびり湯につかること」が好きなのだと気付いた。
温泉にしてもスパ施設にしても、今日はお風呂にゆっくり浸かるぞ、という気持ちで向かうので、あんまり浸かる時間の終わりを決めていない。それが好きだ。
服にも時間にも縛られず、暖かな湯の中でぼんやりしていると、なんだか現実から遠のいている感じがする。
湯に浸かって温まる以外にすることが無いというのは、結構な贅沢だと思う。
不思議なことに、毎晩はいるお風呂は面倒臭い。とてもとても面倒臭い。
身綺麗にしないと布団に入れないというのに、お風呂へ向かうまでが一番億劫で、結局は無駄な抵抗でダラダラと時間を浪費する。精神的な距離は二十キロメートルくらいあるように感じている。
1日の終わりにシャワーをあびること自体「仕方なく」という気持ちでいる。
その日の汚れはその日に落とさないといけない、そういう義務だと思うと、湯に浸かるという行為が途端に鬱陶しいものに感じてくるし、水の中というものは意外と体力を使うし。全自動シャワー室(乾燥機付き)みたいなものがあればいいのにといつも思う。
1日はどうひっくり返っても24時間なので、明日のことを考えると何時までには髪を乾かさないと・・・などと思い始めると、全然開放的な気持ちにならない。
そうやって毎晩の義務に辟易すると、大きいお風呂の、あの開放的な時間と空間が恋しくなるのだ。
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