【友人について】

 高草滋汰くんは作家の友人で、よく絵を描きながら通話をする。彼の話題は問題提起や、相手の人生に踏み込んだ疑問が多い。ずかずか土足で踏み込むようで明日には忘れているような、そんなに深くも浅くも無い会話。さながら深夜ラジオのような時間だ。
 ある夜の話題は「友人をどの要素で選んでいるか」だった。考えたこともなかった。友人を「選んだ」自覚が一回もなかったからである。なんて傲慢な、とさえ思った。
 ただ私に自覚がないだけで、普段身の回りに居てくれる人々は自分の選択の結果だとも言える。日々関わりのある人に出会う場は、身を置く環境…趣味や仕事や学校だったり、住んでる地域だったりするわけで、それは幼少期を過ぎればどれも自分の選択だ。人と人との関係って意志を持って繋ぎ続けないと途切れるものなので、確かにそこには明確な自分の意志があるように思う。
 不思議なもので「恋」という枠組みだと自覚的に考えるであろう、この他人を選択するという項目。(例えば顔とか、趣味とか仕事とか、価値観とか)友人という枠組みになった瞬間、意識することがあまり無くなるのが面白いなと思った。
 整理した結果、私の友人は平均的に「多趣味」「他者への依存心が薄い」「気遣い屋」「性格や口調が穏やか」「寛容」と称せるであろう人が多いなと思ったが、一番は「非日常体験を全力でたのしむタイプ」で選んでいるらしい、という事実に気がついた。たぶん、自分がいちばん大事にしてること、もしくは共通していると気が楽に過ごせる、みたいな部分がその根幹にある気がした。
 ただ忘れてはいけないのは、相手にもまた選ぶ権利があるということ。知らず知らず、相手の選ぶ枠組みに自分が入っているから一緒に過ごせるのだということ。選んでいるつもりで、相手にもまた選ばれているのだという事実に、胡座はかかないでいたいと思う。

 あなたの友人は、あなたの周りにいてくれる人は、どのような人ですか。                                

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