【チャイナドレス】

 わたしのお友だちは普段着にチャイナドレスを着る人で、最初は驚いたものの、今では見慣れてしまった。歴史や文化的な部分は置いておいて、目に慣れてしまうと、ロング丈のワンピースとほぼ変わりないように思う。
 彼女いわく「コンパクトに畳めるから長旅に最適」とのことで、言われてみれば、縦にまっすぐな形の、すっきりとした衣服なので、確かに荷物を小さくまとめるには適しているのかもしれない。

 チャイナドレスを纏う彼女はどこを歩いていても絵になった。姿勢が良く歩き方が軽やかで、品がいいことも相まって、ドラマのワンシーンみたいになる。街中でも、水族館でも、梅雨時期の紫陽花の中でも。
 チャイナドレスを着ているぞ、という感じではなく、そしてたぶん全くそんなことは思っておらず、普段着としてワンピースのように自然に着こなせるところがいいな、と思った。

 わたしは着物を着るときも、お呼ばれのドレスを着るときも、それこそチャイナドレスを着るときも、「この華やかな服を着るぞ」という気持ちが強くあって、どうしてもソワソワする。素敵な衣服を纏える楽しさ嬉しさとは別に、どことなく緊張感が付きまとうというか、気張ってしまうのだ。

 だから肩肘張らずにチャイナドレスを纏う彼女を格好いいと思うし、憧れている。着たいときに着たいものを着る、というのは案外なかなか難しいのだ。

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