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日本貸借銀行と日本柔道と組織の強さの巻
日本貸借銀行という仕組みがあります。
銀行といっても実際の銀行ではなく、日常の貸し借りと貸し借りを大事に意識して生きていく人々を指した言葉です。貸し借りと言葉にするといやらしく聞こえるかもしれませんが、当たり前にお世話になったらお礼を言うとか何かを返す基本的なことです。
僕は貸し借りを大事にしています。
お世話になったら必ず返すように心掛けているし(返せなくても意識と姿勢が大切)、借りっぱなしの状態は関係が維持できなくなることも知っているので、自分の返せる範囲を超えてお世話にならないようにしています。
芸事の場合(スポーツも含む)は応援して頂いて成り立つ構造もあってか、お世話になることを恐れない体質にあります(ごっちゃん体質)。伝統芸能にご贔屓さんがあったり、相撲(プロレス格闘技)にタニマチがあったりすることからもわかります。
甘えっぱなしになってしまうことで助けてもらっていたはずが、自らの感覚が崩れて自身の生き方が崩れていくのを周りで見てきて、特段珍しい話ではないこともあって、そうあってはいけないと僕は感謝と返す気持ちを大事にしています。
格闘技界でもプロレス界でもどこの世界でも上にいる人や生き残っている人は日本貸借銀行のシステムを大事にしています。パッと頭に浮かぶのは宇野薫さんでして、彼は必ず行って来いにするよう(フェアに)に仕事をしているように感じるし、よく気を遣っています。
宇野さんに限らず営業マンかの如く気遣いができる人が多いし、気遣いができるのは状況をよく見えているからなので、気遣いをしようとしてしてないのだと思います。バランスを取るのが上手なのでしょう。自分はどうだと言われるとありきたりなバランスではないけれど、自分の形でバランスは取れていると思っています。
日本貸借銀行の仕組みで生きていると凄い対応を見たときに「参った」「やられた」「さすが」と感じることがあるのですが、ここ最近で一番の「参った」を感じました。結果を出す組織の理由で納得ではありました。
オリンピックで柔道チームが金メダルを過去最多。
井上康生体制が注目されていますが、2016年のリオ五輪後に山下泰裕さんが務めていた強化委員長を金野潤さんに変わったことも要因の一つだと僕は見ていました。
金野さんの起用は「オリンピック・世界選手権への出場経験がない柔道家として異例とも言える抜擢人事」と言われていましたが、僕のような柔道を少しやっていた人からすると金野さんは十分横綱クラスなのですが、大抜擢と言われるのが実績重視の組織なのがわかります。これは相撲をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。村のルールが重視されるのも一連の不祥事や人事からもよくわかります。
金野さんは吉田秀彦さんと全日本選手権で死闘を繰り広げて優勝。そのときに勝負に徹した脇固めと蟹挟みは僕の勝負論に影響を与えたし、金野さんが野村克也信者だったことも僕は共感して、優勝インタビューの載った近代柔道を何度も読みました。
金野さんとは僕の母校から金野さんが監督を務める日本大学に進学が多いこともあって、寝技を教える講習会を何度か開かせて、頂いてその縁もあって2016年末に全日本柔道チームで講習会を開かさせていただきました。
講習会を開かさせて頂いてから、お話しさせてもらう機会をもらったのですが、柔道界のヒエラルキーでは僕が金野さんに口を聞いてもらえることもないので、毎回光栄に思ったことを覚えています。石井慧さんもそうなのですが、誰に対しても話をしてくれて、話を聞いてくれる懐があります。僕もそうありたい。
全日本柔道チームで講習会をやらせていただいたのは大学柔道をクビになって、クビになって以来敷居を跨ぐことを許されていない僕からすると大きなことですごく嬉しかったことを覚えています。貸し借りで言えば借りをしてしまった感すらあるのです。
2016年の話なので僕自身が記憶の片隅にあったし、日本柔道の活躍を見ても僕の講習会が役立っているなんて1ミリも思っていませんでした。テレビの前のファンとして気楽に見ていました。(それも釧路のサウナで熱さに耐えながら)
日本柔道がメダルを獲得してよかったねと思っていたら、金野潤さんからメッセージが来ていて、内容はオリンピックを終えて2016年の講習会のお礼でした。こっちが忘れていたくらいのことを丁寧にメッセージをくださる。僕にくれるくらいなので関わった多くの人にメッセージを送っているのだろうし、その労力は莫大なものでそれ以上の仕事もある中でここまでの気遣いをできるのは超人的です。参りました。
この気遣いに強さの理由を見ました。
強い組織は気遣いがあります。気遣いが目的ではなく、日本貸借銀行の仕組みの中で気遣いができることで敵が減らせて運営がスムーズになる兵法の要素が大きいと感じます。
挨拶をするとか、お礼をいうとか、何かを返すのは日本貸借銀行の基本軸なのですが、形式的な礼儀ではなく関係を滑らかに進めていく術なのです。挨拶は気持ちよく仕事をするためであって、挨拶をすることが目的ではないって話です。金野さんからわざわざメッセージを頂いたら、柔道ヒエラルキーでは最下層の僕からするとただただひれ伏しますからね。
金野さんの強化委員長のポジションは組織マネジメントが仕事のように僕からは見えます。現場で何かをするのではなく(口も出さずに現場に任せる)、将として組織が目標に向かって円滑に進むようにマネジメントしていくのは現場は助かるだろうなあと思いました。僕は皆に助けてもらいつつも一人親方としてやっているので、余計に選手も現場も助かるだろうなあと思います。
上の人ほど基本を大事にしています。難しいことはやっていない。
それは格闘技の練習でも日常でも何でも同じで基本に忠実にコツコツとやっていくことが大事です。それ以上のことはなし。基本を疎かにしてはいけない。それでは今日もコツコツやっていきます。
以下は近況報告的なものです。ここまでの話とは関係ないです。
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