体重とか増量とか減量とか階級とか。小さなライト級から。
体重は75kg前後。
最近はここで落ち着いています。計るタイミングで変動はありますが、だいたいこのくらいです。体重の増減が1年を通じてほぼありません。
ONEの計量方式は体重と尿比重で計測する方式を採用しているので、77kg上限の階級にいる僕は減量がまったくありません。尿比重を計測するの尿検査のために水をたくさん飲むと逆に体重が減ってしまって74kg台で計量を通過することもあります。
尿比重も体重も余裕があるので、計量担当のスタッフから「次はフェザー級?」と声を掛けられるのも毎回です。減量をしたくはないので毎回、お断りをしているのですが、他の選手のように減量をすればフェザー級に階級変更は可能だとは思います。
水抜きありで体重だけの計量方式では70kgの階級ですが、それも体重調整程度で可能です。実際に昨夜サウナに入る前が74kg前半。サウナに12分6本入ったら71kgになっていたので、少し食事に気をつけて水を抜けば余裕を持って計量通過できます。
僕が体重の増減を嫌うには理由があります。
増やすのも減らすのもやりたくはないです。雑に言ってしまえば、ストレスとコンディションを崩すことが理由なのですが、過去の経験があります。
体重を増やすのは減らす以上に苦しい。
中学2年生までは最軽量級の55kg以下級です。
中学1年生の入学時は40kg前半だったので、それでも必死になって体重を増やす努力をしての55kgです。柔道は体重無差別の団体戦が花形なので、大きな選手が重宝されます。50kgより60kgだし、技を一つ覚えるよりも10kg増やすほうが効果的です。(短期的な目線ではある)
高校3年生までの柔道は「体重増加」との闘いでした。
高校3年時には81kgまで増やせたのは食での努力とトレーニングの成果です。思い返すと高校生までに身体の基本が作れたのは食とトレーニングがあったからだと思います。
高校生のときは自分で勉強して得た知識を自由に試す「自由さ」があったからよかったのですが、中学時代は「とにかく食べろ!」といじめのような精神論で実際に吐くまで食べさせられていたので、食べることが嫌いになってしまったのです。その当時からそれなりに本を読んで知識を得ていた僕はトレーニングと食事が重要であって、ただただ米(炭水化物)を食べさせても身体はできないと知識があっただけに余計に苦しかったのを覚えています。信じていればできても、明らかに間違っているのを知っていたらできません。
高校時代には食事を朝には餅でカロリーを稼いで、食感にはプロテインを摂って、昼の弁当を食べて、練習前にはプロテインを飲んで、練習をしてトレーニングをしてプロテインを飲んで帰宅して食事をするスタイルでした。トレーニングも分割法でしっかり取り組んだおかげで身体もできてきました。
中学時代の食べさせられた思い出は38歳になった今でも抜けず、ご飯を苦しくなっても食べません。いつも注文は少なめで頼むし、食べれないんだったら残しなさいよって思うタイプです。
話は少し脱線しますが、僕が大きな選手に憧れるのは自分が大きくなれなかったからです。中学高校時代にどれだけ頑張っても太れなかったし、苦しくて頑張りきれなかった思いが今もあります。僕は大きくなりたくてなれなかったタイプです。
減量はコンディションがガタガタ。日常生活が危うい。
2013年に階級を1つ下げてフェザー級にしたことがあります。
朴光哲戦に向けてシンガポールで練習をしていた際、試合1週間前で73kgくらいだった僕を見たコーチが「落ちるぞ!」となって、次戦から「フェザー級だ!」とやってはみました。
これが人生で一番苦しかったのです。通常体重を71kg前後にするまではそこまで苦しさを感じはしなかったのですが、そこからが本当に苦しくて試合前は睡眠が浅くなっていました。計量を通過したものの試合前に下痢で試合後には吐き戻しが2日から3日続きました。
試合のパフォーマンスもふわふわしている感じがして動けませんでした。数字的には体重も揃ったし、動けるはずでした。それが実際はまったく動けず。ここで自分の適正体重があるのだと感じてその試合を最初で最後にしてライト級に戻しました。
フェザー級にしたときに食事を相当に制限したのですが、ストレスが相当にあって常にイライラしていました。日常生活が危ういのです。練習も有酸素運動を前後に入れるので、本業であるはずの格闘技が集中してできずに本末転倒になっていました。好きで楽しいはずの格闘技が楽しめないのは意味がないなと感じてすぐにやめました。見切りの早さも大事で青木真也のらしさでもあります。
減量も増量もせずに適正体重で闘う。
こんな経験から減量も増量もせずに適正体重で闘うスタイルでいます。
短期的な視点で見れば減量をして、体格で有利に働く階級で試合をしたほうが結果は出るのかもしれません。その考えは否定しないし、短期的な視点であれば同意します。
チート(減量)を使ってでも勝ちたいときはあるだろうし、その取り組みも気持ちもまったく否定しません。むしろ尊敬に値します。
僕の場合は38歳で現役生活もプロMMAキャリアで18年。好きな格闘技を長く続けたいし、探究していきたい気持ちが強いので減量をしてとはならないのです。格闘技に対する向き合い方、考え方の話になってきます。
仕上がりと健康の違い。健康を大事にやってきました。
試合に向けて仕上がった状態と健康は必ずしも同じではありません。
むしろ相反することだと僕は思っていて、減量やハードなトレーニングでパフォーマンスを上げる作業は仕上がりと引き換えに健康を差し出していると思うときがあります。
過度な減量はもちろん、試合に向けたハードスパーリングもそうです。
試合に向けて作り込む段階で健康とトレードしていることは必ずあります。
僕の場合は減量もハードスパーリングもしないで仕上げることで健康を大事にやってきました。そのおかげもあってキャリアが長いのもあるはずです。
身体を大事にしていったほうが結果的に得ですよ。
選手を長くできれば、その分稼げる時間も長くなります。チャンピオンになって一攫千金を目指せるのはUFCくらいなわけで、それならば長く働けたほうがよっぽどいいです。ハードスパーリングも減量もドーピングも悪魔との取引だと僕は思っております。
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