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『DREAM』⑥『前代未聞の不穏な一夜明け会見』

青木真也は本当に空気を読んでいないのか? 
「証言!『DREAM』⑥『前代未聞の不穏な一夜明け会見』」

 2016年、著書『空気を読んではいけない』(幻冬舎)を上梓した“バカサバイバー”青木真也。するとAmazonの売り上げランキングでもまさかの上位に食い込み、発売からわずかの期間で一気に2万部の増刷に至ったという。出版不況、格闘技は売れないと言われる中、なぜそんな奇跡のようなことが起こったのか。
 さらに昨年末、青木真也はBASEにてオンラインショップ「青木真也商店」を開店させた(『技術DVD 青木真也 足関節の精髄』も大好評発売中!)。これで昨年末に開設したオンラインサロン(現在移行中)に続き、ネット上での新規事業がスタートしたことになる。
 そんな“バカサバイバー”が、いつだったか、かつて自身が主戦場としていた『DREAM』について振り返りたいと提案してきた。『DREAM』といえば、2008年3月から2012年大晦日まで開催された総合格闘技のイベントだが、ここに関わった関係者やファイターを含めた流れが現在にも息づいている。そう考得るとこれを再考することで、今後の格闘技界の行く末が見えてくると考えるのは、実はかなりの確率で的を射ている気がする。
 ということで、早速、“バカサバイバー”と接触を図り、『DREAM』をひとつずつ検証して行くことに。
 果たして『DREAM』という夢の舞台から、改めて“夢”は導き出されるのか?
 そして、“バカサバイバー”は本当に空気を読んでいないのか――。(聞き手◉“Show”大谷泰顕)

◉『DREAM6』(2008年9月23日、さいたまスーパーアリーナ)試合結果

第1試合 ミドル級グランプリ リザーブマッチ 1R10分、2R5分
○ アンドリュース・ナカハラ vs. ユン・ドンシク ×
2R 0:30 TKO(レフェリーストップ:パウンド)
※ナカハラがリザーブ権獲得。
第2試合 ミドル級グランプリ 準決勝 1R10分、2R5分
○ ゲガール・ムサシ vs. メルヴィン・マヌーフ ×
1R 1:28 三角絞め
※ムサシがミドル級グランプリ決勝進出。
第3試合 ミドル級グランプリ 準決勝 1R10分、2R5分
○ ホナウド・ジャカレイ vs. ゼルグ・"弁慶"・ガレシック ×
1R 1:27 腕ひしぎ十字固め
※ジャカレイがミドル級グランプリ決勝進出。
第4試合 ライト級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ 中村K太郎 vs. アドリアーノ・マルチンス ×
2R終了 判定2-1
第5試合 ヘビー級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ セルゲイ・ハリトーノフ vs. ジミー・アンブリッツ ×
1R 2:15 TKO(ギブアップ:パウンド)
第6試合 フェザー級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ 山本篤 vs. 所英男 ×
2R終了 判定3-0
第7試合 ミドル級ワンマッチ(契約体重フリー) 1R10分、2R5分
○ 船木誠勝 vs. ミノワマン ×
1R 0:52 踵固め
第8試合 ウェルター級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ 桜井"マッハ"速人 vs. 弘中邦佳 ×
2R終了 判定3-0
第9試合 ミドル級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ 秋山成勲 vs. 外岡真徳 ×
1R 6:26 腕ひしぎ十字固め
第10試合 ライト級ワンマッチ 1R10分、2R5分
○ 青木真也 vs. トッド・ムーア ×
1R 1:10 裸絞め
第11試合 ヘビー級ワンマッチ 1R10分、2R5分
- ミルコ・クロコップ vs. アリスター・オーフレイム -
1R 6:09 ノーコンテスト(ローブロー)
第12試合 ミドル級グランプリ 決勝 1R10分、2R5分
○ ゲガール・ムサシ vs. ホナウド・ジャカレイ ×
1R 2:15 TKO(レフェリーストップ:蹴り上げ)
※ムサシがミドル級グランプリ優勝。

以下、今回の記事の一部を紹介

▪︎「『DREAM』の大黒柱と皆勤賞」
▪︎秋山“マイケル・ジャクソン”成勲にケンカを売る!
▪︎“バカサバイバー”、まさかの左翼思想に陥る!?
▪︎前代未聞の不穏な一夜明け会見
▪︎陣地取り合戦
▪︎理想郷に見えた“外”の世界

▪︎「『DREAM』の大黒柱と皆勤賞」

――今回は『DREAM6』(2008年9月23日、さいたまスーパーアリーナ)の話になるんですけど、『過激な恋愛』を読むと、初の未払いというか、ギャラの支払いの遅れが発生した話が書かれていましたね。
青木 ぶっちゃけ、4月のギャラ(『DREAM2』のJZカルバン戦)までしかもらっていなかった気がしますね。
――その後の『DREAM3』(2008年5月11日、さいたまスーパーアリーナ)の永田克彦戦以降が払われていなかった?
青木 そんな気がしますけどね。いや、『DREAM3』までは支払われていて、その次の『DREAM5』(2008年7月21日、大阪城ホール)のライト級GPの準決・決勝の分がまだだったのかな? だから「遅れている分を全額支払ってもらわない限りは、試合をやらない」って言ったと思います。
――そこは守ってくれと。
青木 そう。その当時の状況だと、試合があった月の翌月末には支払われる契約になっていたはずだから、7月にあった『DREAM5』までのギャラが払われるはずなんですけど、9月になっても払われていなかったから。
――厳しい話が、ついに現実のものなったわけですね。
青木 僕の記憶だと8月中に『DREAM6』の試合のオファーはなかったと思う。「払ったらやる」って答えたと思うから。だから結構、タフな交渉をしましたね。
――『過激な恋愛』には「ギャラも上げてくれ」という話が書かれていますけど、それはライト級GPで準優勝だったという実績を考慮してほしいということですよね?
青木 それとギャラの支払いが遅れた分のペナルティですよね(笑)。実際、上げてもらった気がしますよ。
――『DREAM6』は9月23日に開催されたんですけど、“バカサバイバー”の参戦会見があったのは、9月16日でした。テーマは「『DREAM』の大黒柱と皆勤賞」だって。実際、そういう意識はあったんですよね?
青木 もちろんあったし、何より言葉が乗っていますよね。誰かに言われたんじゃなく、自分で持ってきた言葉なので。嶋浩一郎が言うところの「社会記号」というか。

[「本屋大賞」を立ち上げたクリエイティブディレクターの嶋浩一郎は、著書の中で「女子力、加齢臭、草食男子、婚活、イクメン、インスタ映えといった、どこからともなく現れて一般化した造語を『社会記号』と呼び、どのように生まれ、どのようなプロセスを経て社会に定着していくのかを考察していく」と説いている]

――「社会記号」ですか。
青木 要は「社会記号」を作った時に現象化して行くんだよ、みたいなことを言っているんですけど、まさにその通りだなと。だから僕は格闘技における「社会記号」を口にした感じですよね(笑)。
――その会見には、なぜか“バカサバイバー”は試合用のスパッツ姿で現れたんですけど、何か意味があったんですか?
青木 意味はないです(キッパリ)。

▪︎秋山“マイケル・ジャクソン”成勲にケンカを売る!

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