勝ち負けは人生を豊かにしてくれる話
生きていると勝ち負けがあります。
勝負の世界に生きていると勝負の場が多過ぎて勝負の貴重さは麻痺してしまうけれど、明確に勝ち負けがつく場(試合)は世の中的には珍しいことです。勝負の場があったとしても評価軸を売上に変えたり、利益に変えたり、知名度に変えたり、評価軸をどれにするかで曖昧にできてしまうからこそ、勝ち負けが明確につく格闘技が人を惹きつけて、立ち向かう姿や立ち上がる姿に価値があるのだと思います。
勝ち負けがつき難い世の中で勝負の場がない世の中だけれど、全ての人の人生には勝負の場(試合)が必要だと僕は思っています。勝負の場は「やりがい」でもあるから、収入とは別軸で考えてよく、人生には「やりがい」が必要です。
人生には試合が必要なのはわかっていても、試合をすれば勝ち負けがついてきて、勝てば嬉しいけれども負ければ辛く悔しいので試合を躊躇してしまいがちです。勝ち負けがついてくるまでは誰もがわかっていても勝ち負けに対しての解釈できていないのではないかと僕は思っていて、勝ち負けに対して解釈を設けることで踏み出しやすくできて、この先の生き方を強く厚くできるのではないかと思うのです。
得意淡然失意泰然 基本としてはこの通りで野球のピッチャーのようなイメージで相手を抑えることができても味方の援護がなければ勝てないのだから自分の仕事を淡々とやっていくのが大切だと思ってやっています。原理原則として日々をコツコツ積み上げていくのは何も変わらず日々があってこそです。勝っても負けても浮かれず変わらずで日々を過ごしましょう。普段から勝ち負けとか、やりがいとか、好きとか、幸せとかその類の話を考えているのですが、世の中的に話題を集めていた「世紀の一戦 那須川天心対武尊」を見て勝ち負けに対する考え方は大事だなと余計に感じました。
大会当日は事前番組に出て後楽園ホールでプロレスをしてまた東京ドームにて観戦とバタバタと過ごしていました。僕は生き方で表現しているから世紀の一戦と言われる日に青木真也がどんな表現をするのか問われていると思って緊張感を持ってやりきりました。那須川天心対武尊の試合自体は僕の予想の範囲を超えてくることはなかったので驚きはなく、「格闘技のいい試合を見た」で終わってしまったのが正直なところです。注目度が高くよく売れて、競技力も高い両選手の試合ではあるけれど面白いか面白くないかで言えば驚きがないので面白さがあったわけではないのが偽らざる本音です。そもそも面白いから見られるのではなく、面白いものや何かが起こる期待で見られるものですから、試合が面白かったかどうかと試聴数は別の話です。
那須川天心さんは良くも悪くも負けられない人だと思ったし、負ける選択肢が存在しない中で求められるものを創り上げていくのは大変だと思いました。負ける選択肢がないので、モノ創りの上ではハンデキャップマッチのようにさえ感じてしまうところがあります。猪木のホーガン舌出しのように負けられる強さというか、驚かせる強さもそれはそれで大事だと僕は思っています。競技的にではなく表現としての視点ではあります。猪木なら負けたと思うし、青木も負けただろうなと思って見ていました。その意味では勝ち続けてしまうことで孤高になっていくのは不幸だと思うし、負けられない大変さを那須川天心に見ました。
武尊さんは負けて悔しく喪失感が大きいのはわかるのですが、豊かな人生で面白く魅力的な人だと思いました。そもそも武尊さん軸の試合なのは試合前からわかっていたし、武尊さんは高田ヒクソンにおける高田だし、高田武藤における高田なのだから勝っても負けても武尊さんのドラマなのです。ここから立ち上がるところが格闘技プロレスの醍醐味であり真骨頂で、ここからの武尊さんのドラマが厚くなるのだから頑張りどころだと思います。世の中のほぼ全ての人は負ける人生であって、その中で如何に立ち上がり生きていくかが大事なのだから今ほどメッセージを伝えられて感情移入してもらえるタイミングは無いと思います。ここら辺はサイバーファイトフェスの「強さ」の話を読んでもらえるとわかります。
勝ち負けだけを見て生きていると視野が狭くなってつまらなくなります。
勝ち負けにこだわって懸命にやると楽しく豊かになります。勝ち負けはスパイスのようなもので勝ち負けがあることで人生を豊かにしてくれます。負けは人生を豊かにしてくれるし、負けることで成長と物語に厚みがつきます。
良い過程+良い結果=成功
良い過程+悪い結果=不運
悪い過程+良い結果=幸運
悪い過程+悪い結果=失敗
勝ち負けは天に預けたものだと思って目の前にある日々の日常をコツコツと積み上げていきましょう。格闘技もプロレスも勝敗は天が決めたものであって、そこに向かって精一杯取り組んでいけば自ずと良い生き方ができると思ってやっています。その意味で僕は格闘技もプロレスも同じだと思っているし、同じ闘いだと思っています。格闘技で負けても立ち上がれるのは天に任せて自分に傾かなかったのだと思うようにしているし、裏を返せば天に預けたと思えるほどにやれることはやり切って臨んでいます。武尊さんを見ていて勝ち負けは人生を豊かにしてくれると改めて感じました。我々も日々を変わらずに積み上げていきましょうか。
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