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「考えられてないことがない状態」とMMAファイターだからMMAがしたい話

暑さを通り越して、サウナと変わらない日々ですが、変わらずに練習をしています。本当に格闘技の代替物がないんだと思います。これはこれで考えものです。まあそれはそれとして。

練習は強くなるためとか、楽しむためとか、仕事だからというよりも、日々の日課でコンディション作りの一環として、やっています。達成しなければいけない大きな目標があるわけでもなく、自分自身との対話と内省として練習に取り組んでおります。成り上がりの手段として格闘技をやっているのが大多数の中で、独特で奇特な取り組み方だとは思いますが、僕にとっては自然なことです。それは格闘技に対して、自分自身との対話と内省以外の何かをそれほど求めていないのが大きいと思います。もちろん生業ではあるけど、日々を成り立たせる何かを求めているわけではないです。

格闘技に取り組む中で気付きがありました。

僕は格闘技の技術に正解も不正解もないと思っています。格闘技に限った話ではなく、自分が創るモノや表現としての立ち居振る舞いに「考えられていない状態がない」のが大事だと思っています。技術の正解不正解に関しては、基本やセオリーはあれど、選手個々の資質や志向で選択する技術は変わってくるので、必ずしもこれが正解と言った技術はなく、「僕はこう思うけど、それもいいね」といったところです。

正解不正はないけれど、考えられていない状態がないのは大切です。
「なぜこのクラッチを組んでいるのか?」と聞かれたときに理由を答えられることが大事だと僕は思うのです。正解不正解はなくとも、手の握り方や身体の位置や立ち方の細部まで、個々の選手で個性と理由があって、その全てが考えられている状態かつ練られている技術であって、それこそ完成度の高い技術で、それっぽい言葉で言えば解像度が高いのだと思います。それっぽく聞こえるので、ついつい多用してしまいますが、一周まわって意識高いアホだと思われそうで多少警戒しています。

自分の技術に悩んだり、自分の技術が不恰好に見えたとしても、考えられてないことがない技術であるならば、どこに出しても恥ずかしくない技術だと思います。自分の技術に悩んだときは「考えられてないことがない」かどうかを見直してみるとすっきりするし、考えられているのであれば胸を張ってよいです。

僕は自分の技術を教えることもあれば、誰かに教えを受けることもあれば、選手間で技術交流をすることもあります。トップ選手やこれから上に行くであろう選手は、一つの技術に対して練り込んで考えられているので、教わっていても、技術交流で話していても、学びがあって面白いです。受け手次第で感じ方は違うので、学びや面白さを感じられるように、こちらも日々練って高めていなければいけないので、僕の刺激にもなっています。一つのことからどれだけの学びを得られるかは受け手の技量に問われているとも思っていて、練習や試合や日々の日常で、どれだけ学びを得られる自分を作れるかが、生き方という意味での勝負の分かれ目な気がします。

最近の傾向とか、今の若い子はと言うと一気に老害感が増すけれど、格闘技人口が増えて、格闘技の競技レベルが上がって、練習体系が体系化されることで、格闘技を形で覚えることが増えたので、考えなくてもある程度は強くなれる環境が整備されたように思います。それこそ体系化された練習とコーチを求めて、多くの選手が海を渡るんだろうけれど、自分の頭で考えられないのであれば必ず頭打ちになることを見て見ないふりをしているような気がします。すがるものを探しに行っているようにさえ思います。

裏を返せば技術と練習が体系化されたおかげで、考えなくともそれなりの競技レベルまでは行くことができてしまうので、トップレベルまで行ってから頭打ちになって悩むようなケースが増えたのではないでしょうか。僕がMMAが体系化される前から選手キャリアをスタートして、試行錯誤の中で考えなければ先に進まない状態でやってきたのは、そのときは指導者や教科書が欲しいと思ったけれど、今となって考えると自分で考えるクセがついてよかったのだと思います。

自分で考えることは格闘技に限らず、仕事でも、日常でも何でも置き換えることができます。僕はこれが格闘技(スポーツ)の価値の一つだと思っていて、格闘技に熱中する中で、失敗や試行錯誤を繰り返して経験を積んで、自ら考える力を得て、自立することが強くなるってことなのかなと思っています。自分で考える力がつけば、他の仕事でも応用可能で、そもそもセカンドキャリアなんて話が要らなくなると思います。

先ほど、急な試合の打診が水面下で転がってきました。
急過ぎてスケジュール調整できなかったです。こればっかしは謝ることでもないですね。急過ぎて仕方がないです。とは言え、色々と考えました。

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