<王者>青木真也 vs 遠藤哲哉<挑戦者> 向き合うことを決めた人は強くて怖い
KO-D無差別級選手権試合
<王者>青木真也 vs 遠藤哲哉<挑戦者>
上野勇希さんに勝利して王座戴冠の余韻に浸る時間もなく、王座戴冠の瞬間には次期挑戦者が名乗りを上げて、2週間後に選手権試合が決まるスピード感と興行論が現代プロレスのフォーマットになっております。
僕からすれば悲願の王座戴冠と言って差し支えない範囲で、そこに初戴冠なのもあって、少しは考慮してくれても良いんじゃないかとは思わなくもないのですが、勢いを取り戻したDDTには回してしまう力があります。
僕としても「王者の責任」として、DDTとプロレスと向き合うのが責務なので、青木真也としては挑戦者遠藤哲哉も短期スパンでの防衛戦も出来ることなら避けたいけれど、王者としては望むところであります。DDTにもプロレスにも僕の好きと愛の形と量と温度があります。それが他と違ってもいいけど、僕は僕の愛があるのです。まあそれはそれとして。
挑戦者は遠藤哲哉。遠藤哲哉を語るときに「中嶋遠藤」を語らずに遠藤哲哉を語ることはできません。「中嶋遠藤」から2年経つけど、遠藤哲哉さんは「中嶋遠藤」をきっかけに燻ってきたと思うし、「中嶋遠藤」きっかけで上野さんや樋口さんやMAOさんが台頭してきて、DDTの勢力図も変わってきたように僕は解釈しています。上野さんもMAOさんも選手個々に背負って引っ張っている想いがあって、良い意味で選手の想いが団体の勢いになっていると僕は思うので、頼もしい若者です。
僕は「中嶋遠藤」戦に向き合おうとしない(ように見える)遠藤哲哉さんを歯痒く思っていて、僕はことあるごとにチクチクとやっていました。中嶋勝彦さんも含めて迷惑な話であることは承知ではありますが、なにぶん僕が面白いのでやめられません。ただそれだけでもあります。2年前も僕がいくことを許されるのであれば元気にやり返しに行ったのですが、僕は所属でもなければ王者でもないので、僕には何の権利もなく見物するにとどまっておりました。今回王者になったので、2年前の中嶋勝彦さんを蒸し返してみようとしたところにやってきたのが遠藤哲哉さんです。ちなみに中嶋勝彦さんからすれば、迷惑な話で「コバエ」呼ばわりしたくなる気持ちもわからなくもないのですが、やっちゃったもんは仕方がないところはあります。迷惑だろうなって思う気持ちも僕にもありますが、それ以上にワクワクを抑えきれません。まあそれはそれとして。
僕は今の遠藤哲哉は「強い」と思うのです。正直に言えば僕はものすごく警戒しています。なぜならば2年間泥水を啜ってきて2年間掛かったけれど、向き合うことを決めた人間の強さは想像を絶する強さがあると思います。2年間自分と向き合って、死にたい思いを何度もしたであろう中で、ようやく「中嶋遠藤」に向き合う決心と覚悟をした遠藤哲哉は絶対に強いし賭けてきます。もしかしたらもう一度潰されるかもしれないし、そこに僕はもう一度潰す気持ちで臨みます。上野戦で感じた「潰しても大丈夫」の信頼は遠藤哲哉には僕はまだ持っていないので、2週間弱の期間で遠藤哲哉さんに対して「潰しても大丈夫」の信頼と愛を持てるかが試合を分けるのではないかと思っております。
遠藤哲哉さんが青木真也と対峙することで、遠藤哲哉自身を浮き彫りにさせようとしているような気がしていて、自分自身と向き合うことは何かと向き合うことで自分が浮き彫りになってくることはあるので、遠藤哲哉さんが意図があってかどうかはわかりませんが、ちゃんとプロレスしようぜ!だと思いました。
僕も今まで結構な数の挫折や大敗を喫してきて、その度に目を背けずに向き合って生きてきました。目を背けずに向き合って生きていくのは苦難の道でありまして(自分業であれば仕方がない)、それならばと目を背けて見ないようにするのもまた立派な生きる方法だと思います。遠藤哲哉さんも目を背けて見ないようにする道はあったと思うし、それなりに上手にやっていくこともできたとは思いますが、目を背けずに向き合って生きていくことを選んでくれました。これから王座を賭けて闘う対戦相手に言うのもおかしな話ですが、僕は嬉しい気持ちでいっぱいです。めちゃくちゃ嬉しいです。全力で潰しに行けます。潰しに行ける相手になってくれたことが嬉しいです。気がついたら箱庭のDDTがガンガン燃えていて、内部の選手からすればたまったもんじゃないだろうけど、お客さんからすれば勢いのあるエキサイティングな団体に仕上がっているんじゃないでしょうか。
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