はなむけ
長かった私たちの微熱は
少しずつ普通になっていく
寂しいことじゃないよ
きっと"普通"の事だよ
気がついたら雨が降っていて
傘が雨を弾く音だけがここでは世界だった
あと何秒か後にはさよならする2人には
それが心地よかった
雨の湿気でうねる前髪を直すと
私は何故か泣いていて
どうしようも無い気持ちになった
結局あなたと私はどこまで行っても他人で
愛を確かめたって結局自分が1番かわいい
嫌な女にはなりたくなかったなぁ
別れを切り出した私に
君は驚かなかったね
雨と混ざるその甘い香水の匂いは
どこまでもあなたの匂いがした
飽和してる部屋の中には
思い出がいっぱいで
まるで浴槽の栓が抜けるみたいに
あなたが開けたドアから流れていった
半分嘘のまま2人になって
ここに理由がなくて安心してる
あなたをたらしめる全てになって
あなたは私のすべてだった
そんな言葉も嘘になったから意味を成さない
雨の湿気でうねる前髪を梳かす
だからどうか
でもどうか
忘れて