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読書、読了、積読、読みかけ、読みたい、未読。

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最近の記事

本を読んだら 『手紙を書くよ』

1.note、サボってしまった 本を買うのが毎日の楽しみ。でも、読める量以上に買うことを続けると、積読の山がじっとりと腐臭を放つような気がしてくる。 それをさらに超えると、本が暴力的に自己増殖しているような錯覚にまで陥る。 あればあるほど幸せというのも分かる。 移動中に読む本を忘れたら、必ず補充する。 でも、積読の山脈を前に、「一生かかっても読めないなあ」とうっとりするだけの肝はない。 そんなわけで、積読の増殖に一定の抑制をかけつつ、確実に減らしていく方法をあれこれ模索

    • 本を読んだら 『異邦人のロンドン』

      1.大型書店での出会い 前回https://note.com/a_o2a_o/n/n541a9685dbff?sub_rt=share_b の冒頭で書いたことと矛盾するようだけれど、チェーン展開の大型書店に行くのも好きだ。平積みされた新刊、ジャンルごとのおすすめ本、思いがけない本との出会い。 私が一番よく行く書店チェーンでは、書評コーナーに力を入れている。新刊コーナーでは見つけられなかったけれど、書評コーナーにあったということもざらにある。 ただ、どの店舗も共通して書評コ

      • 本を読んだら 『東京ロンダリング』

        1.ベストセラーは街の本屋さんで 地元に古めかしい書店がある。建物のどこかに、100年以上の歴史があると書かれていた。小さな店内には雑誌の陳列台がレジ前にあり、その裏が宗教書メインの棚になっているなど、全く独立系でない、昔ながらの新刊書店。 教科書の取扱店にもなっているようなことを話しているのを聞いたことがあるから、経営はどうにかなっているのかもしれないけれど、とにかく文芸書の回転が悪いのが気がかり。 たとえば、「〇〇賞候補作!」の帯で何ヶ月も面出ししてある単行本。その賞…

        • 本を読んだら 『さびしさについて』

          【読むのにかかった時間】2日くらい 【再読するか】あまり読まないかもしれないけれど、手元に置いておきたい 【勧める人】静かな語りを求めている人、少し疲れている人 1.幸せな読書、つらい読書 本を読むことが好きな人にとって、読書はそれ自体が幸せだ。迷って手に入れて、しばらく置いたままにしていた本を装丁から確かめて読む。予想外につまらないということはあるけれど、置いておけば読めるようになることもある。 けれどごく稀に、読むことで心の中の大切な部屋を踏み荒らされたような、突然爆

          本を読んだら 『「おりる」思想』

          1.本はどこから 刊行前の書籍の情報がどこからともなく流れてくる。著者、版元、取次、書店、ほぼもれなくSNSのアカウントで情報を伝えてくれる。その情報を眺めているとどうしても興味を惹かれる。テーマ、著者、編集者、版元、内容、紹介のしかた、装丁家、デザイナー、装画の方…書籍には本当にたくさんの情報が詰まっている。 でもその情報にずっとさらされ、追いかけるように書店に行って本を探すうち、逆に追いかけられているような気がしてくる。 重くなった荷物を抱え、少なくない額を支払い、家に

          本を読んだら 『「おりる」思想』

          本を読んだら 『慶州は母の呼び声』

          【読むのにかかった時間】数日 【再読するか】時間をおいて再読したい 【勧める人】植民地時代の朝鮮での暮らしを知りたい人、森崎和江の著者を何冊か読んでみたいと思う人 1.ちくま文庫とどう関係を構築するか 本が好き、中でも人文書や文芸が好き、品切れしている本の復刊が待ち遠しい、そんな方は、 筑摩書房、とりわけちくま文庫 との付き合い方、どうしていますか? 私は、ラインナップを見るとホイホイと財布を取り出さずにはおれず、毎月何かしら買っています。自然と集まるちくまと河出で、文

          本を読んだら 『慶州は母の呼び声』

          見ているようで見ていないものを

          この街に暮らして四捨五入で10年。初めて役所の中で食べ物を買い、その中で外を見ながら食べた。 食堂があったけれど閉店したこと。地域メディアで見たな、でも自分には関係ないと思っていた。今もあったら、温かいものが食べられたのに。 読書会の課題図書を読むうちに、絵や図、地図や写真が見たいと思い、遅くまで開いている新刊書店に立ち寄る。郷土の本のコーナーに、探している本が全くない。江戸時代とか、古代はあるけれど、近代が欠落して急に今になったような感覚を覚える。 品揃えはいい店だと思っ

          見ているようで見ていないものを

          本を読んだら 『熊本かわりばんこ』

          0.出会いの熊本 社会人になって初めて、ひとり旅に出たいと思った先が、熊本。 東日本大震災のあと、絵筆を取ることのできなかった奈良美智さんが、かわりに手にした粘土。そうして作られた大きな塑像や、柔らかな色合いの女性の絵。 「不機嫌な少女の絵で有名な」というとおりいっぺんの形容詞が塵になって飛んでいき、心が静かに落ち着いていく。何年経っても色褪せることのない、展覧会の記憶。 あの展覧会はなぜ、熊本に巡回してきたのだろうか。今、巡回しない青森県立美術館での奈良美智さんの個展が、

          本を読んだら 『熊本かわりばんこ』

          本を読んだら 「『その他の外国文学』の翻訳者」

          【読むのにかかった日数】数日 【再読可能性】再読する 【勧める相手】翻訳文学好き、語学好き 1.Aの頼りない「その他の外国文学」 「その他の外国文学」という分類は、巨大企業Aが採用している。ただ同社サイトの今日の売れ筋ランキング1位は、イギリスで出版された英語の小説「アウシュビッツのタトゥー係」だ。この調子だと、アメリカ移民二世として、英語でインドやベンガルを舞台にした小説を書き、イタリアに移住してイタリア語で創作を続けるジュンパ・ラヒリは、どこに分類されているのか心許な

          本を読んだら 「『その他の外国文学』の翻訳者」

          本を読んだら 『映画を早送りで観る人たち』

          1.はじめに 他のSNSに読書記録をアップしていましたが、noteに戻って来ました。 積読本 読中本 読了本 ときどき映画 などについて、記録を残すつもりです。 無断転載は禁止します。 今年は120冊読もうと思っているので、既に読んで他のところに書いたものはおいおい上げていきますが、ひとまず直近の読了本を紹介します。 2.『映画を早送りで観る人たち』 【読むのにかかった期間】2日 【再読の可能性】あり 【人に勧めるか】勧める 自分も動画視聴サイトで早送り

          本を読んだら 『映画を早送りで観る人たち』