雨太鼓
あまだいこ。
傘を太鼓のように打つ雨に
自然とそんな言葉が思い浮かぶ。
天気予報は、
しっかり教えてくれていたので、
雨の弱まった最中に、油断して
買い物に出かけ、
自ら打たれに行ってしまった。
爽快に叩く音と、迫力ある勢いに
靴はつま先から浸水されて、
靴下も順調にびしょびしょに濡れてゆく。
ははは。
踵も濡れてきたぞ。
靴が丸ごとびしょびしょだぁ
なんて、考えてるうちにジャブジャブだ。
そう。
ジャブジャブ。
もはや、清々しさすら感じる。
小学校1年生か2年生の頃の、
台風で大雨の帰り道を思い出す。
全身びしょびしょに濡らしながら、
なぜか面白くて
笑いながら全速力で友達と帰った。
子供にとっては、この大雨も
興奮するイベントになるんだろうなぁ。
と、思い出を振り返りながら想像する。
ジャブジャブと足を進めていると、
前方から、下校途中の
小学校1年生らしき男の子と
女の子2人組が小走りでやってきた。
大雨に苦戦しながらも
笑っているのでは?
と、そっと視線を移したら、
真面目な顔で
「いっちに!いっちに!」
と、かけ声つきで
必死に足を動かしていた。
あぁ。
そっか。
人の苦労は、人様のもの。
昔の記憶が美化されるのは、
これからを生きていくために
必要な栄養素になるけれど、
だからといって
子どもには子どもの苦労があるよね。
決めつけたら駄目だなぁと、
そんなことを思いました。
どうか無事に帰ってね。
大好きなあなたも。
一生懸命なきみも。
帰り道お気をつけて。
記事を見つけて下さり、最後まで読んでいただきありがとうございます。 少しでもなにか心に残るものを届けられていましたら、こんなにも嬉しいことはありません。