かわいい人。
わかちゃんはふっくらしている。
というより、超肥満の分類らしい。
何かのくくりの5%の人間と言っていた。
そのお腹はくまのプーさんである。
一緒にアトラクションに乗ると、
「あぁ、そうだった」と
私は人二倍の絶叫体験をすることがある。
スプラッシュマウンテン。
隣に座って下げた安全レバーは、
わかちゃんのお腹でつかえた。
わかちゃんの体はしっかりと固定して、
私の方はスカスカの状態に
私のお尻は宙を浮いた。
ビッグサンダーマウンテン。
坂道は直進ではなく弧を描く。
やはり締まらない、もはや
触れてもいないレバーで左右に振られた
私の体はお尻から右に左にずり動く。
そこに細かい縦揺れも加わり、
脳内はぐるんぐるんである。
頭が痛くなってしまった。
モンスターズインクに乗る前には、
心配してくれたわかちゃん。
「じゃー、俺がおさえてる!」
と、わかちゃんの腕が
私のお腹の前でレバーになった。
う~ん、これはこれで座り心地が…。
そう思いつつも憎めないやさしさである。
「大丈夫だった?」
「うん、ましだった。」
しかし、頭痛はかなりの限界。
スペースマウンテンになると、
嬉しいことに一人ずつのレバー!
ありがたい…。
にもかかわらず、わかちゃんは
私の体が少しでも揺れないようにと
がっしり腕に力を込めて、
ぷくぷくほっぺまで顔にぴたりと
くっつけた。
真っ暗がり。
真横で「ひゃ~~~!」と叫ぶ声が
よく聞こえる。
まっすぐなやさしさ。
かわいい人である。
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