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本当に無人島 後編

インドネシア 自然遺産ウジュンクロンの海に浮かぶプチャン島は人間の居住が許可されておらず、基本的には無人島だ。

ゲストの為にロッジと炊事場はあるが電気も通っていないし、お湯もでない。毎日巨大なポリバケツで水が運ばれてきてシャワーの代わりに水ごりをするというこれも中々修業な日々が待っていた。

鹿やらイノシシやら猿やらがたっぷりいて、島に着いた途端に野生の真ん中状態となる。
船に乗り込んでいた現地ガイドと思しきスタッフ達はシェフと漁師で、毎日皆んなの食料を海に釣りに出かけていった。。持ってきた食材と併せて半自給自足なのだ。彼らは帰島するとギラッと光る巨大なオニザワラやバラクーダを得意げな顔で小舟から下ろした。大物である、さぞかし良いファイトをしたんだろうなあ、、釣り好きの僕はどっちかというとそっちに参加したかったのは内緒だ。

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もちろん携帯の電波など無縁の島である。
コーディネーターはどうしてもジャカルタに連絡がとりたいと言って電波の入る海域まで希望号で大海原に出かけていき、半日帰ってこなかったりもした。

また島のあちこちに1.5mほどのオオトカゲがのしのしと歩いており、ロッジの部屋のドアを開けると鉢合わせる事がある。こういうなかなかスリリングな体験もたくさん出来た。

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「噛まれないでくださいね、噛まれた所からバイキンが入って大変ですから」

だそうだ。(^◇^;)

オオトカゲのほうにも
「噛まないで下さいね」と言っといてくれとお願いした。

しかもそのトカゲを野性味タップリに撮影したい言うので1番大きそうなのをガイド達に穴から引っ張り出してもらい、しょうがないので正面から口をあけて威嚇してくるドラゴンちゃんを撮影させてもらった。望遠で顔をアップにするとほとんど恐竜、、いやちょっと鳥肌がたった。

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ジャングルや海、動物など「自然!」なものはたっぷりなので撮影は順調にいった。

しかしちょっとづつ問題が起き始めた。

うちの若いDが鉛筆号でワニを探しに行きたいとか、まぼろしのジャワサイを撮影したいとか言うので、もうちょっとみんなの安全を考えろとたしなめたり、コーディネーターとそのアシスタントが喧嘩をしてミーティングに来なかったり、現地ガイドがウチのライターに恋をしたりとほかにも色々と人間同士がトゲトゲと揉め始めたのだ。

このままでは、ちょっとやりづらい。

たぶん、怒ると一番怖いと思われているのは一番歳上で髭面の僕なので、皆んなの所にいって顔をみてちゃんと話しをしようと言った。けして怖がらせたいわけではなく、

「先ずはこっちを向いてくれ、」

の部分にすこし年の功を使っただけである。
にしても、皆んなの経験が足りなすぎる、、適当に和む話をして丸く収める訳にもいかず、ちょっと真剣にどうすれば良いのかと言う話をさせてもらった。

まあ、内容は想像にお任せするとして、

メールでのやり取りがコミュニケーションの基本になっている人達は、顔をつきあわせて話をする事が下手になっていて、しかも直接のコミュニケーションにストレスを感じるようになっている。それが事の原因だと感じた。
ただでさえメールも出来ない無人島での不自由な生活の中で、湧き上がる不安は不満に変わり不和となっていったのだ。

僕もウチのライターに、

「南雲さんより写真がうまく撮れないっ、何が違うの、悔しい!」

とか

「何でそんなに装備がちゃんとしてるんですか、その靴は本当に防水なんですか?」

とかいろいろ突っかかられた。

そりゃお前、経験豊富なフォトグラファーがライターより写真が下手で、しかもジャングル歩く装備もってなくてどーすんのよ、何言ってんの?とも思ったが
でもたぶん、本当は普通に話をしたかっただけなんだと思う。

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普段から
お互いを認めて、顔をみて話す。
こんな事がやっぱり大事なのである。

まあでもそれからはちゃんと話をしない事にはどうにもならないと分かったようで、お互い顔を突き合わせるようになり、だんだんとチームは纏まっていった。

ウチのライターに恋した現地ガイドはそのまま恋をし続けていたが、馬に蹴られて死ぬのもいやなのでそれはほっておいた。

その後も撮影は順調にすすみ、最後に海で大きな角を持った鹿とオオトカゲとみんなの記念撮影をして島を出る事にした。

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さらば無人島、やっぱりCDプレイヤーは無かったね。(^^)  

さて、また希望号での修業の航海をへて、みな無事にジャカルタに戻って来ることができた。

行くときに現地ガイドの一人がウチのライターをおんぶして運んだのを思い出し、どうやら彼はそこで恋に落ちたらしいのも判明した。


帰国後少したってそのライターは普通に結婚したので彼の恋は終わりをつげたことになる。まあ、こればっかりは仕方がない。
帰りの船からはライターは自分でザブザブと海を歩いて陸地に着いていた。。多少なりとも色んな意味でワイルドさを身につけたのだろう。

無人島からたどり着いた人の住むその汚れた海を見て、地球と人間との対話も、顔を付き合わせてちゃんとやっていればここまで酷くはならなかったのではないかと思った。
海も人も沢山存在はするが、まずは目の前にいる人や自然をしっかり見て考えていきたい。それがそこにいる人の役割でもある。

無人島での生活は、すごくシンプルに大事な事を考えさせられる経験となった。
人も、地球も、ちゃんと見て、認めあって、仲良くしていきたいものである。

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さて、そんな気持ちを持って、地球一周に出かけるとしよう。


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