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Photo by
niwaken
「自由律俳句まとめ」
#1 消された写真の方が私の写りはよかった
#2 校庭見下ろす姿をずっと見上げていた
#3 私の座った椅子だけ固定されてる
#4 火葬場の食堂でも大盛りに出来る
#5 月と君だけが浮かぶプール
#6 口笛を吹いて気まずさが増す
#7 険悪な雰囲気のなか名物パフェの登場
#8 便所で迎える花火のフィナーレ
#9 君を起こさぬようそっと麺を啜る
#10 明日のパンとして買われた今日のパン
#11 新聞配達のバイクが朝を吹き出して行く
#12 もうインターフォン鳴るのが怖い時間
#13 市民プールの匂いが自転車を加速させる
#14 また浴衣の女性とすれ違いスマホを開く
#15 イルカではなくずぶ濡れの子供に拍手
#16 夏の海を眺めるだけの歳になった
#17 先に着いてしまった祈祷師
#18 店員が焼いてくれてるので会話できない
#19 船から笑顔で手を振る知らない人達
#20 粉チーズを小皿で出される誤算
#21 排気ガスで舞う桜吹雪
#22 このまま歩けば試供品をもらえる
#23 ラーメンを頼んでも炒飯のスープは来る
#24 百円ショップの募金箱に千円
#25 あの巨大な料理がここにも来るのか
#26 窓に映る東京タワーをずっと見ている
#27 もうすぐ着くの感覚が合わない
* 空爆の報も吸い込んでゆく掃除機
#28 思ったよりも旅館の周りは寂れていた