2023年12月に見たライブ(USG/ケバブス/くるり)
43. 12/11 UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023"Ninth Peel" next@Zepp Haneda
こちらに書きました。
44. 12/19 THE KEBABS 暮暮@神田明神ホール
45. 12/20 THE KEBABS 暮暮@神田明神ホール
こちらに書きました。
46. 12/23 くるり「感覚は道標」発売記念ツアー「ハードにキマる!つやなし無造作ハッピージェル」@ZeppDiverCity
くるりのアルバム「感覚は道標」発売ツアーファイナルへ。このアルバムは、オリジナルメンバーのもっくんと3人で久しぶりに作ったという、初期からのファンにはなかなかエモいアルバムです。そのツアーなのでドラムはもっくんと、くるりのライブでお馴染みのテクニカルドラマー、クリフ・アーモンドの2人体制。ギターはまっちゃん(松本大樹)、鍵盤はノッチ(野崎泰弘)、そしてコーラスは加藤哉子さん。
2017年「チミの名は。」ツアーでも、クリフともっくんが揃ったことがありました。あの時はギターもツイン(まっちゃん/幹宗)で、曲によってメンバーが入れ替わり立ち替わりする面白い編成でした。ファンファンは産休中だった。懐かしい。
・アルバム収録の「LV69」を出囃子代わりにメンバーが登場、そのまま「LV69」を演奏し始めるという演出でした。1曲目にこの曲が来るイメージが全くなかったので意表を突かれる。バグパイプが鳴っていたりして異国情緒溢れる、どこか力の抜けた曲。
続けて「doraneco」が来たのも意外です。アルバムの並びではありますが。ドラ猫というタイトル通り、ところどころに猫の鳴き声に聞こえるようなSEが散りばめられていて笑ってしまうのですが、ライブでは岸田はんと加藤さんが、実際に「にゃおーん」と鳴いていたのが最高でした。この曲も力の抜けたというか、気が抜けるようなリラックスしちゃう曲。
・「happy turn」の音源には、冒頭で岸田はんのくしゃみの音が入っています。まさかそれをステージで再現するとは(笑)おもむろに箱入りティッシュを取り出し、3人がこよりで鼻をこちょこちょしはじめ、ほどなく岸田はんが「はっくしょん!」と。
会場によってくしゃみの出が悪かったとのこと、と言うのも高級ティッシュは刺激が弱いということに気づき、急きょ今日はハードタイプにしたところ、CDクオリティーのくしゃみが出た、と(笑)
スペシャの番組で「エアロスミスでゲップが入っている曲があったが、くしゃみぐらいならと思って。くしゃみを逆回転にしてみたら今いちだった。くしゃみはくしゃみがいい」って岸田はんが話していたけれど、笑い声とか咳払いとかわざと入れている音源はけっこう好きです。リアリティーがある。でもいったん逆回転させるのが、くるりっぽい(笑)(ギターの逆回転のイメージが強い)
・「朝顔」は、イントロも間奏のスライドギターも完全に「ばらの花」オマージュ。わかっているけれど、始まって一瞬脳が混乱する。
これもスペシャの番組で岸田はんが言っていたのですが、「『ばらの花』は高校の教科書に載ったが、演奏できないのでは?と思うほど普通じゃない。もっくんと佐藤さん以外とやるとオリジナルにならない。この3人の独自の何かなのだな」と話していたことが印象的でした。そういうマジックってあるんだろうなぁ。
・お茶の間(ポテチCM)でもすっかりお馴染みの「California coconuts」、イントロが優しいサウンドでなんだか泣きたくなってしまう。西海岸の爽やかな海が見えてくるような気がします。行ったことないけど。
そして「くるりのえいが」でも印象的に使われていた「In Your Life」は、「ハイウェイ」を彷彿とされるドライビングソングで、聞くと映画が撮影された伊豆の晴れやかな風景と、3人の和気あいあいとした様子も思い起こされて楽しい。この先もこの曲を聞く度、そんな風景が思い起こされるのだろうな。
・アルバムから7曲一気に演奏して、もっくんはいったん退場。ここからクリフへバトンタッチです。「The Veranda」から始まりました、意外。久しぶりに聞けたので嬉しい。かと思ったら割と最近のアルバム「天才の愛」から「ナイロン」と「watituti」が立て続けに。
「watituti」はメンバーのソロ回しがありました。歌詞が1行「wati-tuti!」しかない曲なので、セッション(みんなのやりたい放題)を楽しむ曲です。岸田はんが「こんなところにー!レスポール抱えた少年がー!」ってまっちゃんのこといじり、ノッチはボーカルを振られて、それはそれは器用に「wati-tuti!」とシャウトしていました。上手かった(笑)
くるりのセッションを聞く度に思いますが、毎回全然違って楽しい。音楽は生き物だなぁと思います。クリフが明日帰国してしまうということで、岸田はんは寂しそう。ステージで、クリフにちょっかいかける様子が子供みたい。
・まったりな感じからアゲアゲの「Morning Paper」「お祭りわっしょい」「すけべな女の子」パートへ突入しましたが、特に「すけべな女の子」が始まった瞬間は最高に滾りました。クリフの力強い一撃と、ギターの妖艶な音色の一音目のインパクトが好き過ぎる。
岸田はんが、「くるりはどこのフェスでも割とまったりしていて癒し系ですねと言われる。間違ってない、俺は癒し系の自覚があるw」って話していて笑いました。くるりは癒し系だと思われているのはファンとしても心外です。「お祭りわっしょい」の前に、「激しくもまったりした曲を」と前置きしていたのですが、確かに(笑)と思って面白かったです。
・「虹色の天使」も「益荒男さん」も「冬の亡霊」もめちゃ久しぶりやないか。なんだこのセットリスト。そして何より「地下鉄」が始まってびっくりしたのでした。調べたら2016年のナウゼンツアー以来じゃないか。「How To Go」のカップリング曲です。
しかも続けてやったのが、私がくるりで1曲選べと言われたら推したいほどに大好きな「How To Go」でした。そうだ、クリフと初めて一緒にやった曲だ。ゆったりテンポなのに身体の真ん中から熱が沸いて来るような、キメで入るチョーキングの音にどうしようもなくときめく曲。まっちゃんのギターも大好きだけど、どうしても当時在籍していた達身さんのギターも自然と思い出してしまう。2人のギタリストの音が頭の中で融合するような、音楽って面白いなと思える瞬間です。
・アンコールはもっくんとクリフの2人体制で。体格の差もあるし、大人と子供みたい(笑)
アルバムから「お化けのピーナッツ」をやったのだけれど、最初「愉快なピーナッツ」と言い間違えてしまった岸田はん。ピーナッツの曲2曲あるからね。
そう言えばスペシャで、「ピーナッツには悪いけど、僕の中で残念な感じ。美味しいから好きなんだけど。小6の時に小さかったから、下級生からピーナッツ男と呼ばれていた」と言うエピソードを話していました。子供の頃のそういう記憶って鮮烈に残っちゃうよね。
・最後に岸田・佐藤・森というオリジナルメンバー3人のみがステージに残ったので、そんなコーナーがあるとは知らず大喜びです。私がくるりのファンになったのは、達身さんがサポートで入った4人体制の頃からなので、3人のくるりを知らないのです。「尼崎の魚」と「東京」、そしてファイナルだけ「もう1曲やる」という岸田はんの言葉があり、「さよならストレンジャー」が披露されました。
「くるりのえいが」で、京都の拾得でやった3人のライブ映像に「尼崎の魚」があったのですが、映画館の大スクリーンでもっくんの表情見たら泣いちゃったもんね。エモくて。その3人の「尼崎」を実際にこの目で目撃することができて感無量です。
岸田はんが、「もっくんとは今後やるのかどうか決まってない、すぐやるかもしれないけど。とりあえずこの3人だからこの曲、というのを最後にやります。俺たち3人のためにやります」と言って披露されたのが1stアルバムの表題曲「さよならストレンジャー」だったのでした。泣ける。
・前半はもっくんドラムで、改めて今集まった3人だからこそ出て来たアルバムの世界を表現して、クリフにバトンタッチしてからはくるりの美味しいところがたくさん詰まった、全く別の次元みたいなライブでした。色々な経験を経て、色んなミュージシャンと出会って一緒にやって来たくるりだからこそできる、というかくるりにしかできない、オリジナリティーに溢れた構成だと感じました。
・もっくんとは今後何も決まってないし、やるかもしれない、というのが今の3人らしくていいなぁと思います。再び集まってくれて、アルバム作って、映画まで作って、ライブしてくれて。ライブは以前からちょこちょこ一緒にやっていたし、こういう距離感が良いのではないかなと思います。
今回のアルバムは、やっぱりあの3人だからこそ出せる音や空気みたいなものがあると感じたし、原点回帰というわけでもなく最新の3人だからこそのアップデートされた凄さも加わっていて、やっぱり続けるって大事なんだなぁと思いました。人生何が起こるかわからないから面白いね。
来年のくるりは、どんなライブを見せてくれるのだろう。
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