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くるり「『愛の太陽EP』発売記念ホールツアー2023」ファイナルの感想


ライブの感想

・くるり「愛の太陽」発売記念ホールツアー、昭和女子大学 人見記念講堂ファイナルの感想です。
くるりのライブに来るのはちょうど1年ぶりぐらいだけど、そんなに久しぶりな感じがしない。長く好きなバンドは、久しぶりに見ても久しぶりな感覚がしないのよ。音楽を介してコミュニケーションすると瞬時にいつもの感覚に戻ります。
そして、「ずっと続けて来てくれてありがとうね!」っていう感謝の気持ちが毎回沸き上がります。感激して高揚して温かい気持ちになる、今日もそんなライブでした。アンコール含めて2時間半弱ぐらい。座席はセンター22列目でとても見やすかったです。

・「愛の太陽」は6曲入りEPなので、レコ発とは言えどもお題のないライブのようなもの。自由なセットリストに興味津々。メンツは、まっちゃん(ギター)、ノッチ(キーボード)、石若君(ドラム)を加えた、安心安定の5人編成です。

・SEもなくいつものようにしずしずとメンバー登場。この時点ではお客も全員着席しています。「愛の太陽」収録の「真夏日」から。一昨年のフジロックのYouTube配信で初めて聞いた、夏のノスタルジーや香りを感じる曲。今の時期にぴったり。フジロックのグリーンステージにも似合っていたけれど、涼しいホールに響く美しいメロディーに座ったまま浸れるのも最高です。

・「ワールズエンド・スーパーノヴァ」が始まったら客席から歓声が上がりスタンディングになりました。えっ。昨年の結成25周年記念@ガーデンシアターで、私が反射的に立ち上がったら前方は誰も立ち上がらなくて(後ろとかスタンドには立ってる人いた)、10列目ぐらいだったんだけど視界が開け過ぎて笑顔のメンバーとも目が合いまくりで嬉し恥ずかしだったのが懐かしいです。客層があの時とは違うのだろうか。まあとにかくイントロで心の底からと言うか腹の底から沸騰する曲ですから、絶対に立って腰を揺らしたくなるよね。
ピコピコ電子サウンドなイメージですが、ノッチのさりげない生音ピアノがぽろろん…と入るのがなんか色っぽくって生っぽさが相まって良かったなぁ。

・「赤い電車」は人気のわりにライブで披露する頻度が少な目ではないかと思っているので、やってくれるだけで大喜びですが、今回は「追憶の赤い電車ver」だったのでますます大喜びだよ!ライブで初めて聞けた!元のバージョンが地上を走っているとしたら、追憶は夢の中を走っているかのような自由さがあり、ファンキーでドリーミンなアレンジなのです。リアルというよりファンタジー、「追憶」っていうネーミングぴったり。

Twitter…じゃなくてXでセトリ検索をしていたら、「赤い電車のアレンジが良かったー!」って言ってる人がたくさんいたんだけど、もしかして追憶バージョンを知らない人も割といるのかなと思いました。CDはファンファンのトランペットが入っていますが、ライブでは代わりにノッチのキーボードが目立っていた印象です。

・「THANK YOU MY GIRL」は2億年ぶりぐらいに聞いた気がする、めっちゃ嬉しい。清涼感。「7月の夜」も同じく2億年ぶりじゃない?

・岸田はんが「これまでは、なんとか売ろうとして頑張った曲たちですが、これからは趣味の曲にお付き合い下さい」と前置きして始まったのが「GUILTY」だった。趣味合うー!!!私がくるりのファンになったのが「TEAM ROCK(2001)」「THE WORLD IS MINE(2002)」辺りなので、この頃の曲には格別に思い入れがあるのです。

改めて聞くと不思議な曲。「いっそ悪いことやって つかまってしまおうかな」って言う出だしで、まずぐっと捕まれる。主人公に何が起こったのだろうか、と。サビが全部「ららら」。諦め、投げやり、成り行き任せ、そんな自暴自棄や無力さ、人間臭さを感じます。暗いけれどなんだか美しいとも感じる。

・「愛の太陽」は優しい。映画「ちひろさん」の主題歌ですが、「ちひろさん」見た後に聞く「愛の太陽」は格別に優しかったな。

・個人的ハイライトは「つらいことばかり」からの「スラヴ Slav」でした。両曲ともにだいぶ久しぶり。「また趣味の曲を」と岸田はんが前置きしてたけど、ほんと趣味合うわw
「つらいことばかり」というタイトルとは裏腹に、ポップで軽やかなリズムを刻む曲で、楽器がみんな跳ねていて楽しい。「オー!イエー!つらーいことばかりだねッ!」っていう、半ばやけくそな感じもユニークな曲です。勢いに任せ、間奏で岸田はんが激しいアクションでクラップを煽り出したので爆笑してしまった、普段クラップ煽ったりなんて絶対にしない人だから。
そののち、横に据えてあった小さなボンゴをバチでポコポコとリズミカルに叩いていて、本当に楽しそうで、こっちまでつられてテンション上がる。ウィンドミルの回転速度も速すぎて目が回る(笑)

からの、こちらも独特なリズムがクセになる「スラヴ Slav」、流れが最高。ウィーンでRecした少し毛色の変わったアルバム「ワルツを踊れ Tanz Walzer」収録の曲なので、異国情緒に溢れる雰囲気だけど、サビで転調してリズムが変わったり、終盤でBPMが速くなるのも愉快で快感。色んな遊びが詰め込まれている。

・元メンバーのもっくんを迎えて10月に発売する「感覚は道標」からは「In Your Life」が披露されました。既に配信されているので聞いていましたが、「ハイウェイ」に通じるドライビングソングだと感じます。
岸田はん、46歳になって初めて運転免許を取ったとラジオで話していました。「それまでは電車にしか興味がなかったんです」って冗談交じりだったから笑ったけど、車で聞く音楽の良さを知ったそう。確かにくるりはドライビングソングより電車ソングのイメージですが、「ハイウェイ」は間違いなくドライビングソングなので、「In Your Life」と兄弟曲のように感じます。

・アルバムからもう1曲、今度は完全に初聞きの「California coconuts」。ギターリフがなんだか「ばらの花」っぽかったなぁ。これは初期のシンプルなトリオ編成であることを意識してのことなのかな。アルバム楽しみだなぁ。

岸田はんと佐藤くんの間で石若君が叩いているのを見て、丸っこい風貌もちょっと似ているからか、もっくんの姿が重なって見えるような気がして、勝手にエモくなってしまった。再びそんな日が来ようとは。

・「ばらの花」も「東京」も、長年のファンとしては好きは好きだけど他に聞きたい曲があり過ぎるので毎度やらんでもええよという類であり、客席から歓声が上がろうもんならうんざりしてしまうようなめんどくさい心境を持ち合わせているのですが、それでも名曲は名曲だから始まったら聞き入るのよ。しかもギターやピアノのアレンジが新鮮だったりすると、あら素敵ってうっとりしちゃう。

「ばらの花」は、ファンファンがいなくなってから前半はコーラスなしバージョンが定着している。大サビから後半にかけて佐藤くんとノッチでコーラスを入れて厚みを出している今のバージョンも愛おしく思います。「東京」はまっちゃんのスライドギターも聞きどころ。エモいオブエモい。

「虹」が好きなんです、くるりで1曲を選ぶとしたら私は「虹」なのです。割とやってくれる頻度は高い方だと思うけれど、やっぱり何度やってくれてもとっても嬉しい。
後半、ちょっとだけ岸田はんの喉の調子が落ちているように思えました。高音がかすれたり、声がちょびっとだけ裏返る感じ。だからアカペラ箇所をちょっとだけヒヤヒヤしたけど大丈夫だったのでほっ。それまでは実に快調に聞こえたけど、ファイナルだし疲れもたまってくるしね。

「虹」ってめっちゃ和風じゃないですか。日本の田舎の原風景が浮かんでくるような。なのに後奏がなぜかめっちゃジャジーなアレンジでソロ回ししていて笑いました。突如、日本のど田舎からニューオーリンズ(私の貧困なイメージ)にワープしたのかな、みたいな面白さがあった(笑)

そう言えば「In Your Life」を初めて聞いた時に、「浜木綿(はまゆう)」という歌詞が出てくるのを聞いて、「虹と同じだな。岸田はんは浜木綿が好きなのかな」と思ったことを思い出す。私は花に詳しくないので、馴染みがない言葉だから余計に耳に引っかかります。

・「ロックンロール」でも喉の調子があまりよろしくなかったのか、通常の音程とは異なる、上に行くところを下に行くフレーズを即興アレンジで歌っていて(下ハモみたいな)、それもまた良きだなと思う。その後は大丈夫そうに感じました。

「ロックンロール」の後にさらに「Liberty&Gravity」持ってくるの、爆上げで最高でした。ファンファンがいる頃はけっこうやってたけど久しぶりじゃないか、そらテンション上がるわ。よいしょ!合点だぁ!近年のくるりにしては、はっちゃけソングなのでここぞとばかりに無心ではっちゃける。
つくづく展開が変態的でぶち上がる。変態ちっくに展開したと思ったら、めっちゃ爽やかに開けるなど予測不能。私は展開が変態的でユニークな音楽に心奪われ興奮する傾向にあるな、と改めて思います。くるりのライブに来るとそれを痛感する。

・本編最後の「奇跡」がすごく良かった。「奇跡」はいつだって感動するのですが、今日もまっちゃん(松本大樹)の後奏ギターが素晴らしくて胸に染みました。岸田はんもギターソロ弾くし、決して自己主張は強くないのに、いざと言う時に前に出て来て、軽やかに力強く歌うようなメロディーをエモーショナルに奏で続ける。どこまでも伸びやかに歌うから、心を掴まれてしまう。好きなギタリストはたくさんいるけれど、まっちゃんみたいなタイプって他に知らないな。くるりには今までにたくさんのギタリストが参加しているけれど、その誰とも違うし、今のくるりにはまっちゃん以上にピッタリのギタリストがいないのではないかと感じます。

・「東京」で終わるのではなく「Tokyo OP」で終わるのも最高だなと思いました。インストで終わるのいかしてる。問答無用で心も体も踊らされちゃう。
毎回アレンジが微妙に違う気がするし、心持ちBPMが速い気がするし。今日もノッチのキーボードソロは、ドラクエの教会のシーン(復活)みたいだな、と思う(笑)

・MCでは、岸田はんが客に向けて「みんなキラキラしてるねー」って言ってたのがなんか嬉しかったな。好きなバンドのライブ見てたらそりゃキラキラするのですよ。「私は体液(汗)でキラキラしてるけど」って言ってて笑った。

・アンコールのおなじみ物販紹介では、佐藤くんの軽やかトークの流しっぷりに拍車がかかっていて笑った。紹介したグッズは投げ捨てるパターン(笑)
あと、アンコール終わりの挨拶で、両足をバタバタさせて両手を振るギャルっぽいポーズを。佐藤まさ子、あざといーwww

セットリスト

01. 真夏日 (真夏日/2022)★
02. LV45 (魂のゆくえ/2009)
03. ワールズエンド・スーパーノヴァ
  (ワールズエンド・スーパーノヴァ/2001)
04. 琥珀色の街、上海蟹の朝 (琥珀色の街、上海蟹の朝/2016)
05. 赤い電車 (ver. 追憶の赤い電車/2020)
06. THANK YOU MY GIRL (THE WORLD IS MINE/2002)
07. Morning Paper (アンテナ/2004)
08. GUILTY (THE WORLD IS MINE/2002)
09. ハイウェイ (ハイウェイ/2003)
10. 7月の夜 (さよならストレンジャー/1999)
11. 八月は僕の名前 (愛の太陽/2023/★
12. 愛の太陽 (愛の太陽/2023)★
13. つらいことばかり (魂のゆくえ/2009)
14. スラヴ Slav (ワルツを踊れ Tanz Walzer/2007)
15. In Your Life (In Your Life/2023)
16. California coconuts (感覚は道標/2023)新曲
17. ばらの花 (TEAM ROCK/2001)
18. 虹 (もしもし/1997)
19. ロックンロール (アンテナ/2004)
20. Liberty&Gravity (THE PIER/2014)
21. 奇跡 (奇跡/2011)
en.
22. 東京 (もしもし/1997)
23.Tokyo OP (ソングライン/2018)

★=「愛の太陽」からは3曲だった

こうして見ると、昨年のライブでやってない曲がすごく多い。ありがたや。「ばら」や「東京」はともかく、意外と「Morning Paper」「ロックンロール」は登場頻度が高いね。盛り上がるからね。

ナタリーの東京初日ライブレポート。セトリが少し変わっていますね。

くるりのえいが

新アルバムの発売もですが、10/13から公開の「くるりのえいが」が楽しみでなりません。私は、ちょうど達身さんがサポートで入った頃からのファンです。だから、3人だけのステージって見たことがないんだよね。どんな内容なのかドキドキです。

岸田はんのnote読んでほっこりー。

仲良し(笑)

2017年「チミの名は。」も大好きなツアーでした。久しぶりにもっくんと一緒にやってたのも感激したもんなぁ。
またもっくんとやって欲しいと思っていたから本当に嬉しいです。

2022年のライブ感想

くるりライブツアー2022@Zepp Haneda

くるり結成25周年記念公演「くるりの25回転」@東京ガーデンシアター


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