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「沈まぬ太陽」を読みながら「誰かのため」について考えた

Audibleでは軽い読み物がよい、と言った舌の根も乾かぬうちに、ですが。
最近はまっていたのは山崎豊子の「沈まぬ太陽」。

次に何を聞こうかと思い、夏に行く予定の「アフリカ」で検索したら出てきたのが、山崎豊子の「沈まぬ太陽」。
「白い巨塔」「大地の子」「華麗なる一族」・・・と背表紙は知っていたりドラマを見たことはあったりしたけれど、なんとなく重そうで本を読むのは避けてきていた山崎豊子。
でもほかにあまり選択肢もなく、聞き始める。
1.5倍速では脳がついていけず、1.3倍速。

アフリカの話からあっという間に舞台は東京に遡り、理想主義の主人公が社内政治の餌食になり、どろどろ。
当時も今も本質的には変わらないなぁ、と痛みを感じながら聞き進める。

権力にすり寄れとは言わないけれど、折れどころがあるでしょう。
おかしい状況を変えるには、ある程度権力が必要なのだから、そこは耐えて・・・
とか言いたくなり。
でも気持ちはわかる、と胸がきゅっとなりながら先へ先へ。

守らなければならないひとがいるときの判断は本当に難しい。
会社、仲間、家族、自分・・・
この主人公は仲間を思って自分の矜持を曲げず、ある意味流刑の身となり中近東、アフリカに10年。
あまり描かれないけれど、社宅に残された妻子を思うとぞっとする。
でも仕方ない。
家族「のため」の決断はきっと禍根を残すから。

小説のようにドラマチックではないけれど、何度もこども「のため」に会社を辞めようと思ったことがある。
泣かれたとき、情緒不安定になったとき、いじめにあったとき、簡単に治らない病気になったとき・・・

でも頼まれてもいない、あなた「のため」に、は、いつか、あなた「のせい」で、になりかねない。

辞める辞めるとぼやきつつ、結局、一番大変だった子育てしながらの時期が終わった今、退職。
後悔したとしても、自分「のため」の決断だから誰のせいにもできない。
子ども「のため」に辞めないでいてよかった。

本のほうは、アフリカの壮大な日没の描写とともにアフリカ篇が終わり。
次は御巣鷹山篇でもっとヘビーになりそうで、躊躇しているところ。

奇しくも、アフリカにいる娘から喜望峰から見えた夕陽の写真が送られてきた。
あなた「のため」の人生、生き抜け!

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