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エイブラハムをかじっただけの男と弟子 その48 怠けることの価値

ソ ラ :マッキーさん、マッキーさん。

マッキー:お?どうした?ソラ。元気か?よし、帰れ。

ソ ラ :そのくだりはもういいですよ。その、すぐ帰らせようとするやつ。やりすぎてもう味しませんって。無味ですって。無味無臭ですって。

マッキー:お前、味しないとか言うなって。なんか俺がワンパターンなことしか言えない奴みたいで恥ずかしいだろ。

ソ ラ :実際ワンパターンじゃないですか。ところでマッキーさん、今何してるんですか?

マッキー:今か?さっきまでゲームしてて疲れたから。昼寝でもしようとしてたところだけど。

ソ ラ :僕思うんですけど、先生も、マッキーさんも何でそんなにぐーたらなんですか?怠け(なま)てばかりいるように見えるんですけど。
もっと、いろいろやらなくていいんですか?

マッキー:怠けることは、すげぇいいことだって、エス太に教わらなかったのか?

ソ ラ :僕は先生から、努力はいらないこと、リラックスすること、気分よくいることで人生はよりよく展開していくと習いました。

マッキー:じゃぁ、怠けることはいいことじゃねーか。

ソ ラ :でも、そこに抵抗があるんですよ。怠けてばかりいたら、自分の価値がなくなっちゃうんじゃないかって心配になるんです。このままでいいのかなって。

マッキー:そうか、ソラ・・・帰れ。なぜなら、俺は今、非常にに寝たいから。

ソ ラ :マッキーさん、このタイミングで帰らせるのは絶対違いますよ。僕はまじめに悩んでるんですから。

マッキー:え?

ソ ラ :「え?」って・・・。マジで何なのこの人。

マッキー:いいか、ソラ。お前は努力して、せかせかと動きまわって、それで誰に何のアピールをしようとしてるんだ?

ソ ラ :わかりませんが、誰かに認めてもらいたいと思っているのかもしれません。僕はこんなに頑張っているんだと。

マッキー:誰かに認めてもらわなければ、お前の人としての価値は下がるのか?

ソ ラ :そういうわけじゃないと思いますが・・・。

マッキー:下がらんよ。いいか、ソースはそんなことの証明を求めちゃいない。たとえ何もしていなくても、全ての人の価値がマックスであることをソースは知っている。そして、全ての人を愛している。それがソースの正体である「無条件の愛」だ。
そして、その「無条件の愛」はお前自身の中にある。
周りの人がお前の価値を決めることなんてできない。お前の無限の価値はお前自身の中に常にあり続けるんだ。
愛や価値を外側の誰かや、何かに探すな。
自分の中に探すと、自分の本当の価値がわかってくる。自分がどれだけ素晴らしい存在なのかが。

ソ ラ :マッキーさん、今日はなんていいことを言うんだ。

マッキー:ソラ、チーズバーガーってあるだろ?

ソ ラ :チーズバーガーですか?ありますが、それがどうしたんですか?

マッキー:チーズバーガーのチーズは、めちゃくちゃ怠けてないか?怠けてるなんてもんじゃない。もうダルっダルにトロけてるだろ?

ソ ラ :はぁ。

マッキー:俺が冬場にこたつに入ったとしても、なかなかあそこまではトロけられない。

ソ ラ :は?

マッキー:でもな。あいつにはめちゃくちゃ価値があるだろ?あいつがいなかったら、それはもはやチーズバーガーじゃない。それはもう、ただのハンバーガーだ。
それが、どうだ。あのダルっダルにトロけたあいつがいるだけで、ハンバーガー自体の名前まで変わってしまう。
なんて影響力だ。なんて価値がある存在なんだ。
エイブラハムはソースと調和した人(気分がいい人)はそうじゃない人の100万倍の影響力を持つと言っている。
あのチーズは、それはもうめちゃくちゃ気分がいいんだろうな。
ある意味ソース(ケチャップソース)ともちゃんと調和しているしな。

ソ ラ :えっ?ずっと何言ってんの?この人。

マッキー:ソラ、俺はな、チーズになりたい。

ソ ラ :・・・いらなかった~。最後のチーズバーガーの説明だけは絶対にいらなかった~。途中までめっちゃいいこと言ってたのに。最後の最後に絶対いらんことした~。
え?チーズになりたいって言った?あのチーズのようになりたいとかじゃなくて?チーズそのものになりたいん?

マッキー:実際、エイブラハムは何もしないこと、怠けることを素晴らしいことだと言ってる。だから、安心して怠けていいし、そんな自分を許(ゆる)していい。

ソ ラ :いや、それでは取り返せないって。今さらそれっぽいこと言って締めようとしてもあのミスは取り返せないって。

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