あるクエスチョニングの記録
最近やっと、自分がクエスチョニングだと言えるようになってきた。LとかGとかBとかの記事は多いけど、クエスチョニング当事者の話が少ないような気がして。これはわたしの整理のために書くものであって何かを伝えたいとかは特にない。まあわたしの文章はたいていそうだ。こんなやつもいるんだな、くらいに。
わたしはシスジェンダー女性で、性的指向がクエスチョニングである。(余談だけど、クエスチョニングは性自認にも性的指向にも使える言葉なので、わたしのように性的指向のみがクエスチョニングを表す言葉はないのかなあと思っている)
中学生の頃は一人称が「俺」だったり(念のため書くが、どんな一人称を使うかはジェンダーによらず当人の自由だ)、その頃からずっとメンズの服をよく着ている(改めて念のため書くが、どんな服装をするかはジェンダーによらず当人の自由だ)が、あくまで性自認は女だ。
昔から性別違和(当時は性同一性障害)や同性愛などに興味があり、その辺の人よりは詳しかったと思う。そのためわたしも実は男になりたいのか? などと自問してみたこともある。ことさら女扱いされるのは嫌だけれど、それはどちらかというとジェンダーロールに縛られている社会が悪いのであって、自分が女の体を持つことに違和感はないから、女であると結論づけた。
そしてもちろん同時に、自分はレズビアン/バイセクシャルなのか? という問いも投げかけた。これに関しては結論が出なかった。
自我を獲得するのが遅かったのもあるが、同性愛への嫌悪とか衝撃みたいなものが記憶にない。むしろ社会が異性愛前提で動いているから異性愛になる人が多いだけであって、そうでない社会ならもっとバラバラになるのでは? と思っていた記憶はある(子供の頃の話なので、今はそこまで思っていない)。
ファーストキスは小学生のとき、相手は女の子だった。「キスってどんな感じなんだろうね?」と盛り上がった勢いだった。だからその子に恋愛感情があって、とかではないが、嫌悪感もなかった。「次は胸の見せ合いっこしよう」とか言っていたが、次は来なかった。
いろいろあってその後中3まで不登校になり、高校で社会復帰した。この間は同じく不登校の女子と仲良くなり、この友人のことがあまりに好きすぎて、やっぱりヘテロではないのではという疑問がこの頃また浮かび上がった。キスは想像した。全然できる。その先はどうだろう。経験もないしよくわからなかった。
大学生のころ、二人の男性と付き合った。
最初の人は背が高い人だった。顔も中身も特にタイプではなかった(優しいなと思った記憶はあるのであからさまなクズとかではない)。男性とのキスはこの人が初めてだ。嫌悪感はなかったが、なんだかグイグイ来る人で、キスもその先も早くやりたいという感じが溢れ出ていたのに引いた。この人とは2ヶ月程度でお別れした。
次の人は趣味の合う同級生だった。一人目との関係はいわゆる「男女カップル」という感じだったが、この人とは「セックスもする異性友達」という感じだった。エロいBLとか同人は大好きなので性嫌悪はないつもりだったが、行為のあとのもやもやがどうしても拭えなかった。性欲はある。しかし恋人とすることにはなんか違和感がある。それは相手がこの人だからなのか、男性だからなのか、よくわからない。この人とは2年ほど付き合った。
それ以来アラサーの今に至るまで恋人というものはいないが、片思い(なのかよくわからない何か)はいくつかあった。
20代前半は結婚したいという思いが少なからずあり、バイト先の男性をデートに誘ったり、マッチングアプリを使ったこともある。
しかしもし進展したらセックスするのかあ……と思うと億劫になった。
就職してから、職場のものすごく顔が好みな男性に告白したこともある。しかし絶対に付き合わないほうがいいだろうなという人だった。けどあまりにも顔が好みだったので、一回抱いてもらえれば御の字だと思った(結局振られるのだが)。ここでわたしは、付き合いたい相手と性行為をしたい相手は別なのかもしれない、と思い始めた。
職場の先輩(女性)に憧れたこともあった。飲みの席で好きなんですよお、と言ったが、恋愛のそれとは受け取られなかった(自分でも恋愛かどうかわからなかった)。
社会人サークルで知り合った年下女性に一目惚れした。ことあるごとに好意は伝えているが、まあ女友達特有のやつみたいに思われていると思う。その子にキスする夢を見て幸せな気持ちになったり、その子が誰かと付き合うことを想像して嫌な気持ちになったりした。これはいよいよ恋かもしれないと思いつつ、その子は恐らくヘテロだろうからたぶん打ち明けることはない。想像できるのもやっぱりキスまでだった。これが直近の話だ。
最近は一人暮らしをはじめて一人の身軽さを知り、結婚がイメージできなくなった。レズビアン/バイセクシャルじゃなかったとしても、同性と暮らせたら楽だろうなあと思うようになった。
昔からなんとなく自分がヘテロとは言い切れない感覚を持っていた。かといってレズビアン/バイセクシャルとも言えなかった。
幼馴染の女友達に、「自分がヘテロだって自信を持って言えなくない?」と言ったら、きょとんとされたのをよく覚えている。そうか、こいつはドがつくヘテロなんだな。ヘテロはヘテロだって自信を持って言えるんだ、と衝撃を受けた。自分のこの気持ちはみんなが持っているものだと思ってしまっていた。わたしはどうやらドがつくヘテロではないらしい。思春期特有の勘違いかな、と思いながら、アラサーになってしまった。
さすがにもう勘違いとか言ってられないので、ヘテロじゃないことを認めたほうがいいのでは? でも男性と付き合ったこともあるし、男性芸能人やキャラクターにかっこいいと思うし、レズビアンではない気がする。でもやっぱり女性芸能人やキャラクターに対しても魅力を感じるし、年下女性と付き合えたらなって思うし……かといってバイセクシャル(あるいはパンセクシャル)というほどの自信もない。あと性行為にもやもやしすぎていて、もしかしたらアセクシャルの要素もあるかもしれない。でもエロいの見るのは好きだしな。芸能人やキャラクター相手ならそういう想像もできるし。フィクトセクシャル、エーゴセクシャル、クワセクシャル(クォイセクシャル)……。
……わからん。クエスチョニングでいいか。←いまここ。という話でした。