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🅂1 プランを考えてみる

「A little dough」 第2章 プランを考えてみる 🅂1 

➤プランニングも「メタ認知」的活動
 第1章では、私たちの意思決定の際に頻繁に起こっている「認知エラー」について考えてきました。日常において、私たちは正しく物事を見ているつもりでも、実はかなり歪んだ感覚に陥っているケースが数多くあります。私たちは、そうした自分の歪みを自覚したうえで、重要な意思決定をしていく必要があります。また、そうした思考を「メタ認知」といい、これを磨くことでいくらかでも歪みの矯正を行いながら判断することが可能になります。

 第2章では、プランについて考えていきますが、計画もまた「メタ認知」的な思考の結果といえそうです。メタ認知的な思考では、例えば私たちが英語を学ぼうとするとき、「英単語を暗記する行為」ではなく「どうしたら英単語を効率的に暗記できるか」を考えます。つまり自分の目的達成の為に、自分の行動を制御する方法を考えているのです。その意味では「プランを作る」という行為も、プランによって行動を制御しようとする行為なので、メタ認知的な思考と考えられます。

➤ライフデザインとファイナンシャルプラン
 いくつか似たような言葉が出てきますので、一応整理しておきます。まず「ライフ・デザイン」とは「人生を設計する」という意味にシンプルに捉え、これによって出来上がるのが人生の設計図と考えます。ただ、私のイメージとしては「ラフ・スケッチ」のようなアバウトなものを想定しています。そしてこれを時系列に詳細化していくと「ライフ・プラン」になります。「ライフ・プラン」には大きく分類すると、ライフ・デザインを実現するための「アクション・プラン」とこれをサポートする「ファイナンシャル・プラン」が必要です。このnoteでは、ファイナンシャル・プランを考えていくのですが、その大前提としてライフデザインが必要です。

➤ライフデザイン
 さてそれでは「ライフ・デザイン」の概略を押さえてみたいと思います。ライフ・デザインとは、「自分の価値観を基礎にした人生の設計図」です。「どんな人生を送りたいか」という未来予想図のようなもの、という方がわかりやすいかもしれません。「自分の人生の設計図」を、あえて「自分の価値観を基礎にした人生の設計図」としています。

ー出発点は自分の価値観
 
ライフ・デザイン中心には「価値観」がある、と私は考えています。価値観は、私たちの人生の目標やビジョン、やりがい、幸福観…といったもの形成し、私たちの人生を決定付ける役割をします。またその「価値観」には、一生を通して変わらない部分と日々日常の中で変わっていく部分と混在しています。更に私たちが祖先から受け継いだ遺伝子、家族や友人、地域や学校などの生活環境、民族や宗教、文化や生活様式などさまざまな事象から影響を受けて形成されるため、複雑でひとことで言い表せないものです。自分の価値観を知るには、まず自分にとって重要な言葉、あるいは大切のものなどを思いつくままに並べてみる、というあたりから始めてみます。いずれぼんやりと姿が見えくるだろう、くらいに気長に考えていいと思います。

 自分の価値観をきちんと説明できなくても、価値観自体はしっかり存在しています。自分の行動が自ずと自分の価値観に基づくのなら、価値観など意識しなくてもいいのではないかとも考えられるのですが、そこはあえて「メタ認知」的な思考をしていきます。自分の価値観を何時も意識できることは、必ず自分を知ることに繋がっていきます。ソクラテスに言わせれば「無知の知」、今風に言えばメタ認知力を高めることで、重要な判断を適切に行える確率が高まります。

ー価値観の先に見えるもの
 ライフ・デザインの中心は私たちの価値観ですが、そこから未来に向かう先には何があるのでしょうか。それが「なりたい自分の姿」であったり「こんなライフルタイルを実現したい」という願望であったりします。最近では人生も100年といわれたりしますが、とりあえず10年先の未来、あるいは20年先の未来を想像してみる必要があります。そのイメージが「ビジョン」になります。より具体的に、私たちの未来のある時点の姿をわかりやすく現わしてくれるものです。例えば子供たちが描く「サッカー選手」という「将来の夢」のようなもです。そして、このビジョンに向かって「ベクトル」をたてていきます。これは「ビジョン」に到達するまでの「プロセス」を表しています。

ー様々なベクトルの集合体
 ライフ・デザインは、この短いベクトルを集めたものです。そのベクトルが、どんな方向を向くか、どんな長さか、どんな質量をもつのかは様々ですが、自分の価値観から発するベクトルが何本かたてられていて、その先にあるビジョンに向かって進んでいきます。またビジョンにはいろいろなカテゴリーがあり、仕事・家庭・趣味・友人との交友など、個人の価値観によってそれぞれ各分野でベクトルをたてていきます。

ーライフ・デザインのラフ・スケッチ
ライフ・デザインは「自分の価値観を基礎にした人生の設計図」です。しかし初めは「ラフ・スケッチ」のようなアバウトなものにすることが大切です。ライフ・デザインやこれに基づくライフ・プランもそうですが、これらは私たち自身の(価値観の)変化を受け入れて変わっていく可能性が高いものです。その意味ではライフデザインは1年に1度見直してみる、くらいに考えるのが調度いいかもしれません。そうして自分の人生の将来と向き合う時間を作ることが、やがて自分の価値観にあったビジョンの選定に繋がっていきます。プランはあくまで私たちを導くガイドのような存在です。目指した方向と合っているのかどうか、合っていないのなら行動を修正するのか、それともビジョンやプラン自体を変更するのか。そうした判断の有無をプランと現実とのギャップが示唆してくれます。それがプランの役割で、正にプロセスコントロールの為に策定するものなのです。

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