さまよえる喫茶店(上演のお知らせと、製作日記的なことなど)
年明けに上演する舞台の準備を進めています。
9月の京都公演のあとくらいからとりかかり始めた舞台作品。
今年2月の「青い鳥」を一緒にやった仲間たちと、セリフのあるお芝居を舞台でやってみたいねーと言っていたのがようやく実現しそうです。
寒い日が続きますが、よろしければぜひご覧ください。
セリフ芝居ってどんなのがやりたいかなあ、とみんなで話していて、ベケットやりたいとか、「少し変わった子あります」という小説を題材にしたいとか、夢の遊眠社みたいなのやりたいとか、いろんな意見が出てきました。
とりあえず、設定をどこかのちょっとさびれたカフェにしよう、ということだけ決めて、その中に劇中劇みたいな形でベケットを取り入れたり、音楽をアコーディオンの生演奏にしたり、プロジェクタを使ってVRやら影絵やらミニチュアの劇場やらを見せたり。
どこかのさびれたカフェという設定は、私が10年ほど前に作った「ハリネズミのワルツ」という作品のリメイク的な発想から。その時の文章はこんな感じでした。
「さまよえる喫茶店」は、誰が脚本を書いて演出をするかということすら決めずに作り始めたので、みんなめいめいに構成を考えたり台本書いてみたりしながら、それを試しに演じてみてやっぱりこれはちょっと使えないかなあとか、ここの部分のこのテーマはネタとして取り入れてみたいね、とか言いながら作っています。
そんな感じなので台本もなかなか出来上がらなくて、やっと先週くらいで大まかにはできてきたけど、実はまだまだ完成していない部分も。
そして作品を作っていく過程で出てきたいろんな会話がそのまま台本に使われていて、これは一体お芝居なのか現実なのか、即興なのかどうか、とか、演じている方もいろいろ混乱しながらなんとなく進んでいく、みたいなものになってきています。結局は真野くんが台本を全部まとめてくれているのだけど、一応当て書き(その役を演じる人をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと)で書いた役柄を取っ替えてみたら意外にハマったのでじゃあそれでいこう、ということになったりとか。
劇中の会話の中で、「普通って何?」みたいなテーマも出てくるけど、この作品の作り方に関しては全然普通じゃない感じ。じゃあ普通の作り方って何?と言われるとよくわかんないけど(笑)。
まだ決まっていないシーンで、VRの中のカフェというシーンがある。真野くんがUnityで作ってきたバーチャルカフェは、一歩外へ出るとだだっ広い砂漠のみが広がっていて、なんだか途方もない気持ちになる。これは劇中劇のベケットのお芝居とリンクしているから砂漠になっているのだけど。バーチャルだから途方もない気持ちになるのか、現実世界でのふとした時に感じる諦めや孤独なんかによって生じる途方もない気持ちみたいなものが、パッと目に入ってきた光景によって浮かび上がってくるのか。
そしてバーチャルカフェにある冷蔵庫は、現実の世界へと繋がっている。この辺の面白さをなんとかうまく表現できたらいいなあと思っているところ。
最初は、ベケットって今時そのままやってみて面白いの?というところから始まったのだけど、それを劇中劇で取り入れちゃうところとか、どれが現実の会話でどこからが脚本なのか分からなくなってきちゃうようなところとか、VRを利用した途方もない気持ちの表現とか(これはまだどう実現するのか未定だけど)、結果的にはものすごくベケット的な作品になっているのではないか!?と、昨日のリハを終えてなんとなく思ったところです。
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